コンパクトでもゲームをガッツリ楽しめる究極のミニPC【ゲーミングPCレビュー後編】

後藤宏
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■1台でゲーミングPCにも普段使いPCにも対応できる逸品

 コンパクトなサイズながらもパワフルな仕様の『Premium-Line Z690FD-Mini/D5』。前編ではパフォーマンスにフォーカスしましたが、静音性やメンテナンスといった、長く使うからこそ気になる点も、しっかりとケアされています。後編では、本製品の内部をチェックしながら、使い勝手のよさをレビューしていきます。

静音性にとことんこだわった仕様

 本体がコンパクトなモデルは、内部に熱がこもりやすく、しかも大型の放熱ファンの搭載するのが難しいため、ファンの回転数を高くして放熱性を高めているモデルが一般的です。『Premium-Line Z690FD-Mini/D5』のように、ミニPCでありながらパワフルな仕様となれば、なおのこと。そこで、気になるのがPCの動作音(ファンノイズ)です。

 本製品では、重量級のゲームをプレイしている時こそ、グラフィックボードのファンノイズが気になるものの、Webサイトの閲覧や動画の視聴、WordやExcelといったOfficeアプリでの作業などは、ほぼ無音に近い状態。本体に耳を近づけて、ようやくファンの動作音が聴き取れる程度で、静音性にも優れている点も本製品の魅力です。どのようにして静音性を確保しているのか、本体内部をチェックしてみましょう。

  • ▲サイドパネルを外して、本体内部をチェック。約16リットルの容積に、グラフィックボードに加えて、ラジエーターユニットも搭載。パーツどうしが干渉しないギリギリの配置になっているなど、内部設計は絶妙な仕上がりです。
  • ▲本体内部で特に目を引くのは、中央から上部にかけて伸びる極太のチューブと本体上部に配置されたラジエーターユニット。水冷方式のCPUクーラーで、空冷方式よりもCPUの放熱の効率がよく、しかも静音性にも優れています。
  • ▲電源ユニットには、薄型コンパクトな650W出力のFractal Design Ion SFX 650Gを搭載。放熱用のファンは、流体軸受け仕様の120ミリ角で静音性に優れています。しかも、この電源はパソコンのアイドル時など、電力の負荷が低い時に、ファンの回転を停止するセミファンレス機能も装備。とことん静音性を追求しています。
  • ▲本製品では、PCの最も基本的な動作を設定するUEFIに、CPUクーラーのファン回転数を調整できるツールを用意。CPUの温度や使用率をトリガーにしてファンの回転数を設定可能で、グラフを確認しながら条件を設定できます。静音性にこだわるなら、UEFIの設定もチェック。

 なお、標準構成で搭載されているグラフィックボード『MSI GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OC』は、セミファンレス機能を備えており、負荷の少ない場合はファンの回転が停止する仕組みです。中量級以上のゲームをプレイしている時以外、あまりが動作することがありません。

 PCを日常的に利用する際、意外に気になるのがPCのファンノイズです。ゲーミングPCでは、パフォーマンスが優先され、静音性は二の次になっているモデルも少なくありません。とはいえ、ファンノイズがうるさいと、YouTubeで動画を視聴したり、写真の編集や管理をしたりといった、いわゆる“普段使い”が、しづらく感じます。本製品は、ゲームが快適にプレイできるパワフルな性能を備えながらも、普段使いができる静音性を確保しており、ゲームだけではなく、日常的にPCを利用したいユーザーには、見逃せない1台です。

サイコム社が万全の体制でサポート

 PCを長く利用していると、OSの動作が重くなったり、動作が不安定になったり、トラブルが発生することもあります。そういった状況に陥らないためにも、普段からのメンテナンスは重要ですが、冷却ファンのクリーニングやBIOSの更新など、扱いに慣れているユーザーでも要注意な作業があります。筆者は、以前、BIOS更新に失敗して、新品のSSDをジャンク化した経験があり、メンテナンス作業を躊躇してしまうこともしばしばです。

 そこで、頼りになるのがサポートメニュー。『Premium-Line Z690FD-Mini/D5』では、本体内部のクリーニングはもちろん、パーツの動作確認やBIOS・ドライバーの更新なども実施してくれる無償のオーバーホールサービス(2回目以降は有償)を提供しています。サイコム社のスタッフが、PCを隅々まで、しっかりとメンテナンスしてくれるのです。

  • ▲無償オーバーホールでは、クリーニングや動作確認などに加えて、CPUやGPU(グラフィック処理チップ)の処理性能に影響を与えるグリスの塗り直しも実施。ユーザーでは手入れが難しい部分まで、しっかりとメンテナンスしてくれます。

 また、本製品のサポートメニューには、アップグレードサービスも用意されています。デスクトップPCは、メモリーやストレージの容量増強やグラフィックボードの換装など、パーツを取り替えられる点も特徴です。PCゲーマーであれば、グラフィックボードの換装を経験しているユーザーも多いでしょう。難しい作業ではないですが、パーツの規格が適合するかチェックしたり、実際に取り付けが可能なサイズか調べたりする必要があります。

 アップグレードサービスは、サイコム社が取り付けの可否や性能向上の見込みといった情報を提供。加えて、パーツの換装作業や換装で不要になったパーツの下取りにも対応しており、無駄なく的確にPCのアップグレードができるのです。

  • ▲アップグレードサービスでは、パーツの対応だけではなく、実際に取り付けができるかも確認できます。また、同社のスタッフがパーツ換装後のパフォーマンス変化をシミュレートして、その記録をユーザーに報告。事前にパーツ換装の効果を確認できるので、安心してパーツを選択できます。

 本製品では、保証期間も標準で2年間設けられているなど、サポートが手厚い点も特徴です。標準構成で約35万円と、決して安い買い物ではありませんが、本体のオーバーホールやアップグレードを活用すれば、価格以上のコストパフォーマンスを得られるでしょう。

 さて、後編となる今回は『Premium-Line Z690FD-Mini/D5』の普段使いをする際の使い勝手を中心にチェックしてきました。本製品は、コンパクトな本体やゲーミングPCに匹敵するパフォーマンスなど、PCとしての完成度が高いことに注目されがちですが、静音性に優れるなど普段使いのPCとしても格別なモデル。独自の手厚いサポートサービスもあり、1台のPCを長く利用したいユーザーにイチオシの逸品です。

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