『モノクロームメビウス 刻ノ代贖』発売記念レビュー! 先が見たくなる展開と堅実な作りのRPGにハマる!!

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 アクアプラスで初となるPS5、PS4、Steamのマルチプラットフォーム対応の新作RPG『モノクロームメビウス 刻ノ代贖(トキノタイカ)』(以下、モノメビ)。ついに11月17日に発売を迎え、舞台となる広大な國ヤマトを駆けまわっている人も多いはずです。

 そこで今回は購入の決め手を探している人、そしてこの記事で初めて作品を知った人を後押しできるようなレビューをお届けします。もちろん、プレイ中の人にも刺さるはずですので、プレイの休憩中にでもご覧いただければ幸いです。

“RPGを面白くするのは、物語だ。”のキャッチコピーに嘘偽りはなし!

 まずは『モノメビ』の主人公と物語の概要をさらっとおさらいしましょう。主人公は辺境の國エンナカムイの青年、オシュトル。彼はシューニャと呼ばれるひとりの少女と出会ったことで、のちに“うたわれるもの”となる運命を背負うことになります。


 この偶然ではなく“必然”の出会いが旅に出るきっかけになるという展開は、RPGとしてはある意味“鉄板”ながらもドラマティックで掴みはGOODですね。なぜシューニャが追われているのか、彼女を狙う勢力がなんなのかなど、多くの謎がドラマへの没入感を深めます。

 そんなプロローグ以降はオシュトルとシューニャが出会い、彼女の故郷を目指して旅を始めるわけですが、ネタバレを避けて物語について言及するならば「面白い!」のひと言。“RPGを面白くするのは、物語だ。”とキャッチコピーにありますが、謎が提示されてから真相が判明するまでの怒涛の展開、そしてシリアスな展開の合間に差し込まれるコミカルな会話劇など、うまく緩急がつけられてドラマを冗長に感じさせない作りになっているんですね。


 とくに第四章に入ってからはそれまで旅をしてきた場所と雰囲気がガラッと変わり、この世界の“謎”が表に出てくる展開が目白押しでアツいんですね。さすが数々の名AVGを生み出してきたアクアプラスだけに、物語のクオリティは間違いないと納得でした。


  • ▲配信中の体験版は第三章までとなり、いいところでのお預け状態に(笑)。物語の面白さが気になる人は体験版で始めてみれば、きっとお預けに我慢できず製品版を購入してしまうはず! ちなみに、セーブデータは製品版に引き継げるのでご安心を。

 なお、『モノメビ』は世界観やキャラクターのベースが、名作AVGの『うたわれるもの』シリーズであることはファンの間では周知の事実でもあります。自分も『うたわれるもの』シリーズのファンであるため、もしかしたら予備知識があるからこそ物語の面白さが倍増している部分があるかもしれません。ですが、裏を返せばシリーズファンならば文句なしで楽しめる物語だと断言しちゃいます!


一度会えば忘れられない個性溢れるキャラクターたちが物語を彩る

 そしてその面白さを支える屋台骨として大事なキャラクター。パーティメンバーで言えば正統派主人公のオシュトル、無邪気で守ってあげたくなるヒロインのシューニャ、普段はキリッとしながらもかわいいもの好きな一面が微笑ましいムネチカ、筋肉バカ(いい意味)で熱い男のミカヅチと、個性が立ちまくりな面子が集まっています。


 そんな彼らが同行して旅をするのだから、会話劇が楽しくないわけがないですよね(笑)。しかも、そんな彼らのツッコミ役としてハルと呼ばれるマスコット(?)も同行するなど、とにかくメンバーがそろってからの旅が楽しくて仕方なかったです。


 もちろん、彼らを取り巻くキャラクターたちも味があり、いい意味でオシュトルたちを超えた存在となっています。本作で初めてオシュトルたちを知る人も、きっと強烈に記憶に残るでしょうし、その後の生きざまが気になることは間違いないでしょう。『うたわれるもの』シリーズのファンとしては、ぜひシリーズにも手を出してファンになってほしいなと願うばかりです。


  • ▲個人的にはオシュトルとミカヅチの師であるディコトマが、見た目も性格も豪快で好き。『うたわれるもの』ファンならばとくに「え!?」と驚くはず。

ゲームシステムはなつかしさを感じる堅実な作りで遊びごたえバツグン

 さて、“RPGを面白くするのは、物語だ。”というキャッチコピーの『モノメビ』ですが、RPGにはバトルや育成などが欠かせないパーツが多くあります。ここからはそんなゲーム部分についてお伝えしようと思います。

 まずは全体的なゲームバランスの感触ですが、いまどきのRPGとしてはかなりシビアに感じましたね。しっかりレベルを上げて装備を整えないと、ボス戦で全滅……なんてこともありました。経験値稼ぎという行為が好きで、ファミコン時代から数々のコマンド式RPGをプレイしてきた自分的には、どこかなつかしさも感じるほど。

 まあ、『うたわれるもの』のSLGパートも『ダンジョントラベラーズ』シリーズもそうですが、アクアプラス作品は全体的に難易度が高めな印象だし、個人的にも遊びごたえを求めていたので問題なかったですね。

  • ▲バトルで全滅するとゲームオーバーでタイトルに戻りますが、第四章でハルが仲間に加わると一度だけリトライ可能になります(要再戦ゲージ)。

 また、体力の回復やセーブは、追憶の祠や街に戻らないとできないこともあり、石橋をたたくような感覚で少しずつ冒険範囲を広げるプレイなど、これもまたどこかなつかしいなと感じました。理力の回復は第五章でハルの改造が可能になると、彼の能力(ABL)で追憶の祠でも可能になるため、中盤以降はそこまで大変な印象はなかったです。

  • ▲逆に言えばどのボス戦も緊張感があるし、強敵を撃破したときの達成感はかなり高いので“RPGを遊んでいる感”はバツグンですよ!

 そんな手応えのあるバトルの概要を説明すると、『モノメビ』では行動順が“連環”という、三重環の上をキャラクターが時計回りに移動し、指定の場所に来ると行動できるシステムを採用しています(画面左上に表示)。キャラクターの素早さ順に行動が回ってくる仕組みですが、このとき攻撃された対象はノックバックされて、行動順が遅れるようになっています。集中的に攻撃を加えてノックバックさせて、味方の行動順を上げるというような戦略が取れるのがおもしろかったですね。

 さらに、気力を上げて三重環の内側に移動すると、環の大きさが小さくなり一周するスピードが上昇し、そのぶん行動回数が増えるという仕掛けも、ボス戦では大きな駆け引きとなってアツいです。それ以外にもよろめき値による行動順の変化などもあり、じっくり対処できるコマンド式だからこその遊びが用意されており、個人的にはとても楽しめました。

  • ▲第三章まではふたり旅が続くため、3人目の仲間であるムネチカが仲間になると、戦闘が格段に安定します。この仲間が増えた安堵感は、某国民的RPGの2作目(ファミコン版)に近いものがあるかも!?(笑)

 キャラクターの育成はレベルアップ時に上昇するステータスに加え、プレイヤーが任意にポイントを振ることができる仕様です。本作では戦技会得にレベル、物語の進行度、ステータスの値が関係しているので、振り方によっては会得段階が早まるなんてこともあります。

  • ▲実際にはそこまでシビアな判定ではないので、ポイントは自由に振ってかまわないと思います。自分は理力(戦技を使うのに消費)をとことん伸ばすやり方でした。

 次はフィールド全体の話ですが、オープンワールドとまではいかないにせよ、これがものすごく広くてビックリしましたね。とはいえ、こちらも第四章以降は祠間でのファストトラベルが可能になり、そこまで広大であることに不便さは感じません。一歩道をはずれるとかなりランクが上の敵が徘徊しているなど、探索の緊張感が味わえました。

 ちなみに、宝箱や採取ポイントは若干探しにくい印象でしたが、ハルのABLでサーチできるようになるのでよかったです。なので、システム的にいろいろ解放される第五章に到達すると、我慢したぶん視界が開けた感じを味わえると思いますよ。

  • ▲『うたわれるもの』ファンとしては、舞台である大國ヤマトの広大さを実感できる作りなのがよかった。なお、第五章以降はウマに騎乗できるので、移動スピードもアップします。

 というわけで、物語、キャラクター、システムの視点から『モノメビ』の魅力をお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。「骨太のRPGを遊びたい!」という欲求をお持ちの方にはピッタリの作品ですので、ぜひ手に取ってほしいです。もちろん、『うたわれるもの』ファンならば購入はマストで!(笑)

(C)AQUAPLUS

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