2008年5月28日(水)
キューエンタテインメントは、現在サービス中のPC用MMORPG『Angel Love Online(エンジェルラブオンライン)』において、5月29日に大型アップデート「緑の聖域」を実施する。
「緑の聖域」は、その名の示すとおり緑をイメージしたアップデートで、新エリア「密林」や、昆虫や動物などのモンスターが多数実装されるという。今回は、本作ディレクターの諸星富展氏にアップデートの詳細や、今年夏に予定されているPS3版のサービスについて伺ってきたので、興味のある人はチェックしておいてほしい。
諸星氏によれば、「緑の聖域」での主なアップデート内容として(1)新エリア「密林」の追加、(2)それにともなうクエスト追加、(3)新モンスターの追加、(4)レベルキャップ120への引き上げ、(5)新アイテムの追加、(6)2種類のPvPシステムの導入があげられた。これらは、台湾サービスでは今年1月に実装された要素とのことで、上級者向けのアップデートとなるそうだ。
新エリア「密林」は、既存エリア「月隠れの沼」から行ける場所で、緑豊かな8のフィールドマップと、インスタンスダンジョン「無限の塔」、「天空聖域」の計10マップから構成されている。また、新エリアでのクエストが、メインストーリーに絡むもの、その他のものあわせて約50個追加され、レベルキャップも120に引き上げられる。なお、キャクターのレベルキャップが120となることにより、ペットのレベルキャップもあわせて120に引き上げられるとのことだ。
これらのマップは、入り口である「風林の谷」にはLV.65~75くらいのモンスターが徘徊しているそうだが、奥の方ではこれまでのレベルキャップ100を超えるモンスターが登場するという。また、今回のアップデートで6つ目の実装となるインスタンスダンジョンは、2人以上のパーティでのみ入ることのできる独立したマップが用意されたダンジョン。インスタンスダンジョンは、いくつかのマップで構成され、「モンスターをすべて倒す」、「ボスモンスターの撃破」、「マップ内施設の仕掛けを解く」、もしくはそれらの複合によるクリア条件を満たすことで次のマップに進むことができる。諸星氏によれば、今回実装される「無限の塔」と「天空聖域」は、それぞれ推奨レベルが110以上、115以上と非常に難度の高いものになっているそうだ。なお、「天空聖域」はアップデート時点での攻略がほとんど不可能であるため、後日解放の運びとなるという。台湾では解放までに約3カ月かかったそうだが、「日本のユーザー様は攻略がうまいのでもっと早い時期に開放できるのではと考えています」と話していた。
29日から解放されている「無限の塔」。他の場所に比べて狭いマップとなっており、高レベルなモンスターがひしめいているという。塔であるために上の階に進むほどマップが狭くなるとのことだ。 | 諸星氏が「解放は様子を見て行います」と話していた「天空聖域」。レベルキャップが120に引き上げられる今回のアップデートだが、推奨レベルは115以上となるこのダンジョンの攻略には作戦をじっくり練る必要があるだろう。 |
レベルキャップの引き上げと新エリアの追加により、新しいモンスターとアイテムも多数追加されるという。モンスターは新デザインのものが11種類追加され、子連れのゴリラや蠅叩きを持ったカメレオンなどユニークなものから、昆虫系、植物系などの自然にまつわるモンスターが登場するそうだ。
「緑の聖域」では、諸星氏が「今までとは違う萌え系のモンスター」と語るかわいらしい精霊モンスターも登場する。 |
新アイテムは、レベル101~120対象の武器・防具などの装備品、乗り物や機甲が追加されるとのこと。乗り物と機甲に関しては、これまでのものからパワーアップした上位のものが用意されているそうだ。あわせて生産用のレシピ、資源、素材も多数追加される。レシピは通常のものが112種類、+1用のレシピが40種類、注文書が40種類用意されているそうだが、「生産系の技法を上げるのは大変なので、装備品が行き渡るにはしばらくかかると思います」と話していた。
ユニークなもの、カッコイイもの、バラエティに富んだものが用意されているが、どれも性能は非常に高いそうだ。 |
見た目も派手になった乗り物や機甲。とくに生産系のキャラクターが乗る機甲は、戦闘時や採集時などにユニークなアニメーションを見せてくれる。 |
新エリアの追加にともなうアップデートに加えて、「緑の聖域」でもう1つの目玉となる実装要素が新PvPシステム「コロシアム」と「聖域戦場」の実装。「コロシアム」は、参加したプレイヤーが、生き残りをかけて20分間戦い、最後まで生き残った10人には豪華アイテムが贈られるPvPだという。レベル60以上であれば誰でも参戦可能で、参戦者の数に応じて、初級戦、中級戦、上級戦の最大3戦が行われる。最大20名で争う上級戦で、上位10名以内の成績を収めれば、次のコロシアム開催までの1週間だけ使える報酬装備がもらえるという。1位のプレイヤーには、諸星氏いわく「とんでもない強さ」の装備品がフルセットで贈られ、2位以下のプレイヤーにはもらえる装備が限られてくるとのことだ。ただし、強力な装備なので使用期限が設定されている。
1位の参戦者には、非常に強力な装備品と一緒に、装備すると頭上に「1st」を示すバッジがもらえる。1位~3位の参戦者は、バッジがもらえる他、キャラクターに後光が差す。「目立つので嫌がる方もいらっしゃるかもしれませんが、このバッジにも強力な効果が付いています」と諸星氏。 |
「コロシアム」の流れ |
・エンジェル学園、シュロ基地にいるNPC「戦天使」に話しかけコロシアム登録受付マップにジャンプする。 |
・コロシアム開始15分前になったら、「60~69、70~79、80~89、90以上」のレベルに応じた参戦費を支払い、開戦を待つ。なお、無料で観戦も可能。 |
・参戦者の人数により、4戦区に分かれて戦う初級戦、2戦区に分かれる中級戦、上位10名を決める上級戦の最大3戦を行う。コロシアムには、最大500人まで参戦可能。 |
・制限時間は20分。参戦者のチャットは外部と切り離される。各戦、上位10名が次の試合に進め、戦闘不能になってもデスペナルティを受けない。なお、終了30秒前に10名以上の参戦者が残っていると、5秒後から参戦者全員のHPが自動的に減少していく。それでも10名に絞られず試合終了となった場合は、強制的に全滅させられ、その戦区からは次の戦いに進むことができない。 |
・上級戦は、強制的な全滅はなく、10位までの順位が確定するまで争われる。コロシアムが終了すると、優秀なキャラクターがアナウンスされ、成績はランキングボードに更新される。 |
・上級戦で10位以内の成績を納めれば、報奨としてレアアイテムがもらえる。 |
もう1つのPvP「聖域戦場」は、システムによって振り分けられた2チームが、相手のクリスタルを奪い合う集団戦。参加レベル制限や戦闘不能によるデスペナルティはないが、参戦には課金アイテム「戦場ルーンストーン」(料金未定)が必要になるという。なお「聖域戦場」では、参戦者全員が報奨として経験値がもらえ、もらえる経験値は勝敗と戦場の行動によって得られる「個人ポイント」に依存するとのことだ。
チームの振り分けは、キャラクターの強さは職業によってシステムが自動的に行う「聖域戦場」。エンブレムウォーとは異なり、事前の打ち合わせが無理なので、臨機応変にコミュニケーションを取るのが勝敗の決め手となる。 |
ルールとしては、2チームに分かれた参戦者たち(各チーム最大250名)が、相手陣営のクリスタルを奪い、自陣営の指定NPCに渡すことで1チームポイントとなる。1時間の制限時間で、より多くのチームポイントを獲得するか、先に20ポイントとれば勝利だ。1人あたりのクリスタル所持時間は5分で、プレイヤー間が任意にクリスタルを受け渡すことはできないそうだ。なお、クリスタル所持者が戦闘不能になるとクリスタルがその場に30秒間だけ残り、そのクリスタルを拾うことで再び自陣営に運べるようになるという。また、自陣営側のクリスタルを拾うことができないので、相手を戦闘不能にしてそのクリスタルを奪うことはできない。
さらに諸星氏によれば、「聖域戦場」では単にクリスタルを奪い合うだけではなく、生産系のキャラクターも活躍できるように、「天使の彫像」や「城門」といった施設の建造が可能だという。「天使の彫像」は、戦闘開始時は各チーム10個あり、最大25個まで設置することができる。0個、5個……と5個区切りに、戦闘不能時のホームスポットが変更される。もちろん「天使の彫像」が多いほど戦場に近いホームスッポットに設定されるとのことだ。もう1つの城門は、戦場10カ所に設置できる防衛施設で、敵の侵攻を防ぐことが可能。どちらの施設も、事前に持ち込んだ素材か、戦場から採集できる「建築材料」を特定のNPCに渡すことで設置でき、相手の施設を破壊することもできるという。これにより、生産系キャラクターの活躍や、低レベルキャラクターの遊撃効果などが望めるだろうと話していた。
「天使の彫像」と「城門」、どちらを優先して設置するか、施設の破壊に戦力を割くか、「聖域戦場」ではさまざまな戦術が考えられる。高レベルの戦闘に長けたキャラクターだけでなく、低レベルキャラクターや生産系のキャラクターにも活躍の場は用意されている。 |
戦いが終われば、勝敗と「個人ポイント」により大量の経験値がもらえる。諸星氏によれば、「勝利チームにいても個人ポイントが0だと、敗北チームで獲得できる経験値と同じになります」とのこと。また、「聖域戦場」での戦績はランキングボードに掲載される。以下に個人ポイントが入る行動を紹介しよう。
個人ポイントが入る行動 |
・敵を倒す。1人の敵につき2ポイントもらえる。ただし、自身のレベルより10以上低いレベルの敵からは、ポイントを入手できない。 |
・敵のクリスタルを奪う。指定NPCにクリスタルを渡したプレイヤーが500ポイントもらえ、運搬中クリスタルにかかわったプレイヤーには、20ポイントずつ与えられる。クリスタルが地面に落ちて30秒経過した場合は、そのクリスタルに関するポイントはもらえない。 |
・敵の「城門」を壊す。城門の強度により、5~40ポイントがもらえ、破壊にかかわったプレイヤーでポイントを分ける。 |
・敵の「天使の彫像」を壊す。1個の彫像につき2ポイントもらえる。複数のプレイヤーが破壊にかかわった場合は、もっともダメージを与えたプレイヤーに与えられる。 |
・「天使の彫像」を作る。「戦場の建築材料」1種につき1ポイントもらえ、2種納品すれば作成できる。 |
・「城門」を作る。5~40個の「戦場の建築材料」から城門を制作し、納品した個数分ポイントがもらえる。 |
すでに昨年からPS3版の開発が伝えられていた本作。PS3版の開発状況、サービス時期についても伺い、実機でのプレイを体験してきた。
PS3用コントローラを渡された際に言われて驚いたのが、「このキャラクターは、現在動いている本サーバ上にいます」という言葉。すでにPC版と同じサーバでのプレイが可能となっている状態であり、ベータテストの必要なく正式サービスを開始できる状況だという。正式サービス開始は、今年の夏を予定しているとのことで、今は細かい調整が行われているとのことだ。
気になる操作感だが、PS3用コントローラの左スティックを使用しての移動は快適そのもの。というのも、MMORPGでの移動は一般に、クリックした地点まで移動したら停止するか、アングル操作の面倒な自動移動しかないからだ。移動がコンシューマゲーム同様に行える他、個人商店が多く出されている広場でも「画面が重い」と感じることなくスムーズに移動できた。その時は人が少ないとのことだったが、キャラクターの多い場所でも移動にストレスを感じることはないだろう。ちなみに、この時にプレイしたクライアントの2個前ほどのバージョンでは、処理速度がかなり遅かったそうで、現在のストレスのない状態にするまでは苦労したという。
実際にPS3で動いている『Angel Love Online』。 |
またPS3版では、PS3用コントローラ、キーボード、マウス、すべてを併用することができるという。PS3のソフトキーボードにも対応しているが、プレイにはキーボードの使用を推奨するとのこと。PS3用コントローラだけでのプレイも可能だが、移動にはコントローラ、ターゲット指定にはマウス、チャットにはキーボード、といった3種のコンソールの利点を生かしたハイブリッドな操作もできる。
なお、すでに本サーバでのプレイが可能であることから、PS3版の正式サービス開始時点で、PC版と同じクライアントバージョンで遊べるそうだ。クライアントはPLAYSTATION Networkを利用しての無料ダウンロードが行えるとのことなので、指示に従ってインストールすればプレイするだけとなる。課金アイテムに関しては、PC版と同様にエンジェルポイントを購入し、それを使用して購入することになるという。PS3版のサービス開始時期には、キャンペーンなどによるPS3ユーザーの支援も行われるとのことだ。
最後に諸星氏からPS3ユーザーに向けたメッセージとして、「コンシューマゲームは、完成していておもしろいものなのですけれども、いろいろなユーザー様が1カ所に接続して遊んでいるMMORPGも遊んでいたければと思います。PS3で2Dグラフィックなのですが、ゲーム性としてはおもしろいものになっていますので、ぜひ楽しんでください」という言葉をいただいた。
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