2008年5月29日(木)
先日、7月1日22:00よりアニマックスにて放送スタートするTVアニメ「ウルトラヴァイオレット:Code 044」の第2話アフレコが行われた。
本作は、2006年に制作された実写映画「ウルトラヴァイオレット」を題材とした新作TVアニメーション。近未来的な世界観を舞台に、政府に属する主人公“044(フォーティー・フォー)”と、政府と敵対する吸血鬼軍団「ファージ」の若き戦士“ルカ”の2人を中心とした物語が描かれる。「あしたのジョー」や「エースをねらえ」などの名作アニメを手掛けてきた出崎統氏と杉野昭夫氏らが、それぞれ監督・脚本、キャラクターデザインを手掛ける他、制作はマッドハウスが行う。また、主人公“044”を朴ろ美さん(「ろ」は王へんに「路」)、若きファージ戦士“ルカ”を関智一氏、政府側のリーダー“ダクサス二世”を小山力也氏、「ファージ」の首領“キング”を羽佐間道夫氏が演じるなど、キャストにも豪華声優陣が揃っている。
今回、電撃オンラインでは朴さん、関氏、小山氏の3名からお話を伺ってきた。「ウルトラヴァイオレット:Code 044」の魅力をたっぷりと語ってもらったので、ぜひチェックしていただきたい。
左から関智一氏、朴ろ美さん、小山力也氏。 |
――それぞれの役について紹介をお願いします。
朴さん:「ウルトラヴァイオレット」というミラ・ジョヴォヴィッチさん主演の実写映画から、さらに未来が舞台となっています。その中で、(“044”は)“ヴァイオレット”の遺伝子を持っているんじゃないでしょうか? “044”は、強化された人間で、若いころに完成させられているんですけど、寿命が短いんです。その寿命の短さを自分で予感していて、その虚しさから解放されるのであれば、死も恐れていないと思います。自分の存在価値ってなんなんだろう、とすごくグラついているところに、今回の第2話で“ルカ”と出会いました。“ルカ”を見て何か思ったわけではなく、突然「お前を愛している」という言葉が聞こえて、“ルカ”を助けてしまうんです。それが第2話の最後に描かれていて、今後どうなってしまうのかという感じです。
関氏:僕は“ルカ”という役なんですけど、“キング”率いる「ファージ」の中で、地区の暫定リーダーを務めています。今回第2話で初登場して、“キング”のために“044”と対峙します。“044”のあまりの戦闘力の前に敗れ去るのですが、その後どうなっていくのかというのがこれからの見どころになります。
小山氏:“ダルサス二世”はエキセントリックな男でして、およそ何でも自分の思い通りになると考えています。「ファージは人間じゃない!」と今日も断言していました。そういう「権力に就いていて当たり前」という男が、“044”の反抗によって自分の立場が危うくなり、どのようにエキセントリックさが増していくのか、これからどんどんテンションが上がり放題だと思います。
――“044”はどんな性格をしていますか?
朴さん:今のところ描かれているのは、無機質――というか「ファージたちは人間ではない」、「自分の任務はとにかくファージたちを一掃し、“キング”を倒すこと」といった任務のみに生きている感じです。ですが、虚しさもどこかで感じていると思います。
――役作りで心掛けていることを教えてください。
朴さん:先々週、第1話の収録だったんですけれど、柄にもなくすごく緊張してしまいました(笑)。洋画の吹き替えではよくお会いする方々ですけれど、アニメの現場で会うとすごくオーラを感じて、ふとガラスの向こうを見ると重鎮の方々がずらっと並んでいてすごく緊張してしまいました。そんな自分に負けないようにしようと思っています。
関氏:今日初登場なので、いろいろ世界観を探りながらというところもあります。主人公の“044”と敵対する人間として登場しながら、彼女がふと僕を助けてくれるわけですよね。そこで、彼女も自分が置かれた立場を裏切ることになるでしょうし、僕も自分が憎んでいた人に助けられる状況で物語がスタートしていくので、そこをどういう風に演じていくかがおもしろいところだと思っています。
小山氏:“ダルサス二世”は、典型的な支配者でして、上からものを見て当たり前という考えの持ち主です。今日初めて、「ちくしょう!」という出来事がありましたが、とにかく支配欲を持っていて、人間を人間と思っていない明らかに見下す態度の人間です。でも“044”の魅力もちゃんとわかっていて、「もしファージでなければ、お前を俺のものにしてやるんだけどな」といういやらしさもありますね。非常に冷酷であり、自信家であり、世の中はすべて自分の思うように動かして当たり前だという傲慢なところ(が彼のキャラクター)ですね。でもそれが、いろいろな弱さと実は裏腹なところだと思うんです。それゆえに、これから乱れてくるところもあると思うので、どんな風に変わっていくのか楽しみでもあります。
――朴さんにお聞きしますが、実写映画「ウルトラヴァイオレット」を参考したところはありますか?
朴さん:実写版の「ウルトラヴァイオレット」自体、とても楽しく見させていただきました。だから、「こうしてやろう」とは思いませんでしたが、アニメになったら「あの世界観がどう動いていくんだろう?」という点はすごく興味があります。ミラ・ジョヴォヴィッチさんとこの人(“044”)、似てますけどなんで似てるのかなと。
――第2話までのアフレコを終えて、この作品の魅力はどこにあると感じていますか?
朴さん:近未来を舞台にした世界観ですけど、(人間の)厚みたいなものが伝わってくる絵だと感じました。私も昔、出崎さんの作品を拝見しましたが、絵の端々に出崎さんの匂いを感じます。近未来でカッコよく、スラーッと行くのではなく、いびつなものが端々にあって、それが心に残る作品だと思います。
関氏:出演されてる方々、作品の世界観、そういったものが、大人が見ても楽しめるような深みのある作品だと感じています。僕は、出崎監督の作品にお世話になるのは初めてなのですが、僕も子どものころから監督の作品を拝見してましたから、光栄ですし楽しみだと思っています。
小山氏:近未来の設定の作品はたくさんありますが、これはいろいろと詰め込みすぎて難しいのではなくて、監督の焦点がしっかりしているので、わかりやすいです。いろいろなことを持ち込むと、1クールやそれより長いスパンでも描ききれないんじゃないか、と思ったりするようなこともあったんですが、「何をやりたいか」がすごくはっきりしている映像に思えました。その中で、それぞれの人間がすごく生きている気がしますし、描きたいことが描ききれるように先をしっかり見据えているのを、魅力的に感じましたね。それと、僕も監督の作品に呼んでいたけれるのは初めてなのでうれしいです。このごろ気がつけば、チームの中で一番年上といったこともままありますが、まだまだ先輩に揉まれたいと思っておりますので、大ベテランの方々とこれからご一緒させていただくのが楽しみです。キャスティングも、映像のクオリティも、話も、しっかりチームででき上がっている気がしますので、それになんとか乗っからせていただいて、やれることを思い切りやらせていただこうと思いました。
――ファンの方々にメッセージをお願いします。
関氏:僕は、朴さんと今日会った時に「この現場は緊張するんだよ」って言われて、その時は「へー、そうなの」って思ってたんですけど、終わってみたら自分も結構緊張してるなって(笑)。今後また集中して、自分も覚醒するように頑張って、自分を追い込んでいきたいと思います。
小山氏:監督が今まで蓄積してきたものの、集大成みたいなものを感じました。キャスティングにも恵まれたと思いますし、自分のキャラクターにも「こんなことを求められているんだな」、「それに自分がどこまでいけるか」という目標がはっきりしているので、非常にやりがいを感じております。いろいろ素敵なところがあると思いますが、たぶんひと目見ていただければ何かしら惹かれるところすぐ見つけていただけると思いますので、先輩に揉まれながら頑張りたいと思います。
朴さん:この作品は、地の底がグラグラグラグラ! としているようなエネルギーをすごく持っている作品だと思います。かむめばかむほど味がでるスルメ作品だと思うので、1度見て違和感を覚えたのなら、2度見て「なるほど」と思っていただき、3度見て「あ~すごいな」と感じていただける作品だと。そうなるように、私も精一杯頑張ろうと思っています。出崎さんをはじめ、音響監督の山田知明さん、たくさんの役者さんたちを信じてやっていきたいと思いますので、1人でも多くの方に楽しんでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
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TVアニメ「ウルトラヴァイオレット:Code 044」