2008年6月12日（木）

【今週の1本】時空を越えた恋、4度！ PS2用ソフト『遙かなる時空の中で4』

　ちょっと前まではマイナーなジャンルだった乙女ゲームも、今ではすっかり市民権を得た今日このごろ。とはいえ、数多くのメーカーから乙女ゲームが出される現在でも、大きな存在となっているのはコーエーのゲーム開発チーム「ルビー・パーティー」がリリースする「ネオロマンス」だろう。『アンジェリーク』、『遙かなる時空の中で』、『金色のコルダ』、『ネオアンジェリーク』の4シリーズあるが、今回取り上げるのは6月19日に発売される最新作『遙かなる時空の中で4』だ。これまで3作品全てプレイしてきているので、今回は果たして、どんなストーリーになるのかが気になってしょうがなかった。ということで、まずはストーリーをみていこう。

■龍神の神子は降臨するのか……

　時は神代、異世界「豊葦原（とよあしはら）」の「中つ国（なかつくに）」は、龍神の眠る、美しく豊かな土地であった。だが、その平穏は突如として破られる。「常世の国」の「皇（ラージャ）」が、大軍を率いて攻めてきたのだ。人々は必死に抵抗するも、龍神の力を借りることができず、「中つ国」の王都「橿原宮（かしはらのみや）」は炎に包まれてしまう。以来、人々は荒れすさぶ八百万の神々におののき、「常世の国（とこよのくに）」の圧政に耐える日々を強いられることとなる。伝承に聞く龍神の神子の降臨に望みを託して……。

■女子高生だった主人公は、今日を境に姫となる

　本シリーズのスタートは現代で、何かの出来事がきっかけとなり、主人公は異世界へとおもむく。本作での行き先は「豊葦原」だが、最初の舞台はやはり現代の高校から。会話が発生して選択肢が表示されることがあるが、この時に適切なものを選ぶと相手の好感度が上がることがあるので、真剣になってチョイス。相手の反応もまずまずだったので、ホッと一安心。


スタートは現代の高校。教室から今回の物語は始まる。選択肢が表示されたら、相手の性格を考えたものを選ぶと、好感度アップのチャンス。

　授業も終わった放課後、主人公は同級生の“那岐（なぎ）”と一緒に帰宅することになる。ここでは、「移動」や「会話」といった本作で初めて登場するアクションに対して、細かなヘルプが表示される。普段、ゲームをあまりプレイしない女性向けの仕様なのだろうが、このような細やかな気配りがなされているのは、「ルビー・パーティー」がプロデュースするタイトルだからなのだろう。プレイする人が何を求めているのか、それがちゃんとわかっていないとできないことだけに、毎度ながら感心させられる。おかげで、マニュアルを読む必要もないし、非常に楽ちん。ただ、キャラクターが3Dポリゴンで表示されたのには、ちょっと驚いた。これまで、このシリーズは2Dで展開してきただけに、意表をつかれた感じ。とはいえ、3Dキャラの大きさはそれほどでもなく、思った以上にゲームにマッチしていたのはよかった。


何か新しいアクションを起こすたびに説明が入るので、操作などに迷うことはない。しかも、話したり調べたりできる対象には黄色の矢印が表示されるため、ダメなゲームにありがちな○ボタンを連打して対象を探す、なんてことも不要だ。


最初に“3Dキャラにちょっと驚きつつも、思ったより大きくないため違和感を感じない。操作感はなかなか快適。

　一度帰宅してから後、再び外出することになるが、ここで初めての戦闘が発生する。最初ということで、戦いも詳しい説明が入るため、特に問題なくクリア。ここで主人公の記憶がフラッシュバックし、彼女が「中つ国」を統べる姫だったという衝撃の事実が発覚する。シリーズを通してプレイしている人には、お約束の展開ともいえるだろう。そして序章が終わり、いよいよ「中つ国」を舞台にした本編スタートとなるのだ。


戦闘シーンも、詳しい説明が表示される。最初は地味だが、仲間が増えて条件が整えば、派手な術が使えるように。

■親切なシステムもよいが、登場キャラに惹かれまくり……

　気を失った主人公が次に目を覚ますと、そこはもう「中つ国」。傍らにいる“那岐”と一緒に、ひとまず移動を開始することになる。移動は、左スティックで主人公を操作するだけでなく、行き先をマップ上のカーソルで指示したり、一覧表示させた中から選べるなど、実に多彩。移動1つで、これだけ配慮されているゲームも、そうないはず。ゲームを快適にプレイしてもらい、シナリオを楽しんでほしいという作り手の心意気が伝わってきた。


次の目的地へと移動すればストーリーが進んでいく。物語が進めば、寄り道をすることで違った話を体験できることもある。

　移動中にも戦闘が発生するが、細かなルールはさておき、敵を早く倒すほどに仲間の好感度が上がる仕組みになっている。とはいえ、最初は主人公も仲間も弱いので、そんなことはなかなかできない。「しばらくは地道に戦うしかないなー」と思いながら先へ進むと、現代の世界で高校教師をしている、主人公にとっては兄のような存在の“風早（かざはや）”と出会う。ところが、そこでもう1人、「常世の国」の皇子“黒雷（くろいかずち）アシュヴィン”とも対面することに。まだ3キャラしか出てきてないけど、“風早”が頼りになるし年上らしい落ち着きがあるし、最初は「“風早”一直線でいくべき？」などと余計な妄想を巡らしていたら、とんでもなく強い敵との戦闘に入っていてビックリ！


登場するキャラは美形だらけ。声も渋いし、性格もさまざまなので、間違いなくお気に入りのキャラが見つかるはず。しかも、これ以外にもまだ沢山登場するというのだから、もう目が離せない！

　一撃で気力のほとんどを削られ、2巡目であえなく気絶。すると、仲間の好感度が下がった！　ううう、どうやっても現時点では勝てない敵なのに……。そんなことを嘆きながら、“風早”の顔を見てはニヤニヤし、セリフを聞いては心を震わせつつ、とりあえずの拠点に到着した。着いて早々、主人公は妙な噂話を立てられるも、“風早”がかばってくれているシーンを見て、また心惹かれてみたり。そうこうするうちに、今度は主人公を守るんだと言って、11歳の少年が登場。しかも、犬耳！　さっきまでの“風早”への気持ちはどこへやら、彼をギュッと抱きしめて守ってあげたくなるような、そんな気分になったところで自分を落ち着かせて（笑）終了。


最初に“今作では、エンディングを迎えられるキャラだけでなく、サブキャラクターのストーリーも進めることができる。敷居は高いが、相手のためならば越えられるはず!?

■あらゆる面できっちり作られている、安心してプレイできる乙女ゲームの代表作

　それにしても、毎度ながら聞いているだけでこちらが赤くなってしまいそうな、そんなツボをついたセリフと、それをさらりと言ってのけるキャラクターに、終始心が躍りっぱなしの時間を過ごしてしまった。相変わらず「ルビー・パーティー」の作る乙女ゲームは、プレイヤーが何を求めているのかを分かっていて作っているなぁ、と感心。しかも、毎作品をプレイしていてもマンネリ化があまり感じられないというのも、なかなかすごいこと。

　今作も、期待を裏切ることのないセリフ、キャラクター、そしてBGMと、三拍子揃っていた。声優陣も、相変わらず心ときめく人たちが担当しているので、和の世界や神話が嫌いじゃなければぜひともオススメしたい。（佐々木潤）

▼『遙かなる時空の中で4』: ■メーカー：コーエー; ■対応機種：PS2/Wii; ■ジャンル：AVG; ■発売日：2008年6月19日; ■価格：各7,140円(税込); 　; ▼『遙かなる時空の中で4(PS2) 通常版』の予約・購入はこちら; 　; ▼『遙かなる時空の中で4(Wii)』の予約・購入はこちら

▼『遙かなる時空の中で4 プレミアムBOX』: ■メーカー：コーエー; ■対応機種：PS2; ■ジャンル：AVG; ■発売日：2008年6月19日; ■価格：9,240円(税込); ※「遙かなる時空の中で4 水野十子原画資料集」、「水野十子アートカード」同梱; 　; ▼『遙かなる時空の中で4 プレミアムBOX』の予約・購入はこちら

▼『遙かなる時空の中で4 トレジャーBOX』: ■メーカー：コーエー; ■対応機種：PS2; ■ジャンル：AVG; ■発売日：2008年6月19日; ■価格：9,240円(税込); ※「遙かなる時空の中で4 水野十子原画資料集」、「水野十子アートカード」、「水野十子描き下ろしイラスト入り遙かなる時空の中で4 フォトライブラリ」、「八葉の宝玉」天然石コレクション同梱; 　; ▼『遙かなる時空の中で4 プレミアムBOX』の予約・購入はこちら