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2008年7月18日(金)

小西克幸氏渾身の次回予告!? PSN発表会で「亡念のザムド」の概要が明らかに

文:電撃オンライン

 SCEは本日7月18日、銀座・ソニービルにおいて「PLAYSTATION Network 新規コンテンツ制作発表会」を開催し、アニメ作品「亡念のザムド」の発表会を行った。

「亡念のザムド」

 「亡念のザムド」は、6月26日の同社中期経営方針説明会にて発表された「ビデオ配信サービス」におけるコンテンツの1つ。TVアニメ「鋼の錬金術師」や「交響詩篇 エウレカセブン」など数多くの作品を手掛けるボンズがアニメーション制作を行い、「オーバーマン キングゲイナー」や「交響詩篇 エウレカセブン」などに携わってきた宮地昌幸氏が監督を、「鋼の錬金術師」などの作品に携わった大島ミチルさんが音楽を担当するなど、実力派スタッフが作り出すSFアクションとなっている。

 本作では、高解像度のHD映像、従来のTV画質であるSD映像、5.1chサラウンドに対応しており、PLAYSTATION Storeの独占配信で全26話が制作される。HD版400円(税込)、SD版300円(税込)の各話3日間の有料レンタル方式で配信され、PS3およびPSPで視聴できる。配信開始は9月予定で、毎週1話更新されるとのこと。なおアメリカでは、すでに第1話が配信中だ。

 ストーリーとしては、黒光りする油泥海に囲まれた「尖端島」を舞台に、両親が別居中の主人公“アキユキ”が、親友の“ハル”や“フルイチ”と一緒に登校する途中で何者かの爆発事件に巻き込まれるところから開始する。

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 そこで白髪の少女と出会った“アキユキ”は、彼女の撒き散らした「ヒルコ」が体内に入り込んでしまい、異形のバケモノ「ザムド」に変化してしまう。時を同じくして尖端島を襲う北政府のヒトガタ兵器たち。「ザムド」に変化した“アキユキ”は、力を制御することができずに暴走し、ヒトガタ兵器へと襲い掛かっていく。

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 ヒトガタ兵器と戦い、理性を失っていく「ザムド」の前に1人の少女が現れる。ヒルコの声を聞く能力を持つ「ヒトガタ使い」の少女“ナキアミ”は、抜血針を使ってザムドの暴走を止め、彼女の拠点である国際郵便船ザンバニ号へと“アキユキ”を連れて帰る。“ナキアミ”の看病で元の姿を取り戻した“アキユキ”は、ザムドの力を制御できるようになること、いつか尖端島に戻ることを誓い、ザンバニ号の仲間とともに世界をめぐっていくことになる。

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 本日の発表会では、ボンズ代表取締役の南雅彦氏、監督・宮地昌幸氏、“竹原アキユキ”役・阿部敦氏、“西村ハル”役・折笠富美子さん、“ナキアミ”役・三瓶由布子さん、“アクシバ”役・小西克幸氏が来場。本作についての話を伺うことができた。

「亡念のザムド」

 南氏によれば、スタジオから上がってきた本作の企画を見た時に、「これまでにない映像・クオリティの新しい作品になる」と感じたのだという。同じころ、SCEよりPLAYSTATION Networkの展開について話を聞き、「まるでこの作品のためにあるようなシステムだ」と思って、今回のPLAYSTATION Store独占配信に至ったのだと話している。

「亡念のザムド」
「新しい作品が新しい形で世に出ることになりました。監督たちはまだ制作真っ只中ですが、最後まで皆さんに楽しんでいただける作品を作っていきたいと思います」と意気込みを語る南氏。

 本作で初の監督を務めることになった宮地氏は、本作のモチーフがあるていど固まった上で、今までも一緒に仕事をしてきた仲である今回の制作スタジオのメンバーとともに、「この作品は今やるしかない」と感じて作品に手をかけ始めたそうだ。

 作品の見どころについて尋ねられると、「アニメーションは、絵で描いてるものなので、痛みや悲しみ、喜びなど喜怒哀楽全般から無頓着になっていける部分があります。でも、そういったことは捨てたくなくて、「傷ついても翌週は元気」みたいなウソはつきたくないと思っています」と、本作が人間の感情表現を非常に重視されていることを語った。

「亡念のザムド」
「ファンタジーものがあまり好きでない人の方が楽しんでいただけると思います。世界の人たちと同時に作品を見ることも、スリリングでおもしろいことだと思いますので、そのあたりも楽しんでいただきたいです」と、宮地氏は世界中の人に作品を楽しんでもらいたい思いを話していた。

 続いては、キャスト陣から役どころの紹介と、本作に対する意気込みが語られた。本作で初の主人公役を演じることになった阿部氏は、「オーディションの返事が来るのが遅くて……(笑)。でもボンズの作品で主役をやりたいと思っていたので、それが叶ってうれしいです」と喜びをうかがわせた。“アキユキ”については、友だちと会えばふざけあったり、母親に対しては乱暴な言葉遣いをしたり、特に男の子からは誰からも共感を得られる普遍的な主人公であるという。

 そんな“アキユキ”の幼なじみ“ハル”を演じる折笠さんは、「(アニメーションの)キャラクターの表情や動きがリアルなので、過剰な演技にならないよう気をつけています」とのこだわりを披露。作品の空気感を崩さないような演技を心懸けているそうだ。

「亡念のザムド」 「亡念のザムド」
「亡念のザムド」には、新人から大ベテランまで幅広いキャリアのキャストが参加している模様。そんな中にあってもっとも新人となる阿部氏は、「とにかくぶつかっていくしかない。その辺は“アキユキ”と共感しながら演じていきたいです」と意気込みを語った。

 第1話で“アキユキ”と大きなかかわりを持つことになる“ナキアミ”。彼女は、物語の中心となるザンバニ号で育てられたキャラクターで、ザムドの力を抑えられる「ヒトガタ使い」としての力を持っている。それゆえに“アキユキ”の教練役としてかかわってくる彼女は、一見クールに見えるそうなのだが、「もっと声を出してください」、「もっと感情を出してください」といった指示も三瓶さんによく出されるとのこと。三瓶さんは、内に秘めたるものを持っているであろう“ナキアミ”を、「彼女なりに人間関係の中で考えてることがある」というのを大切に演じていきたいと話していた。

「亡念のザムド」
第1話には、ザムドに変化した“アキユキ”の前に突如現れた“ナキアミ”が、生きるか死ぬかを迫るシーンがあるという。三瓶さんには、とても印象的なシーンとなっているそうだ。

 続いては、“アクシバ”を演じる小西氏が、本作のちょっとした舞台裏を披露した。“アクシバ”はザンバニ号の船員で、船内を学校に例えれば「クラスのお調子者みたいなキャラクター」になるそうだ。ラジオ番組やイベントなど、ユニーモアのあるトークを展開することでも知られる小西氏は、“アクシバ”を演じるというよりは、「そのままの自分を出しているので、特別な苦労を感じることはなくて、フリーダムにやらせてもらっています」とのことだ。

 さらに小西氏がもう1つ演じているのが、次回予告のナレーション。毎回、宮地監督から原稿が上がってくるそうなのだが、小西氏がこれに対して「こうやったらどうか」と、さらにフリーダムに、アレンジを加えた演技を収録しているのだという。宮地監督も、小西氏の演技は「いつも期待の上を行く」と感じているそうで、つぎつぎにハードルを上げた次回予告の原稿を書いているようだ。ただし最近は、小西氏にとって「それが怖い」そうで、15秒ではとても読みきれないようなテキストなどが送られてくるなど、次回予告にとても苦戦しているらしい。

「亡念のザムド」
「オープニングから次回予告が終わるまでが「亡念のザムド」です!」と自身の苦心も重ねて番組をアピールする小西氏。「前にこんなことをしたから、次はこんなことをやってみよう」といった試行錯誤をあれこれしているそうだ。ぜひ次回予告にも注目しよう。

「亡念のザムド」 「亡念のザムド」
PLAYSTATION Store独占配信となる本作。「PS3を持っていますか?」という質問に、「持っていません……」という返答が続いた中、三瓶さんは「このお話をいただいた時にもらえると思っていました(笑)」と内心を暴露。会場の笑いを誘った。

 以上、スタッフやキャストも来場した「亡念のザムド」制作発表会。最後に本作のシーンカット集を掲載するので、9月の番組配信を楽しみに待とう。

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「亡念のザムド」では、“アキユキ”の「考え続ける」冒険と成長が描かれる。登場人物の感情が細かに描かれた、期待の新作オリジナルアニメーションだ。

(C)BONES / Sony Computer Entertainment Inc. , Aniplex

■アニメ「亡念のザムド」
【配信開始日】2008年9月予定(毎週1話更新/全26話)
【配信方法】PLAYSTATION Storeにて有料ダウンロード
【視聴料金】1話につき HD版400円(税込)/SD版300円(税込)
【視聴方法】初回視聴開始より3日間のレンタル方式

【スタッフ】(※敬称略)
 監督:宮地昌幸
 アニメーションディレクター:奥村正志
 キャラクターデザイン:倉島亜由美
 ザムド・メカニックデザイン:橋本誠一
 メカニックデザイン:山根公利
 ヒトガタデザイン:水畑健二
 美術監督:青井孝
 色彩設計:梅崎ひろこ
 撮影監督:宮原洋平
 編集:坂本久美子
 音楽:大島ミチル
 他

 アニメーション制作:ボンズ

【キャスト】
 “竹原アキユキ”:阿部敦
 “西村ハル”:折笠富美子
 “寺岡フルイチ”:立花慎之介
 “西村ミドリ”:藤村歩
 “竹原リュウゾウ”:石塚運昇
 “竹原フサ”:早水リサ
 “ナキアミ”:三瓶由布子
 “紅皮伊舟”:玉井夕海
 “アクシバ”:小西克幸
 他

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