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2008年7月28日(月)

【今週の1本】海からサイレンが響き、消えた村が蘇る『SIREN: New Translation』

文:電撃オンライン

 夏本番に向かい、ますます暑くなっていく毎日。そんな日々を無理やり涼しく過ごすには、ホラーゲームがピッタリ! ということで、前回の『THE 廃屋病棟』に続くホラーゲーム紹介第2弾として、今回は7月24日に発売された『SIREN: New Translation』をプレイしてみた。本作は、2003年の11月にPS2で発売された『SIREN』の「新訳」版だ。登場人物を欧米人に変え、彼らの視点を通して本作の世界を表現している。まずは、そのストーリーを見てみよう。

■サイレンの音が、死者を蘇らせる……

 内陸に位置し、三方を山々に囲まれた「羽生蛇(はにゅうだ)村」。ここには、古くから独特の信仰と土着の伝承が根付き、外界との接触を拒むかのように、ひっそりと村人の営みが行われていた。しかし、その生活も1976年に村全体を襲った土砂災害により、泥土に飲まれて消えてしまう。

 そして2007年、この地を取材に訪れたアメリカのクルー一行は、消えたはずの村人たちによって、すでに失われた「人間を贄とする儀式」が遂行されるのを目撃。恐怖と混乱の中、聞いてはならない呼び声のようなサイレンが鳴り響く。その後、彼らは消息を絶つこととなる。

■のっけから生贄シーンが!

 ゲームは、アメリカのクルーたちが「羽生蛇村」の儀式を目撃してしまうシーンから始まる。人が人を生贄にする……そんなシーンを見せ付けられて、クルーたちは大混乱。個人的にはまだ序の口といったところだが、普通に考えれば十分怖いところだろう。これからの展開に胸が高鳴ってくる。

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ムービーシーンで流れる映像は、かなり怖い。夏にプレイするにはぴったりなソフトだといえるだろう。

■いきなり襲われるも、目的通りに進めば問題なし

 第1章は、東京のインターナショナルハイスクールに通う主人公の青年“ハワード・ライト”が「羽生蛇村」を訪れ、偶然にも儀式を目撃してしまうシーンから始まる。そして、人が人を殺す瞬間を目の当たりにした“ハワード”は、近くの駐在所へと必死に駆け込むのだが、そこへ、半分暴走したパトカーが突っ込んできた。しかも、車から出てきたのは、ゾンビのような怪物「屍人」となった警官だった! さらには、持っている拳銃をこちらに向けて発砲してくる始末。とりあえず、新しい展開があるかな? と思っていただけに、不意をつかれてビックリ。焦りから、冷や汗をたっぷりと出してしまった……。

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最初に敵となる警官だが、まともに戦ったら簡単にやられてしまう。とにかく逃げ回ろう。

 なお、各章の始まりには、必ず画面左上に目的が表示される。今回の目的は、この駐在警官からの逃亡だ。ストーリーが進むと、目的を遂行するための小目的が細かく表示される。そのため、途中で迷ったりすることがないのは非常に親切。ゲームに慣れていない人でも、まず迷うことはないだろう。

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画面左上に示された目的にそって行動すれば、迷うことはない。もう少し話が進めばマップも見られるので、そうなれば迷子の危険性も減る。

 そんなわけで、とりあえずは襲ってくる警官から何とかして逃げなければならい。画面を見渡すと、うっすらと上り坂が見える。他に移動できる場所はないし、ここしかない! と思って登っていくと、小さな民家を発見。家の前まで行くと、画面下に「隠れる」というアクションコマンドが表示された。すかさず○ボタンを押してみたところ民家の軒下らしき場所に身を潜めた。しばらく待機していたら、なんとか警官をやり過ごすことに成功。今度は民家の中に侵入してみた。

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「隠れる」や「××を持つ」など、何かしら行動を起こせる時に表示されるのがアクションコマンド。隠れられる場所を見つけた時は必ず表示されるので、とても便利な機能だ。

■基本は試行錯誤

 と、これだけ読むといかにもサクサクと進んでいるように感じるかもしれないが、実はこの民家を見つけるまでに3度も警官に殺されていた……。ゲーム自体はそう難しいわけではないのだが、暗闇のために周囲が見づらく、そんなシチュエーションで「屍人」に追われているために、恐怖心から思いっきり焦ってしまうのだ。そのため、何度もプレイして敵の動きや地形などを少しずつ把握しながら恐怖に慣れ、やられたらそれまでの経験を元にプレイし直してさらに少しだけ先へ進む、という試行錯誤が要求される。

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隠れる場所が見つからなかったり、襲われたりと、一度ではクリアできないことが多い。しかし、2度3度とプレイしていけば必ずクリアできることも、また事実。何度もチャレンジすれば、絶対に道は開ける!

 また、「屍人」に襲われて組み敷かれると、コントローラを振るようにとの指示が画面に表示される。PS3のコントローラの機能を有効に使っているゲームをあまりプレイしたことがなかったのだが、これはナイスアイデア。ただし、くれぐれも振りすぎて、周囲の物や人にぶつけたりはしないように。

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組み敷かれると、画面中央にコントローラを振るようにと表示されるので、勢いよくシェイク!

 ちなみに、ホラーには、和風と欧米風の2種類があると言われる。欧米のホラーが斬ったり襲ったりと直接的な行為に対する恐怖感を与えるのに対し、和風のホラーは雰囲気や感覚を介した精神的な恐怖を与えるためだろう。『SIREN』は、その両方をうまく取り入れ、さらに視覚だけでなく聴覚からも恐怖感を与えてくるのだ。「屍人」が近づいてくると妙なノイズが聞こえたり、「屍人」の独り言が耳に入ってきたりと、始まって10分もしないうちに手に汗びっしょりだった。

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本作では、音も重要なキーとなる。怖いからといって音を消してプレイしていると、突然襲われるかも?

■人間は弱い生き物と再確認させられる場面も

 民家の中を歩き回っていると、再びさっきの警官の足音が。居間に棚があるのを発見したので、すかさず中へドキドキしながらもじっとしていると、諦めたのか退却していく……と思ったら、振り返った!! こういった、何でもなさそうに見えるところで恐怖心を煽る演出が入っているため、いたるところでビクッとさせられるのだ。

 棚から出て、裏口から外に出て行くと、スコップがあるのを見つけた。これを持ち、警官の後ろから殴りかかることで一時的に相手を気絶させられるのだ。「屍人」は、倒しても死なずに何度でも復活してくるため、それだけでも怖い。しかも、ゲーム中での人間は現実並みに弱く、素手で戦うなんて狂気の沙汰。それも、恐怖感を増幅させる一因となっているのだろう。

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スコップで戦うことで、何とか倒せる「屍人」。しかし、素手ではまったくかなわない。人間の弱さをひしひしと感じさせる場面だ。?

 何とか警官を倒すとムービーが流れ、ようやく第1章が終了となる。しかし、これは巨大な恐怖の、ほんの始まりに過ぎないのだ。ここから先、さらなる恐怖がプレイヤーを待っている……。

■怖いのについついプレイしてしまう面白さ

 暗闇をうまく使った演出や、何度でも復活してくる「屍人」、そして謎に包まれた「羽生蛇村」と、恐怖感だけでなく興味をひくストーリーになっているため、怖くても先が見たくてついついプレイしてしまう。熱帯夜でも間違いなく恐怖で涼しくなれるゲームだと感じた1本だった。(佐々木潤)

(C)Sony Computer Entertainment Inc. All Rights Reserved.

データ

▼『SIREN: New Translation』
■メーカー:SCE
■対応機種:PS3
■ジャンル:AVG
■発売日:発売中(2008年7月24日)
■価格:5,980円(税込)
 
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