News

2008年12月19日(金)

伊藤賢治氏×癒月さんによるミニアルバム『夢神殿』を聴いてみた!

文:電撃オンライン

 どうも、電撃オンライン編集部の編集者A・あひるです。ちょいと唐突な流れではありますが、DOL読者のみなさんにぜひ紹介したい音楽CDがあってこの原稿を書かせてもらいました。なので、とりあえず黙って読め。損はさせないから。

■電撃オンライン初(?)の音楽CDレビューをやってみる

 今回ボクが目を付けたのは、DOLでは今まであまり紹介されていないジャンル、音楽CDの1枚。2008年12月17日発売のミニアルバムCD『夢神殿』をご存知ですかな? 歌っているのは『ひぐらしのなく頃に解』のイメージソング「you」などで知られる今注目の歌姫・癒月(ゆづき)さん。すっごく繊細かつ女性らしくかわいらしい声の持ち主で、名前通り聴いているだけで癒されそうな落ち着いた歌を歌ってくれます。聴いてるとね、眠くなるの。イイ意味で。リラックスを促すα波が脳内にダダ漏れな感じになりますよ~……ぐぅ。

伊藤賢治氏×癒月さんによるミニアルバム『夢神殿』を聴いてみた!
▲この絵が目印。「夢神殿」というアルバムタイトルの通り、儚げな女の子が月の下ですぅすぅ、と。アルバムアートでCD楽しむのも、また一興なのです。

■実はスゴイ人が作曲してた……

 って、気持ちよく寝ていられない注目ポイントがあったんだ。なんと今回発売されたこの『夢神殿』では、アノ伊藤賢治氏がすべての楽曲を制作しています! ……まさか伊藤賢治氏を知らない人はいないとは思います!が、優しいあひるさんは簡単に説明しちゃいます。伊藤氏は、以前スクウェア・エニックスでゲーム音楽の制作を担当していた超有名コンポーザー(作曲家)。現在はフリーとなり、舞台音楽など、さまざまなフィールドで音楽活動をされてます。スクウェア・エニックス所属期の代表作は、あの『聖剣伝説』や『ロマンシング・サガ』シリーズなどなど。DOL読者の皆さんなら、一度は必ず耳にしたことがある楽曲を生み出した方ですね。って、正直スッゲーことですよ、伊藤氏が楽曲制作してるのって。

 ちなみに、このミニアルバムは、いわゆる「コンセプトアルバム」というヤツになります。「悲恋の巫女」という1つのテーマのもとに、ストーリー仕立てに6曲が並んでいるので、歌詞カードを片手に聴いてみることをめちゃんこオススメします。

■1冊の小説を読んでいるようなストーリー性がイイね

 とまあ、ここまで作品の概要を説明したので、この先はボクの率直な感想を書いてみます。前振り長くてスミマセン。まずは、このアルバムの第一印象です。なんと言うか、小説を読んでるみたい。6曲の集録曲で1つの物語を構成しているので、歌詞カードを読んでいると物語が目の前にパッと広がるんですよね。

 では1曲目。癒月さんの優しいのにどこか突き刺さるような声、そして伊藤氏が作り出す極上の泣かせ系バラードが、一気にこの作品の世界に聴き手を引きずり込むんですよ。「引き込まれる」じゃなく、「引きずり込まれる」。この違い、わかりますか? いやおうなしに、この音楽を受け入れさせるような、そんな不思議な曲。それが1曲目の「ケアウホウ」。

 2曲目は、アルバムコンセプトでもある「悲恋」を思いっきり表現したスローバラード「月華の誓ひ」。なんか、聴いてるうちに自然と泣きそうになるな。音数は少ないのに一音一音が耳に染み込むピアノと、ストリングスの響きが印象的です。あ、ちなみに歌詞から読み解くと、この曲で巫女さんが生まれ変わっても大切な人と出会うことを誓って、死にます。

 そして3曲目。スパニッシュなギターサウンドとバイオリンが絡み合う「Bloody Moon」。狂気的な愛情で、大切な人と血の約束を交わす女性の心を歌ってます。ってか、歌詞をしっかりと読むと怖えぇ。でも、民族系音楽が好きなあひるは大好きな曲だったり。

 どこか懐かしさというか、古めかしいけども温かく響くのが4曲目の「勿忘草」。癒月さんの声って、聴いてると落ち着くんだよなぁ。こういう、オールドスタンダードな曲って、この人の声質にすっごく合ってると個人的には思います。

 1人の少女の夢、それが4曲目までの物語だったと言わんばかりの曲です。そして、目覚めた少女は4曲目までの内容の意味を探し求める、という曲ですね。聴いてると、優しい気持ちになれる曲です。寝ながら、目を閉じてゆーっくり聴きたくなるなぁ。

 そして、ラストが「はじまりの旅」。ここまでの5曲とは音の使い方がガラッと変わって、出だしからデジタルチックなシンセサイザーから始まるミドルテンポでポップな曲。1人の巫女が死に、生まれ変わり、転生を繰り返し、最後に大切な人と出会い、そしてまたずっと一緒に歩いて行こうね、という内容で、ここからまた2人は進んで行くよ、という未来を予感させるさわやかなナンバー。

 と、ここまでざっと6曲を見てみましたが、なんというか伊藤氏の描く儚くも綺麗な旋律が詰まっている1枚だなと思います。もちろん、その旋律をさらに引き立てる癒月さんの特徴的な声があってこそ、この物語(ミニアルバム)が完成したんだなーと感じました。寝る前のリラックスしたい時や、なんとなく泣きたい時、目をつむって物語を感じたい時などに、ぜひ聴いてみてください。きっと、1枚を通して聴いた後には、雨上がりの晴れた日のようなスッキリとした聴後感(読後感の音楽版。あひる語)が楽しめるはずですよ~。

 癒月さんファンの方も、初めての方も、ぜひぜひ聴いてみてください! もちろん、伊藤氏のファンの方にも絶対オススメな1枚です。上に挙げた代表作とは、また一味違った氏の魅力に触れられる作品だと思います。癒されたい方、必聴!!

 ということで、いかがでしたでしょうか。もし人気があれば、またゲーム関連音楽CDのレビューを書いてみようかと思います。では、次の機会に~。

データ

▼『夢神殿』
■メーカー:ティームエンタテインメント
■メディア:音楽CD
■アーティスト:癒月
■発売日:2008年12月17日
■価格:2,310(税込)
 
■『夢神殿』の購入はこちら
Amazon

関連サイト