2009年1月24日(土)
バンダイナムコゲームスより1月22日に発売されたWii用ソフト『FRAGILE~さよなら月の廃墟~(以下、フラジール)』。開発スタッフへのインタビュー・後編をお届けする。
ミニゲームとストーリーの関わり、音楽、廃墟……本作での体験を構成するさまざまな要素について話を伺ってきた『フラジール』インタビュー。最後は、戦闘やドラマ、開発を経たスタッフの心境について伺った。
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安井:そういう動きの部分については、最初に川島さんの方から、「これだけの敵が必要で、こういう遊びをさせたい」というお話があって、難しいモノはあとに回しながら作っていきました。
安井:例えば、飛び道具を打ってくるクモみたいな敵は、最初いただいた仕様通りに弾が追尾するようにしたら、全然避けられなくなってしまったんです。そういったものは「こうじゃない?」という提案もしました。
安井:ランダムですね(笑)。
川島:ダムのやつですね。業界最大の中ボスくらいな勢いで(笑)。
安井:あれはキャラ班が作るの? マップ班が作るの? どっちなの、という話になりました(笑)。
安井:最終的にはキャラクターとして作りました。
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川島:ボス敵って、必ず1回死なないといけないと思ってるんですね。でも3回死んだら、みんなコントローラを投げてしまうので。2回目に際どくも勝てた、くらいが理想ですね。それを基準に、あとはセトがこのくらいのレベルに達しているだろうという想定から、相対的に敵のHPと攻撃力を決めました。
原田:開発の終盤も終盤で修正をお願いしてしまって、戦闘のヌンチャクでセトを動かす速さなどは変更できない状態だったので、その状態で見栄えをよくするという修正をしましたね。
安井:あの時は終盤だったので、棒系の武器は連続攻撃など修正を終えてしまっていた状態だったんですよ。ここでモーション変わっても、タイミングまでそれにあわせて直せない、という状態だったので、タイミングにあわせてモーションだけ変えてもらいました。
原田:敵は犬をかなり変えましたね。犬の移動に関してのモーションは、最後まで直していました。けれど、やはり速さなど戦闘中の操作感は変えられない状態だったので、そこをキープしつつ見た目をよくする感じです。
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川島:ゲームは最初と最後で半分だと思っているんです。最初の導入と、最後をどう盛り上げて終わらせるかで、プレイヤーに残す印象がすごく大きいなと。中盤はむしろ目的も提示されているし、いろんな要素も入ってくるので、ストーリー以外のところでの遊びというのは膨らんでいくはずなんだ、というのがあります。やはり、最初はどうしても引き込みたいというか、この世界に入っていただきたいのでP.Fのエピソードは一生懸命作りました。
川島:最初に意図としてあったのは、セトがとても寂しい子だというのを表現しないといけないと思っていました。初めに一緒に暮らしてたおじいさんを埋葬するんですが、自分で書いてても、それだけでは弱いなと思ったので。もっと寂しいセトを描かないといけない、それをどう表現するかと考えた時に、明らかに人間ではない存在に心を通わせるセトを描きました。
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川島:何かを最後に遺していくというは、必ずやろうと思っていました。それで、キャラクターは1つ1つに漢字2文字のテーマがあって、チヨは不信だとか、クロウは嫉妬だったかな――? 共感性に対立する概念が全部のキャラクターに入っているんです。
川島:そうなりますね。
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齋藤:キャラクターごとで考えたわけではないですけど、私が『フラジール』の世界観を川島さんからいただいて、音楽を作る時に2つのことを考えました。1つは、あの世界は廃墟で、廃墟はただの風景なんですけど、でも人間がそれを見て何かを感じますよね。なので登場人物すべてがそれを見て何かを感じる曲を。
あとセトは基本1人ぼっちで、『フラジール』ではセトの孤独を描いていますよね。でもみんな孤独に感じてしまえば、孤独じゃないんじゃないかって思うんです。その孤独を包むような存在が月かなって。孤独を包むような視点を、音楽で表現するような曲を入れました。テーマ曲の『すべての人へ』もそうなんですけど。『フラジール』の大きな世界の曲を1つ作って、あとはシーンごとの曲を作ればブレないで済むかなと思いました。
原田:テンションをお客さんにゆだねる、それをまず崩さないことですね。作り手が、「ここって悲しいシーンでしょ」と提示をしないような雰囲気を作り出すよう努力をしました。あまり雰囲気を盛り上げすぎない曲をあてたり、演出も過剰に悲しい感じの作り方をしない。少し引いて、すごい悲しいのか、すごい別れたくないのか、お客さんにゆだねられるよう、少し余剰を作りました。
川島:ゲームって最後の方で全部説明するんですけど、それがあまりにも嘘くさい。もちろん、ちゃんと説明はするんですけど、プレイヤーが見た物が事実なんで、それ以上のことをベラベラと説明するのはよくないなと。説明不足かもしれないですけど、それはそういうつもりでやっています。
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川島:描くテーマを考えると、言葉に力があるんだということを行動で示さないといけないんです。その時に全部言葉で説明されるより、1つ何かを言われた方が残ると思いました。ただ、あまりセリフが少ないと状況が説明できないので、シナリオを考える時は全部書いて大量に削るという行為を繰り返しましたね。そうしたら最終的に少なくなって困ったなと(笑)。
川島:あれは、アスキー・メディアワークスさんという会社に、豊島さん(注:『電撃マ王』豊島秀介編集長)という人がいてですね。豊島さんと打ち合わせをしていたら、「じゃあ入れましょうか」って。これ本当のことなんですけど(笑)。
川島:もう失われたけど、確かにあった記憶にしたかったんです。だからあやふやだし、月の満ち欠けもいい加減だし。空があんなにガンガン光っているわけないですよね、現実なら。だけど僕の中にもあるし、皆さんの中にもあるじゃないですか。本当はそんなキレイじゃないよ、鼻とかガンガン垂れてたと思うよ、っていう記憶が。そういうことを描くというのを、やりたかったんです。だから、全編で月の満ち欠けが違うのも、あとから思い出しているからなんです。
川島:はい、その通りです。
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川島:カタルシスをどう持ってくるか、緊張と弛緩の話ともリンクするのですが、あそこは僕の中で実験をしているんです。ゲームってある程度のところで、戦闘とか盛り上がる爆発シーンとか、とてもテンションの高いところがあって、それでオチを付けて次に行く、というのを基本的な流れにするんですよ。
しかし、今回実験をしたかったのは、夕焼けがあって、情緒的なシーンがあって、かくれんぼがあって……あの流れにカタルシスがないんですよね。どちらかというとマイナスからゼロに戻るんです。そのまま戻していって、ずっと淡々としているんですよ。その淡々としてる中で、感情の起伏を作れるかっていうのを実験したかったんです。まあ、やれるやん、って今思いましたけども(笑)。
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