2009年3月11日(水)
KEIYA:では次の質問です。縁寿が『EP3』では戦人を「兄さん」と呼んでいますが、『EP4』では「お兄ちゃん」になっています。これを不思議がる人は多いと思うのですが、どのような意味があるのでしょうか?
竜騎士07:『EP3』における縁寿は、戦人がいない世界で12年間生きてきた縁寿です。だから頭の中が成長しきって18歳になっているわけです。だから「お兄ちゃん」ではなく、他人行儀に「兄さん」と呼ぶように切り替わっていたのです。ただ、いざ目の前に12年前の姿の戦人がいる以上、縁寿は12年前の縁寿であるべきなんですよ。そうすると、兄に対する2人称は12年前のものに戻ってしかるべきなんです。もしも戦人が12年後の姿、つまり30歳の戦人だったら縁寿の2人称は「兄さん」のままだったでしょうね。
KEIYA:ありがとうございます。次ですが、これが『EP4』で一番大きなポイントだったと思うのですが、真里亞の魔法に邪悪な面があったという部分ですね。これは非常に意外な要素で、これからの話を考えていく上でもものすごく大事なことだと思っています。これは最初から『EP4』で明かす予定だったのでしょうか?
竜騎士07:『EP4』までの出題編の中で、描いておきたかったテーマの1つですね。物語の世界観を示すうえでも大きなヒントじゃないかと思います。……うーん、ちょっと言いにくいですね。
KEIYA:核心に迫りすぎる質問かなとは思っているのですが。
竜騎士07:物語の世界観を素直に受け取るならば、ベアトリーチェ足りえる要素として、真里亞との出会いなくして今日のベアトリーチェはありえないということは間違いないわけなので。ベアトリーチェにとって真里亞は無視できない存在であり、そして今日のベアトリーチェを構築するうえで欠かせない要素であったことも間違いないわけですね。だから物語のテーマを見る限り、真里亞とベアトリーチェの出会いには、少なくとも86年世界において何らかの化学変化を起こしたことは間違いなさそうな気がするような今日このごろです(笑)。
KEIYA:『EP4』に“ウィッチハント”という単語が出てきますが、これは海外のファンサイトから名前をいただいたという話を聞きました。
竜騎士07:はい、そうです。センスのいい名前だったので、拝借させてもらいました。私自身『ひぐらし』を書く上でとてもインスパイアされた作品に『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』というのがあって、そのなかにも“ウィッチハンティング”という名前があった気がするので、原点回帰みたいな意味もあり、“ウィッチハント”は好きな単語です。
KEIYA:先ほどの碑文の話もそうですが、ファンの創作を本編中に深く取り入れていますね。
竜騎士07:最近は明示していますが、『うみねこ』は世間の方々の推理や意見を作品中に極力取り入れていこうと思っています。連載モノの利点だと思うんですよ。連載モノというのは本編を小分けに出していって、話と話の間に猶予期間があるということが最大の利点じゃないですか。もしも世間の反応をまったく作品中に反映させず、最初から完成している作品を細切れに発表しているだけだったら、ただケチなだけですよね。それなら一度にまとめて出したほうがいいと思います。だから小出しにするということは、1話ずつ作品の手応えや様子を見ながら手を替え品を替え、こちらも調整する余地があるということですからね。それと私は不幸にも仕事が遅いので、半年に1本、今くらいの規模の作品を出すのが精一杯です。このスタンスに一番合っているのが、世間の方々の意見を作中にサラリと盛り込んで、読者とのキャッチボールっぽく描くことだと思いました。『ひぐらし』のころもキャッチボールをしたかったのですが、それほどできなかったので、『うみねこ』はキャッチボールをハッキリとシステムの部分にまで取り入れてみたということです。
KEIYA:そのあたりの“リアルタイムのやりとり感”というのは『うみねこ』をプレイしていると強く感じます。
竜騎士07:そうですね。コミュニケーション性というのはかなり意識しています。書いていておもしろいですよ。これが連載形式のよいところじゃないかな。そういう意味では、『うみねこ』も『ひぐらし』もサウンドノベルというメディアであるにもかかわらず、作品の作り方や発表の仕方はどちらかというと月刊誌の漫画に近いかもしれませんね。世間の人が戸惑っている箇所があれば、そこを刺激してより戸惑わせてみたり、場合によってはヒントを手厚く出してナビゲーションしてみたり。逆にこちらの想定を越えて真相に近付いてきた場合には、それを防ぎ返すための防御機能を発揮して、煙に巻く案件を新たに追加したり。そのへんのさじ加減を考えるのはおもしろいですね。前回のインタビューでも言ったと思いますが、『EP3』でワルギリアやロノウェのような戦人の肩を持つキャラたちが登場したのは、ナビゲート機能が発揮したという証拠です。本来の『EP3』はとんでもなく意地悪な事件になる予定で、現在の『EP3』のように戦人を甲斐甲斐しくナビゲートする予定はなかったんですよ。でも『EP2』までの読者の反響を見ていて、ナビゲートが必要だということがわかったので、だいぶフォローしました。『EP3』のプレイ後は皆さんかなり戦い方がわかってきたみたいなので、『EP4』では「ここまでならいけるだろう」ということでだいぶ難易度を上げさせてもらいました。
――縁寿とマモンの組み合わせは、『EP3』発表後からさまざまなファンの2次創作作品で2人のカップリングが登場していたことからインスピレーションを受けたのでしょうか?
竜騎士07:いや違います。2人のコンビは最初から想定していました。マモンは最後の1人として『EP4』で出番が多いことはわかっていたので、『EP3』まではあまり目立たせたくなかったんですよ。序盤で目立ってさらに『EP4』で縁寿とずっと旅までしていたら、ほかのキャラが目立たなくなりますし。今となっては一番最初に出たサタンとアスモデウスが目立っていないので、今後はそのあたりもアピールしていきたいですね。
KEIYA:世間では「縁寿とマモンの2次創作に刺激を受けたのではないか」と思われていますが、違ったのですね。
竜騎士07:あれは困りました(笑)。『EP4』のプロットを書いている最中に世間で俗に言う“縁マモ”というのが流行りだして「参ったなぁ~」と。
BT:あれはタイミングが重なりましたね。
竜騎士07:本当に偶然重なったね。世間では「マモンはいらない子」と言われていて、そこから逆にマモンをプッシュしようという空気感になったんですよ。そしたらなぜか縁寿とくっついて。それで困っちゃったんですよね、「あれ~?」みたいな(笑)。
KEIYA:まれにありますよね、そういう偶然は(笑)。
竜騎士07:そうなんですよ。先回りされちゃったんですよね。私の方は『EP3』のころから「『EP4』では縁寿と2人旅をして煉獄の七姉妹が~」みたいな話を想定していたので、マモンの出番をわざと抑えていたところがありました。いやー、あれはやられました。だから『EP4』を発表したら絶対に「縁マモは竜騎士07が世間の流れにインスパイアされて、悪ノリしてやったんだ」と言われるのだろうなと、最初から思ってましたよ。でも逆にそれを嫌がって本来の設定を変えるというのも本末転倒だと思うので、おもしろい反響は取り入れても、皆さんの創作に遠慮して私が回避するというのは避けたいですね。いや、本当に縁マモはビックリしました。プロットを書いている最中に流行りだしてしまったので。
KEIYA:電撃マ王4月号の考察で、縁寿がマモンを呼び出した理由について書かせていただきました。縁寿自身がマモンのような人間性にあこがれを持っているから、彼女と強く結びついたのかなと。合っているのかはわかりませんが――。
【対談第2回は次週掲載予定です。】
(C)竜騎士07/07th Expansion 肖像画/江草天仁
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