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2009年4月2日(木)

『週刊とらP!』竹宮ゆゆこ先生を直撃! いろいろなことを聞いてみた・その2

文:電撃オンライン

 PSP用ソフト『とらドラ・ポータブル!』を特集していくページ『週刊とらP!』。連載5回目となる今回も、前回に引き続き『とらドラ!』の原作者・竹宮ゆゆこ先生のインタビューをお届けしていく。

 前回のインタビューでは、原作まわりの話を中心に質問を行っていったが、今回のインタビューでは、ゲームについての気になるところなどを聞いていく。ちなみに、前回のインタビューや、これまでの記事は『週刊とらP!』でチェックできるので、まだ読んでいない人やより深く『とらドラ・ポータブル!』を知りたい人は、ご覧あれ!


――では今回は、ゲームについていろいろと伺っていきたいと思います。早速ですが、ゲームはもうプレイしましたか?

竹宮先生:はい、プレイしました。

――率直な感想を聞かせてください。

竹宮先生:まっすぐゆりちゃんエンドにたどり着きました(笑)。これはもしや……と思ったときには、すでに奴の術中にはまってましたね。あと、インコちゃんが活躍しすぎるんですよ(笑)。モーションポートレートという、会話をしながらキャラの表情が変化していくのを自然に楽しめるシステムがあるんですが、インコちゃんにもしっかり用意されてるんですね。ていうか、最初に出会ったモーションポートレートがインコちゃんで。

――モーションポートレートは、かなりの数のキャラクターに用意されているようですね。

竹宮先生:ええ。それで、いつモーションポートレートが始まるんだろう、どんな感じかな~、やっぱり大河からかな~、とかワクワクしていたら、インコちゃんが微笑みはじめちゃって(笑)。あれはちょっと衝撃的でした。

▲こちらの画像は、インコちゃんのモーションポートレートのもの。竹宮先生も衝撃を受けたというインコちゃんとの会話(?)シーンも楽しみにしておいてもらいたい。

――ちなみに、ゆりちゃんエンドのご感想は?

竹宮先生:なんか、ゆりちゃんのこんな顔見たくなかったって思いました(笑)。「こんなにうれしそうな顔しちゃって……」って感じでしたね。

――電撃オンラインでも、ゆりちゃんエンドについて触れたんですが、結構好評(?)だったようですけど。

竹宮先生:ついに、原作でもTVアニメでも幸せになれなかったですからね(笑)。ゲームでやっと、嫁に行くという悲願が達成されました。それはおめでたいんですけど、でも、ゆりちゃんにはやっぱり不幸が似合うから……。

――原作者ならではの言葉ですねぇ。

竹宮先生:正確には、己を不幸がって嘆いているのが似合う(笑)。ゆりちゃん本人も、嘆いているときはそれはそれで楽しそうじゃないですか? 現実でも、ゆりちゃんみたいに自分のダメさを自虐的にあれこれ言うこと自体が楽しかったりするのって、あると思うんですよ。「私こんな歳になっちゃってどうしよう~!」「私だってどうしよう~!」って、みんなでおしゃべりするのが楽し……やっぱり楽しくないか……(泣)。

▲原作者にすら、不幸が似合うと評されてしまったゆりちゃん。ゆりちゃん……。

――その判断は実に難しいところですね……。他にも、ゲームの制作陣に「亜美ちゃんを幸せにして」と要望を出されたようですけど、このあたりの経緯を詳しく聞かせていただけますか?

竹宮先生:ええ。そういうお話はさせていただきました。最初プロットをいただいた段階で、亜美ちゃんがあまり幸せになっていなくて……。湯浅さん(※電撃文庫の担当編集)もそう思っていたようで、どちらから言い出したかはあまり覚えていないんですけど、亜美ちゃんが幸せになる展開はほしいよねって話になったんです。それで、バンダイナムコゲームスさんにお願いしました。

――他のキャラクターのエンディングはどうだったんですか?

竹宮先生:大河やみのりんは、キレイにまとまっていましたね。亜美ちゃんは、今にして思うといろんな方面に気を遣わせてしまったなぁ……と。ありがたいことなんですけど。

――書き終わった今だと、みのりんが気になるとのことでしたが、もともとお気に入りのキャラクターは亜美ちゃんだということで、そうしたこともあって、要望を出したのかと思っていました。

竹宮先生:それはまたちょっと違うんです。亜美ちゃんがお気に入りっていうのは確かなんですけど、だからひいきしていい展開をさせたかったとか、好きなキャラだからハッピーエンドを付け加えたかったというわけではないんです。要望を出したのはあくまでも他のエンディングとのバランスの問題ですね。むしろ亜美ちゃんのよさは、個人的には、ちょっとかわいそうなところにあると思っていますし。

――ということは、かわいそうな部分があるからこそ、亜美ちゃんが好きだってことですか?

竹宮先生:この世にはあらゆる種類の“萌え”というものがあると思うんですけど、私の中には確実に“かわいそう萌え”があります、とだけ……(笑)。

――お話を聞いていますと、なんだか若干、「亜美ちゃんを幸せに」の意味が変わってきてしまうような気もするんですが……。ゲームではちゃんと“幸せ”になっているんですよね?

竹宮先生:それはばっちりです。大丈夫です。リクエストを出した後にいただいたシナリオだと、きちんと幸せに……内容は実際にプレイして確かめていただく方向で(笑)。

――それを聞いて安心しました。「亜美ちゃんのエンディングは、亜美ちゃんファンも納得できるのでは?」と制作陣から聞いていますが、いかがでしょう?

竹宮先生:はい。亜美ちゃんというキャラクターの魅力を、うまくくみ取って作っていただけたと思います。

▲原作者からの太鼓判もバッチリ!! 亜美ちゃんファンは楽しみに待っていてもらいたい!!

――他のキャラクターのエンディングはいかがでしたか?

竹宮先生:おもしろいんですよ(笑)。ハッピーなエンディングはもちろんいい感じだし、他にもすっごくおかしいエンディングがたくさん仕込まれていて、本当に笑えました。「えっ!? おまえとおまえが!?」みたいな。

――原作にはなかった展開も、原作ファンにも楽しんでもらえる感じになっていそうですか?

竹宮先生:きっと! ぜひ楽しんでいただきたいです!

――シナリオを担当したヤスカワショウゴさんも、「シナリオに100点満点をいただけた」と、うれしそうに話していましたよ。

竹宮先生:展開が違うということだけではなくて、小説でも漫画でもアニメでもできない、ゲームという媒体ならではの遊び方ができると思います。

――最初にプレイした時はゆりちゃんエンドにたどりついたとのことですが、実際のところは誰のストーリーが気になりますか?

竹宮先生:プレイする前にシナリオを読んで内容は確認していたので、ストーリーが気になる、という楽しみ方はできなくて……ただ、このゲームでは、マップ上にいるキャラクターたちに話しかけていくじゃないですか。単純に、とりあえず女子とばっかり話したいなっていうのはありましたね(笑)。マップ上に男子が立っていても、「こいつらには気づかないフリをして女子と話しに行こう」みたいな感じで。

――なるほど。制作陣にインタビューをした時に印象に残っていたのですが、導入部の“竜児が記憶喪失になってしまうこと”に、だいぶ悩んでいたようなんです。この部分に関して、原作者としてはどう思ったんでしょう?

竹宮先生:最初にそのお話を聞いた時は、正直に言うと「そこまで原作と違うイベントを起こしちゃって大丈夫なのかな?」っていう気持ちは確かにちょっとありました。でも、シナリオが実際に上がってくると、ゲーム制作陣の意図が理解できて納得しましたね。原作には原作の流れがすでにあって、そこからゲームの流れにフィールドごと移っていくためには、そのきっかけとなるイベントが必要なんだと思いました。

――他のキャラクターについては、何か要望を出したりしなかったんですか?

竹宮先生:そうですね、ストーリーの内容よりは細かいところをちょこちょこと……例えばみのりんに関しては、いい雰囲気のシーンでは会話部分をより女の子っぽく、かわいくしてもらえるようにお願いしたりしました。

――ゲームの注目ポイントを教えてください。

竹宮先生:先ほどから言っていますけど、やっぱり各種エンディングですね。かなり笑えるエンディングもたくさん用意されているので、ぜひ全部見てほしいです。それと、オマケのゲーム! 『爆走!手乗りタイガー』を遊んだんですけど、亜美ちゃんの動きがもう本当によくって、「亜美ちゃんすげえ!!」って(笑)。いや~、こんなに動ける人だったなんて。

――原作者も知らなかった事実が明らかに! って感じなんでしょうか(笑)。『高須棒型クリーナーストラップ』などの特典についてはいかがですか?

竹宮先生:このストラップはすごいチョイスですよ。何も知らない人が見たら、本当にわけがわからない(笑)。一方この『手乗りタイガーポーチ』は、何も知らない人が見ても普通にかわいすぎますよね。なんのキャラクターかわからなくても使いたくなると思います。

――ポーチの背面に尻尾を付けるが付けないかでいろいろと大変だったと聞いています。

▲こちらは超弩級プレミアムBOX特典の『手乗りタイガーポーチ』。モフモフした手触りも楽しめる逸品だ。

竹宮先生:尻尾が付いているって、今日初めて知りましたよ。ますますかわいいですね~。ポーチもストラップもそうですが、知っている人だけがわかる連帯感を楽しめますよね。私とお揃いになってしまいますが、超弩級プレミアムBOXをご購入いただいた皆様、ぜひ一緒に使いましょう! たぶん担当編集者の湯浅さんともお揃いになりますよ(笑)!

――では、最後にファンにメッセージをお願いします。

竹宮先生:これまで『とらドラ!』を応援してくださった皆様、本当にありがとうございました! 10巻をもちまして、無事に完結を迎えることができました。とはいえ……正直なところ、今はまだまださびしい気持ちで一杯の私です。完結の次はゲームの『とらドラ・ポータブル!』、楽しんでいただける出来になっていると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

――ありがとうございました!



 前回、今回と、竹宮先生のインタビューをお届けしてきた『週刊とらP!』。次回の更新(4月11日)では、出来立てホヤホヤの超弩級プレミアムBOXの中身などを紹介していく予定。その他にも、あのキャラクターのモーションポートレート見本も出る……かも。

 ちなみに、左の写真はつい先日アスキー・メディアワークスにいらしてくれた、コミック版『とらドラ!』の作者・絶叫先生の作業風景を激写したもの。これは……プレゼントの予感!?

(C)竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス/「とらドラ!」製作委員会
(C)2009 NBGI
※画像は開発中のものです。

データ

▼『とらドラ・ポータブル!』
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■対応機種:PSP
■ジャンル:AVG
■発売日:2009年4月30日
■価格:通常版 5,229円(税込)/超弩級プレミアムBOX 9,800円(税込)
 
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