2009年5月7日(木)
カプコンは5月6日に、“モンスターハンター5周年記念オーケストラコンサート ~狩猟音楽祭~(以下、狩猟音楽祭)”を東京・池袋にある東京芸術劇場大ホールで開催した。
会場となった、東京芸術劇場大ホール。当日は雨にもかかわらず、会場付近では開場前から熱心なハンターたちの姿が見られた。 |
狩猟音楽祭は、人気アクションゲーム『モンスターハンター』シリーズの生誕5周年を記念したオーケストラコンサート。歴代シリーズの楽曲を、東京フィルハーモニー交響楽団が力強く奏で、来場者を魅了していた。以下に、コンサート当日の模様をレポートする。
会場には、約2,000人のファンが詰め掛けた。演奏開始前にはロビーや客席で、開始を待ちきれないハンターたちがPSP『モンスターハンターポータブル 2nd G』をプレイする姿を、あちこちで見ることができた。また、開演前に「携帯電話をマナーモードにしてほしい」というアナウンスに続いて、携帯ゲーム機のプレイ停止をうながすアナウンスも!?
ロビーには、これまでのシリーズのメインビジュアルと5周年記念ロゴが展示されており、多くの来場者の目を引いていた。 |
会場の照明が落ちると、スクリーンに『モンスターハンター』の映像が流れる。森丘の映像だ。おなじみののどかな風景が流れると、さまざまなジャンルとのコラボレーションを積極的に行なう指揮者・栗田博文さんが登壇し、指揮棒を振り始める。演奏されたのは、本シリーズをプレイしていない人も耳にしたことがあるほど有名な『Monster Hunter』だ。壮大で優雅なイメージの楽曲で、打楽器やトランペットの演奏が聴衆を魅了していた。
演奏が終わると、辻本良三プロデューサーが登場。今回のイベントについて「オーケストラをしてほしい」という要望はファンからだけではなく、開発内部からもあったことを明かした。「1年ほど前から動いていたので、ようやく今日を迎えたという気持ちです」と感慨深そうであった。さらに「ハンターそれぞれに思い出があるので、曲を感じてシリーズを感じてほしいです」とハンターたちにコメントした。
辻本プロデューサーのあいさつに続いて、村で聞ける『目覚め』が演奏された。オーケストラを牽引していく栗田さんは、テンポよく指揮棒を振り、そのパフォーマンスでも来場者の心をわしづかみに。『眼光 -The Hunted-』~『Lioleus/咆哮』~『Monoblos/真紅の角』というメドレーの先陣を切ったのは、モンスターとハンターが対峙した際の一瞬に流れる『眼光 -The Hunted-』。シンバルが響きわたり、これから狩りが始まるという緊張感が会場を包む。そして、トランペットやホルン、クラリネットが狩猟開幕を宣言。『Lioleus/咆哮』、『Monoblos/真紅の角』という流れにあわせ、栗田さんは体を激しく揺らせながら、音楽で世界観を表現した。
ハンター2,000名が集った狩猟音楽祭。会場の物販コーナーで販売していたCD『モンスターハンター 狩猟音楽集 ~3周年記念ベストトラック~』、『モンスターハンター 狩猟音楽集II ~咆哮の章~』は、早々に売り切れていた。 |
パイプオルガンの音が会場を包むと、『動く霊峰』~『勇者のためのマーチ』がスタート。力強く厚みのあるパイプオルガンにあわせて、他の楽器もゆっくりと演奏していく。それはラオシャンロンの動きを連想させた。『勇者のためのマーチ』に入ると高揚感をあおるようなメロディに。多くのハンターが頭の中で、砦のエリア5のシーンを思い出していたのではないか。
姿を見せた小嶋慎太郎プランナーも、パイプオルガンの音色に感動していた様子。「腹に来る、パイプオルガンの音色がすごかったです」と感想を述べていた。
バンブーリコーダーの音が耳に残る『恵み深い人々の村』に続いて、古龍種の曲が次々と演奏されていく。『嵐に舞う黒い影 ~クシャルダオラ~』では、打楽器が激しく鳴り響き、それはまるで突然やってきた嵐のようであった。『炎国の王妃 ~テオ・テスカトル&ナナ・テスカトリ~』は、燃え上がる炎のようで、ゆっくりと力強いサウンドを堪能できた。
ゲーム中に登場する音楽が楽しめる以外にも、珍しい民族楽器による演奏も聞きどころの1つであった。 |
休憩前に、辻本プロデューサー、小嶋プランナーに加え、世界観監修ディレクターの藤岡要さんと作曲を担当した小宮山優子さんが登場。普段はあまり口にすることがない、音楽制作について語り始めた。
藤岡ディレクターは、イメージボードを見て、動きをつけてゲームを制作していくという。しかし、最終的にプレイヤーを演出するのは、音楽だと考えているのだとか。同氏が音楽を世界観の1つとして、こだわって制作しているのはそのためなのだという。続いて、音楽に対する立場のこだわりを聞かれた小宮山さんは、「イラストを見て、邪魔をしないようにしつつ、音楽を作ることを考えています」と説明した。
イベントに登場した、左から作曲を担当した小宮山優子さん、藤岡要ディレクター、辻本良三プロデューサー、小嶋慎太郎プランナー。オーケストラホールでのイベントということで、「緊張している」と語っていた人が多かった。 |
神秘的な映像とともに、2007年と2008年に開催されたモンスターハンターフェスタのステージで美声を披露した歌姫・Ikukoさんが登場。ハーブの演奏に合わせて、『精霊へ歌う唄』を歌い上げて来場者を魅了した。
次に演奏されたのは、『モンスターハンターポータブル』シリーズより、『ポッケ村のテーマ』、『牙を剥く轟竜/ティガレックス』~『闇に走る赤い残光/ナルガクルガ』。厳しい環境下の中にある人々の温かみを感じるような『ポッケ村のテーマ』では、民族楽器による音楽をふんだんに楽しめた。そして、打楽器やトライアングルが鳴り響く、激しいメドレーが始まる。その迫力には、思わず身震いしそうなほどであった。栗田さんも体と手を大きく震わせながら、演奏を進めていった。
そして、『モンスターハンター』のテーマ曲である『英雄の証』がスタート。何度も聞いている曲だが、生オーケストラで聞くとその壮大なスケールに改めて圧倒させられた。集ったハンターたちも同じような気持ちであったのか、この日一番の拍手が巻き起こった。
狩猟音楽祭では、スクリーンに映像が表示されたり、色とりどりのライティングによる演出が行われるなど、普段のオーケストラではあまりみられないような光景が見られた。 |
ここで、今夏発売予定のWii『モンスターハンター3(トライ)』の最新プロモーションムービーが初公開された。映像が終わると、映像について小嶋プランナー、辻本プロデューサー、藤岡ディレクターの口から「まだ、情報については何もいえません」という意味深な説明が。しかし、近いうちに情報を公開するということなので、会場に足を運べなかった人も、映像を確認した人も楽しみにしておこう。
藤岡ディレクターの「生態についてこだわって制作しているタイトルなので、このタイトルにしました」という説明に続いて、『モンスターハンター3(トライ)』のメインテーマ『生命ある者へ』の演奏が始まった。プロモーション映像などでも聞くことができたこの楽曲だが、オーケストラの演奏にあわせて、スクリーンでも映像が流れるというにくい演出も。
さらにアンコールでは、『可愛いアイルー』と『狩人よ、前へ』の2曲を聴くことができた。『可愛いアイルー』では、アイルーの愛らしさを表現した演奏を、栗田さんは楽しそうな踊りとともに指揮をしていた。そして『狩人よ、前へ』では歌姫・Ikukoさんが再び登場し、その美声を披露。こうして、2時間にもおよんだ狩猟音楽祭は終了となった。
2曲を披露した歌姫・Ikukoさん。詰め掛けたハンターから、会場がわれんばかりの拍手が巻き起こり、狩猟音楽祭は終幕を迎えた。 |
なお、会場内で販売されていた、コンサートで演奏される曲目のライナーノートや使用楽器の解説などをまとめた『モンスターハンター5周年記念オーケストラコンサート オフィシャルパンフレット』や、『モンスターハンター オルゴール ~英雄の証~』などは、同社のオンラインショップ・e-CAPCOMで販売されている。購入できなかった人や参加できなかった人はチェックしてみては?
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■モンスターハンター5周年記念オーケストラコンサート ~狩猟音楽祭~概要