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2009年6月3日(水)

中村悠一と一緒に冷やしトマトを食べないか? 『アークライズ』イベントレポ

文:電撃オンライン

 6月2日、マーベラスエンターテイメントが“アークライズ ファンタジア 発売前々夜祭!~やっぱりRPGじゃNIGHT~”と題したイベントを、東京の新宿ロフトプラスワンで開催した。

『アークライズ ファンタジア』
▲観客と出演者が言葉を投げ合える距離で行われ、アットホームな雰囲気だったイベント。「正直疲れました」と中村さんが語るほど長時間の内容だったが、大いに盛り上がりを見せていた。

 このイベントは、6月4日に発売されるWii用RPG『アークライズ ファンタジア』の発売を記念したもので、Webラジオ『アークライズ Lady Radio Hour』(毎週金曜公式サイトにて更新)の公開録音が行われた。Webラジオのパーソナリティを務めるヒロイン・リフィア役の牧野由依さん、アデール役の加藤英美里さんに加え、主人公ラルク役の中村悠一さん、プロデューサーの水谷英之さん、制作プロデューサーの御影良衛さん、ディレクターの金丸宏之さん、サウンドプロデューサー&コンポーザーの光田康典さん(後半のみ)らが出演、観客100名を収容して約3時間におよぶトークが披露された。

『アークライズ ファンタジア』
▲会場では、6月4日~14日に秋葉原ディア・ステージで販売されるオリジナルカクテル“レイ・スコール”も提供されていた。試しに飲んでみたところ、さわやかな味の女性にも飲みやすいと思われるカクテルだった。

『アークライズ ファンタジア』 『アークライズ ファンタジア』
『アークライズ ファンタジア』 『アークライズ ファンタジア』
▲ちなみにこのレイ・スコールは、出演者たちにも振る舞われた。また「この会場はステージにも(厨房から)からあげの匂いが漂ってくるので」と、イベント会場をロフトプラスワンに指名した理由を水谷さんが話すと、出演者たちもからあげやきゅうりなど、フードメニューをつぎつぎに注文。なんともアットホームな雰囲気がただよっていた。

 なお、今回の公開録音の模様は、前半が6月5日に、後半が6月12日に公式サイトで配信される。ラジオを流しながら『アークライズ ファンタジア』をプレイしてみてはどうだろうか。

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■俺と一緒に――冷やしトマトを食べてくれないか

 この日は、事前に観客へアンケート用紙が配られ、そのいくつかがラジオのお便り形式で紹介された。そして、「ラルクボイスでキュンとくるセリフを言ってください」というアンケートに応えた中村さんのセリフが「俺と一緒に――冷やしトマトを食べてくれないか」。中村さんならではの低音で響く美声と、何やら胸キュンとはギャップがあるセリフ、お酒の入った会場の雰囲気とが相まって、会場からはキュンとした人たちの歓声があがっていた。おそらく6月5日の配信で聴けるセリフと思われるので、気になった人は公式サイトのWebラジオをチェックだ。

『アークライズ ファンタジア』
▲このアンケートを読むコーナーは、かなりの時間がとられていたのだが……牧野さんが台本を読み間違えて30分も早く終わるアクシデントが発生。生のイベントならではのハプニングを、観客たちも楽しんでいる様子だった。なお、途中でそのことに気付いた水谷さんの一言によって、アンケートは予定通りの数が読まれている。

 牧野さんの歌う劇中歌『天使の梯子~crepuscular rays~』に対する質問もあった。この曲は、牧野さんが自ら願い出て作詞・作曲を行ったそう。曲については、水谷さんが「ほとんどデモテープ一発OKでしたね」と語るほど順調であったが、歌詞についてはかなり難航したことを明かしてくれた。発売前のPVなどでも使用されるため、ネタバレはしないよう、しかしゲームの雰囲気をユーザーが想像できるようにと、微妙なさじ加減を要求された歌詞は、何度もダメ出しを食らって、牧野さんも「生みの苦しみを味わった」と話している。

 ところでこのダメ出し、牧野さんは水谷さんからもらっていたものだと思っていたそうだが、実は金丸さんが出していたのだと発覚。「1行の歌詞に8行くらい赤(修正指示)が入る」と水谷さんは語っていたが、金丸さんいわく「ニュアンスがちょっと違うだけ」だったらしい。何とも妥協のない制作へのこだわりが感じられるエピソードだ。6月4日にゲームが発売されて、この曲がきちんと聴けるようになるわけだが、牧野さんによれば「クリアしないと聴けないかもしれないので、頑張ってプレイしてください」とのこと。5月22日の記事に掲載したPVなどで曲が気になっている人は、聴けるまで頑張ってプレイしよう!

『アークライズ ファンタジア』
▲ちなみに、中村さんはすでにクリア直前までゲームを進めているそうだ。そこまでのプレイ時間は「60時間を超えて、70時間くらい」だという。中村さんのゲームに対するこだわりもたっぷり聞けたので、それについては後ほど。

 加藤さんへの質問からは、みんなのニンテンドーチャンネルで配信中のプレイ動画に関するトークが展開された。「アデールの映像が少ない」というアンケート内容に端を発したこのトークだが、水谷さんが「そんなこともないはず」と、加藤さんとパーティ構成の話をするうち、なんと主人公のラルクが戦闘メンバーから外されていたことが明らかに!

 スネたようにそっぽを向いてしまった中村さんに「アデール、アルス、ラルクのパーティにニコル(牧野さんも戦闘で役立つとオススメしていたキャラ)を入れるには、ラルクを外すしかなかった」と釈明(?)する加藤さん。どうやら、ぶっきらぼうのラルクとは対照的な性格で石田彰さんの声がハマリ役のアルスが大のお気に入りのようで、これには会場からも多くの共感するうなずきが見受けられた。ますますスネた様子を見せた中村さんは「最終的にはラルクを入れざるをえない。最終的にそんな(主人公を外す)プレイはできない!」と主人公らしさ(?)を発揮。多彩なパーティキャラが登場して、自分の好みのメンバーで戦える点も本作の魅力だが、主人公は終盤で苦労しない程度に戦闘メンバーに参加させた方がいいだろう。

『アークライズ ファンタジア』
▲イベント中に中村さんによる実演プレイも行われたのだが……実は中村さん自身、ラルクを戦闘では脇役にしていることが判明。ラルクを引き立たせるには、相当な“愛”が必要なようだ。


■睡眠時間を削ってゲームをして、次の日の仕事に
 響かせないためにはどうしたらいいですか? ――ムリです

 「ゲームとプラモの話になると熱く語りますよ」と話す、中村さんのゲーム愛も垣間見ることができた。ここでは、その愛の片鱗をを少しだけお届けする。なぜ少しなのかというと、ピー音が必要だったり、ここでは書けなかったりする話も多かったからだ。

 先ほども少し触れたが、中村さんはすでにクリア直前までゲームを進めており、すでにプレイ時間も70時間くらい、レベルは60を超えているという。ちなみに発売日である6月4日を迎えたら、ボスを倒してエンディングを見るつもりで、今はプレイを止めているそうだ。この寸止めプレイという状況が、中村さんのやり込み度と、ゲーム愛の深さを物語っているといえる。

 そんな中村さんによるボス戦の実機プレイが行われると、会場にいた人々はますます中村さんのすごさを目の当たりにすることになる。まず、会場から「速いー!」という声がところどころで上がるほど、操作が速い。ヨースケのプレイを横で見ていた記者だが、正直、中村さんがコマンドを選択している時はまったくプレイが追えなかった。中村さんも初回は大苦戦し、牧野さんは倒せなかったボス相手なので、弱いはずはない(実際、このプレイでもラルクとリフィア、ゲストメンバーのアデールが戦闘不能になった)のだが、タンデムコネクトと呼ばれる連係攻撃システムを活用したり、ボスの弱点をついたりして、意外とあっさり倒してしまったという印象だ。中村さんによるシステムやバトルの解説も堂に入っていて、“ゲーマー”ぶりを余すことなく会場の人々に披露していた。

『アークライズ ファンタジア』 『アークライズ ファンタジア』
▲会場の中では、開発スタッフの次に『アークライズ ファンタジア』に詳しかったと思われる中村さん。「後半になるとリフィアやアデールの光召術(魔法)が強力になる」など、プチ攻略情報のようなものも披露された。

 ゲーム好きが広く知られ、会場でもそれを披露していた中村さんに寄せられたのが「睡眠時間を削ってゲームをして、次の日の仕事に響かせないためにはどうしたらいいですか?」という質問だった。しかし、これに対して中村さんは「ムリです」と大きな声で即答。中村さんも、仕事に響かないよう休むようにはしているそうだ。


■光田さんの曲は、RPGの曲が一番好きです

 光田さんの曲が好きだという中村さん。中村さんは「光田さんの曲は、RPGの曲が一番好き」と話していて、最初に渡された資料に光田さんの名前があった時も、テンションが上がったらしい。そんな光田さんが、会場でゲーム制作中のさまざまな苦労を語ってくれた。

 BGMは70曲くらい作ったそうで、ボツになったものを含めると「もう、そんなものではきかない」とのこと。それだけの数の曲をどうやって作るのか――? ということで、観客から出た「どんな時に曲のメロディが浮かびますか?」という質問には、「絵を見た瞬間に浮かびますね」という答え。自身が作曲もする牧野さんを、かなり驚かせていた。

『アークライズ ファンタジア』 『アークライズ ファンタジア』
▲会場からも感嘆の声があがっていた、絵を見た瞬間に浮かぶという光田さんの答え。曲の細かいディテールは、そこから詰めていくそうだが、絵を見た段階で半分はできあがっているという。

 また、コンポーザーとして実際にゲームへ音をあてていく仕事もする光田さんは、ムービーなどの音楽は、声優さんの声が入った映像の方が格段に音をあてやすいとも語っていた。これは、声優さんの演技に曲の流れをあわせることで、より効果的な演出ができるようになるからとのこと。そういった面もあり、音楽をあてる編集作業は、ゲーム制作ではたいてい最後の方となり、締め切りも非常にシビアなものになってしまう点は、どんなゲームでも同じのようだ。

『アークライズ ファンタジア』 『アークライズ ファンタジア』 『アークライズ ファンタジア』
『アークライズ ファンタジア』 『アークライズ ファンタジア』 『アークライズ ファンタジア』
▲本作のCGムービーやデモシーンを見る時は、声優さんの演技だけでなく、音楽にも注意して耳を傾けてみてはいかがだろうか?

 イベントで、制作へのこだわりやゲームのボリュームを感じることができた『アークライズ ファンタジア』。作り始めてから発売までには、およそ2年半以上の時間が掛かっているという。ちなみに、クリア後には「非常に難易度の高い」とスタッフが口をそろえて語る、やり込み要素も用意されている。腰を据えてRPGをプレイしたい人は、明日、本作を購入してみては?

(C)2009 Marvelous Entertainment Inc.

データ

▼『アークライズ ファンタジア』
■メーカー:マーベラスエンターテイメント
■対応機種:Wii
■ジャンル:RPG
■発売日:2009年6月4日
■価格:7,140円(税込)
 
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