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2009年6月3日(水)

Wiiの新作『ゼルダ』は『Motion Plus』専用に!? 任天堂ラウンドテーブルレポ

文:電撃オンライン

 米国現地時間6月2日夕方、任天堂が各国メディアを招いてのラウンドテーブルが行われた。これは毎年E3の開催時期に行われるもので、任天堂の専務取締役・宮本茂氏が出展作品について詳しくプレゼンを行う。質疑応答も宮本氏が直接受けるため、非常に興味深いメディアとのやり取りが毎年展開される。

 まず、宮本氏が今年の任天堂カンファレンスに登壇しなかった理由について。氏は展示されている多数のタイトルにかかわっており、非常に多忙だったと説明。ロサンゼルスに到着してからもメールで開発スタッフとのやり取りを数多く行うほど忙しかった模様だ。

任天堂カンファレンス

 そしていよいよ、本題のゲームプレゼンに。まず最初は『New Super Mario Bros. Wii』からスタート。本作について「1人プレイの画面のままでマルチプレイをやりたいとずっと考えつつ毎回挫折していたが、基本のシステムを3Dで作るなどの工夫をした結果、実現することができました。他のプレイヤーと協力するだけでなく、陥れたりするなど絶妙なバランスで楽しめます」と語った。プレイヤー同士の距離が開いてしまった時は、画面が引いて全体を見渡せるようになり、離れてしまっても各キャラクターがきちんと操作できるところが確認できた。また、1人プレイだとキャラクターがミスしたところで戻されてしまうが、多人数プレイだと誰か1人が残っていれば継続可能。初心者と上級者が一緒に遊んで楽しめるシステムになっているようだった。

 『New Super Mario Bros. Wii』のステージは全部で80あり、デモンストレーションしたステージではマリオがペンギンの着ぐるみをかぶって、実際のペンギンのように腹ばいで滑るアクションを見ることができた。他にもマリオの変身パターンはいくつも用意されているようで、どのようなアクションができるのか楽しみなところだ。

 続いてはWiiの『Super Mario Galaxy 2』。3Dのマリオでは初めて同一機種で第2弾を出す理由として、『1』を作った時は球体と重力のシステムが完全に使いこなせていなかったこと、スターの置き方ももっとおもしろくできたことなどを挙げ、「もったいないことをした」と考えていたことを明かした。その後、若手のディレクターと組んで1.5バージョン的な位置づけの作品を作ろうと企画をスタートさせたが、どんどん膨らんでしまいステージもほぼ10%新しいものになってしまったため、『2』として発売することに決めたという。

任天堂カンファレンス

 3タイトル目は『Wii Sports Resort』だ。本作の制作に至った経緯として、『Wii Soprts』の企画を考えていた時に“モータースポーツ”や“レジャースポーツふなどいろいろな企画もあがっていて検証なども始めていたが、次回作を作るにあたって他にどんなスポーツがあるかを探っていた時、『Wii Motion Plus』というデバイスに出会ったという。

 バスケットボールでは本来、球が手から離れる時の手首のスナップをコントロールすることがおもしろい部分だが、それを再現するのは難しいという。だが『Wii Motion Plus』は、そうした繊細な手首の返しなども感知してくれるので、楽しいスポーツをいろいろと作ることが可能となったと宮本氏は話した。

 ちなみに、『Wii Sports Resort』の舞台となる島は『Wii Fit』にも登場するウィフィ島であることが判明。宮本氏はこの島を“キャラクター”として展開したいようで、宮本氏が作るゲームの舞台を当分はこの島にして、島のとあるホテルで殺人事件が起こったり、『Wii Sports Resort』を遊んでいたらそのホテルを特定できたりと、いろいろな夢を持っているとのこと。「最終的に本物のウィフィ島を作ってみたいけど、これは株主が認めてくれないでしょうね」と会場の笑いを誘っていた。

 最後に登場したのはDS『The Legend of Zelda: Spirit Tracks(邦題:ゼルダの伝説 大地の汽笛)』。前作『夢幻の砂時計』と同様に、タッチペンによる操作でダンジョンを攻略していく。また地上の移動手段には鉄道を用意するなど、新しい要素も多く入っている。また今回は、GC『4つの剣+』で入っていたものに近い形の対戦モードを用意するとのこと。DSの通信機能を使ってどのような対戦を実現するのか注目していきたい。

 また、今回のE3で宮本氏は「Wiiの『ゼルダの伝説』最新作の発表をしたかった」と語り、開発が着々と進んでいる証拠としてメインイラストをメディアにこっそりと公開した。残念ながら撮影はNGだったのでお見せできないが、イラストはストーリー設定に沿ったものだという話だった。Wiiということもあってか、絵のタッチはアニメ調ではなく『トワイライトプリンセス』に近い形となっている。そして『Wii Motion Plus』に対応し、しかも宮本氏は「おそらく(Motion Plus)専用になるだろう」と語った。

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 ゲームのプレゼンが終わり、ラウンドテーブル終盤は出席したメディアからの質疑応答の時間となった。その質問と、宮本氏の答えを列挙していく。

――マイクロソフトやSCEがモーションコントロールを次々と発表したが、宮本さんの意見を聞かせてください。

 自分たちがデバイスを作っていて、本当に遊んで楽しいレベルに調整するのにかなり時間がかかります。技術をソフトウェアで快適に遊べるよう仕上げるのが自分たちのノウハウだと思っているので、実際、他社さんのデバイスも商品として遊べる状態になっていないと評価できないんですね。どの方法が正しいか今の段階では言えないが、任天堂が提案している体全体を動かして遊びをしようというアプローチに、各社さんが興味を持ってくれたのは非常に心強いと感じており、このマーケットがもっと大きくなっていくことを願っています。

――本日発表された『Wii Vitality Sensor』についてはどう考えていますか? またゲームにどう利用していくのですか?

 非常にユニークなデバイスだと思っています。これまでのデバイスはボタンを押すなど、自分で意図して動かせるものでした。例えば脈拍の上げ下げなど、コントロールすることが非常に難しいものを正確に計測できるようなデバイスがあったら、かなりおもしろいことができると思っています。ヨガなどに使ってもいいし、「あなたは安眠できていますか?」といったことに使うのもおもしろい。新しいデバイスは遊びの可能性を広げてくれます。それに対してクリエイティブな人がどう付き合ってくれるかが課題ですね。任天堂の中では若いクリエイターたちが興味を持って取り組み始めています。

――『Wii Sports Resort』では目標をクリアするとスタンプがつくという話ですが、他ハードのように実績やトロフィーのようなシステムをWiiにも導入していくのですか?

 この作品を遊んでいると、そういうシステムがあったほうが純粋におもしろいなと思ったから入れました。私はどちらかというと、ごほうび的なものでプレイヤーのモチベーションを上げるのはあまり好きではないんです。本来遊ぶ人が自主的にやり込みたいと感じて遊んでくれるのが一番いいと思っています。

※画像は任天堂カンファレンスのもの
(C)2009 Nintendo


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