2009年7月9日(木)
5pb.から7月23日に発売される朗読CD『官能昔話3~怪談~』に出演する、小山力也さんのコメントを公開する。
『官能昔話3~怪談~』は、誰もが一度は聞いたことがある昔話を官能的な表現に置き換えて、男性声優が朗読する企画CD『官能昔話』の第3弾。今回のCDでは、井上和彦さん、小山力也さん、保志総一朗さん、下野紘さんという4人の人気声優が、『耳なし芳一』や『番町皿屋敷』、『道成寺』などのおなじみの昔話を、持ち前の美声を駆使して朗読する。
今回、本作に出演している小山さんからコメントをいただいたので掲載する。
――まず、『官能昔話』というタイトルを聞いた時の率直な感想を教えてください。
いや、これはいけないなと思いました。ちょっといろいろまずいなと思いました(笑)。
――今回のCDのタイトル『官能昔話3~怪談~』から思い浮かべた内容は?
思い浮かべるのは、やっぱりエロティックなストーリーですよね。怖いものといやらしいものはセットになればなお、すばらしい……(笑)。まぁでも、映画の吹き替えではベットシーンもたくさんありますし、いろんなバイオレンスシーンもやっていますので、あくまでも健全な一般作であればいいんじゃないかなと思いました。
――ちなみに小山さん1人で朗読していただいた“道成寺”の台本を読んでの感想をお願いします。
このお話は安珍清姫の物語。名作で、能や歌舞伎、浄瑠璃など、いろいろな形で上演されていますので、語りで演じさせていただけるのは、うれしかったですね。でも、やっぱり「ほら来た来た」という感じで(笑)。ちょっとまぁ露骨な直接的な言葉は変えていただいて、聞いている人のご想像におまかせするという形でやらせていただきました。
――実際の収録はいかがでしたか?
ほんとにもう語りの舞台に立っているような感覚でした。ほとんど止めることなくやらせていただいたし、納得いくまでやらせていただいたので大変充実した収録でした。立って、目の前にお客さまがいらっしゃるような姿勢でやらせていただくことはあまりないので、おもしろかったですね。もしよかったら全部また通してやりたいくらい。細かい段取りもわかったので、今度はそういうことをスパッと忘れて、全部通してやってみたいくらいおもしろいお話です。
――小山さん的にこだわったところは?
こういう作品は、リスナーの方もきっと集中して聞いてくださいますからね。夜に電気消したり、お酒飲みながら聞いていただいたりとか。イメージが広がるように、聞いてくださる方を意識して収録しました。TVとかだとある程度、他のことをしながらご覧になる方もいらっしゃるので、どうしても表現が限定されることがあるんですけど、こういう作品は本当に微妙な音も拾ってもらえる。いろいろ遊びも入れてもらえるし、そうやってじっと聞いていただける方を思って演じられる、ありがたい収録でした。
――ここはポイントだな、というところは?
やっぱり蛇に化けていくところですよね。そして追い掛けていくところですね。
――井上和彦さん、保志総一朗さん、下野紘さんをふくめ、4人でやられている“三枚のお札”の方はいかがでしたか?
ユーモラスなお話ですが、直接的な言葉は、やはりなしにしていただいて、表現だけで、いかにいろんなテイストを込められるかなと考えました。
――小山さんの演じた山姥というキャラクターはいかがでしたか?
まぁ、男の僕にわざわざ配役してくださいましたので……。小山がやればこんな風なアホな山姥(やまんば)ですよっていう感じです(笑)。
――ちなみにダミーヘッドマイクでの収録はいかがでしたか?
初めてでしたからね。やってみればスッと感じはつかめるんですが、やっぱりちょっと恥ずかしいですね。僕らは、普通の収録ではスタッフの方々にたいていお尻向けてしゃべってるのが専門ですからね。ダミーヘッドマイクではいろいろな角度からしゃべるので、動きながら金魚鉢(収録スタッフのいるブース)の方が見えるとちょっとね。結構恥ずかしいものがあります(笑)。
――珍しい収録で、ちょっと新鮮な感じもありましたか?
そうですね。別に顔の形してなくてもいいのにね……と思いながら(笑)。
――最後に『官能昔話』の魅力を教えてください。
官能とうたっている通り、それは、人間になくてはならないもの、そういうスタンスで作っています。どんな人間でも、いかに理性でいろいろ建前をつくろったところで、人間は官能を求めてしまう生き物ですから(笑)。あくまでも普通の言葉で、昔話で、なおかつ怪談で……。怪談のおもしろさ、そのテイストは損なわずに、昔から育まれていた怪談の中の官能的な部分を強調して表現しています。そして、あとは聞いていただく皆さんのお力によって、いろんな楽しみ方をしていただける、なかなかに良質なシリーズだなと思いました。決して下品になることなく、過度に過激な表現に陥ることもなく、誰が聞いても楽しい……。怖くて、ちょっとドキっとする。ヘッドフォンで聞くともっとドキっとする。それで成立している、とてもよい作品です。ぜひたくさんの皆さんにも聞いていただきたい。そう思います。
(C)5pb.