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2009年8月21日(金)

これぞ原点! PSPで新たに生まれ変わったRPG『ペルソナ』をレビュー

文:デルチ

『ペルソナ』

 こんちは! ヒザに水がたまり、『電プレ』のレビュアー生命を絶たれた有部デルチですよ! レビュアー生命は絶たれたものの、今回レビューするPSP版『ペルソナ』は他人には任せられないってことでケガを押して参上させていただきました。

 発売から3カ月が経ち、ゲームをクリアしたって人も多数いるでしょうが、そんなことは関係なしです。だってまだプレイしていない人もいるでしょう? PS版と何が違うのって思っている人もいるでしょう? 「興味あるけどおもしろいの?」って手を出していない人もいるでしょう? そんな人たちに、いかに本作がおもしろいかを伝えちゃおうと思います!

 あ、余談ですけど、『真・女神転生』シリーズの最新作が発表されましたね~。タイトルは『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』ですって、奥さん。「悪魔を合体させちゃいなよ、YOU」とか言われるんですかね~。久々の完全新作なだけあってこちらも楽しみです。

 あ、本題ですけど、『ペルソナ』は、そんな『真・女神転生』から派生したシリーズ作品です。1番の特徴は、『真・女神転生』のように悪魔を引き連れるわけではなく、“ペルソナ”としてプレイヤーキャラたちが憑依(ひょうい)するところでしょうか。『2』はやや毛色が異なりましたが、学生たちが主人公というのもポイントの1つだったりします。なんてたって、ゲームをプレイする人のほとんどが現役学生だったり、かつて学生だった人なわけですから、感情移入の度合いがハンパじゃありません。ここまでの人気シリーズになったのも当然といえば当然でしょう。シリーズ作品は、現在アペンドものも含めて6タイトル! 今回の『ペルソナ』は、その原点でありPSで発売された『女神異聞録ペルソナ』の移植作品になるわけです!!

『ペルソナ』

■こういうオカルト流行りましたよね~

 本作の舞台は、都心からほど近い御影町に建てられた私立聖エミルン学園。カトリック系の学校ですが、自由な校風なためさほどカタい印象は受けません。ボクもこんな高校に通いたかったところです。そんな学校では、あるオカルトが流行しています。それは自分の未来の姿が見えるという儀式で、“ペルソナ様”と呼ばれています。ある日主人公たちもその遊びを実行するわけですが、そこで異変が起きてしまいます。突然教室内に雷が発生し、それに打たれたクラスメイトが次々に意識を失ってしまうのです。もちろん、主人公もその1人。彼は失った意識の中である人物と出会います。それこそが、もう1人の自分“ペルソナ”覚醒のきっかけになるのです。

 この普通の学生が未知の力に目覚めるって展開だけで燃えます! RPGなんかでは王道ではあるけど、なんだかんだいって王道が一番燃えるんです。ロボットアニメだって、半分くらい物語が進んだら主人公機はパワーアップしてほしいし、ラブコメものだったら、トーストくわえた女の子と曲がり角でぶつかって、「あんた、今パンツ見たでしょ?」的な展開をみんな心のどこかで待ち望んでいるわけです。そういった意味でも『ペルソナ』のストーリーは、皆さんの心のどこかの期待を裏切ることはありません。各キャラの専用ペルソナのパワーアップみたいなこともあるし、悪の組織的なものもしっかり登場します。

 あ、余談ですけど、ボクの小学校にもオカルトがありました。土曜日の下校時になると“けしょババ”と呼ばれる女性が生徒を襲うっていう伝説です。しかも実際に何度も見たことがあります。ありますが、今考えてみると、ただの化粧が濃いおばさんだったし、生徒が襲われることもなかった気がします。

『ペルソナ』

■これがPSP版の真骨頂!

 物語もさることながら、練りこまれたシステムも本作の大きな魅力! 敵対する悪魔との会話で得る“スペルカード”をもとにペルソナを作成し、そのペルソナを使ってさらに強い敵と戦うという『真・女神転生』シリーズのシステムのアレンジ版となっています。

 そしてPSP版では、それらシステム面がより遊びやすく進化しているのです。まず、戦闘スピードのアップ。PS版では1回の戦闘がかな~り長く、このカベを超えられずに投げ出した人もいたようですが、PSP版でその心配は不要です。スキップ機能を使った高速戦闘も可能ですし、エンカウント率自体もバランス調整がなされているので本当にサクサク進むんです。さらにセーブポイントやダンジョン内のショップが増設され、PS版の厳しさは一切なくなっています。シリーズ初心者でも安心して楽しめること請け合いです。

 PSP版の魅力はそれだけではありません! なんとゲーム中のほとんどの楽曲がアレンジされているのです。しかも、『ペルソナ3』や『ペルソナ4』のようなポップなBGMが多く、それらの作品からシリーズに入った人にはなじみやすいハズです。もちろんボーカル入りの楽曲もアリなので、思わずゲームを止めて聞き入っちゃう人もいるのではって感じです。演出面ではBGMの他にも、新規描き起こしのムービーが随所に挿入されるなど物語を盛り上げるさまざまな仕掛けで楽しませてくれます。

 あ、余談ですけど、ボクはエリーが好きです。あのうさんくさい英語がたまらんですよね。『ペルソナ3』で美鶴が好きなのもエリーの影響なんじゃないかってちょっと思います。あ、『ペルソナ3』ではキャラ的には美鶴ですけど、声的には風花ですよ。あのウィスパーボイスで戦況報告された日にゃ、どうにかなってしまいそうになります。そもそも風花はボクが……(以下長くなったので、編集が削除させていただきました)って感じでレーズンがどうにも苦手なわけですが、じつはPSP版のプレイでは玲司を仲間にしてしまったのでエリーは入っていないみたいなオチの話でした。そんなこんなで女性キャラが麻希のみというむさいパーティで進めたわけですが、PS版同様不思議と育たない南条くんがときどきボクの心を癒してくれました。

『ペルソナ』 『ペルソナ』

■今からでも遅くない! 原点を体験せよ!!

 物語、キャラクターの魅力はそのままに、より遊びやすく進化を遂げたPSP版『ペルソナ』。ストーリーも、メインの“セベク篇”に加え、まったく異なる物語が展開する“雪の女王篇”も収録されるなど、約13年前に発売された作品ですが、ボリューム的にも昨今の作品に匹敵する内容となっています。まあ、ゼイタクな希望ですが、新ペルソナとか新キャラとか“PSPだけ”という強い要素がもうちょっとあればカンペキだったかなぁと。それでも良質なRPGとしてオススメできることは間違いなし! この夏休みにでも、なんなら冬休みでも、ああ、もういつでもいいのでぜひプレイしてほしい1本です!

(C)ATLUS CO.,LTD. 1996,2009

データ

▼『ペルソナ』
■メーカー:アトラス
■対応機種:PSP
■ジャンル:RPG
■発売日:2009年4月29日
■価格:5,229円(税込)
 
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