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2009年8月24日(月)

『ガンダム』が忘れられてしまうくらいの作品を――富野監督がファンを激励

文:電撃オンライン

 東京ビッグサイトで8月21日~23日に開催されていた『機動戦士ガンダム』30周年記念大博覧会“GUNDAM BIG EXPO”の初日に、ステージイベント“GUNDAM 30th ANNIVERSARY”が行われた。

 このイベントでは、『機動戦士ガンダム』でアムロ・レイを演じた古谷徹さん、シャア・アズナブルを演じた池田秀一さん、ララァ・スンを演じた潘恵子さん、監督の富野由悠季さんらが駆けつけ、『機動戦士ガンダム』が30周年を迎えたことに対するトークを行った。

“GUNDAM 30th ANNIVERSARY”
▲初めに登場したのは、古谷さん、潘さん、池田さんの3名。「この3人で30年たったいま、ステージに立てるのは感無量ですね(古谷さん)」、「自分の子どものような方たちが、(作品を)育ててくれたことを本当に感謝しています(潘さん)」、「(このイベントを迎え)長生きして本当によかった思います(池田さん)」とそれぞれにファンへの感謝を述べた。

 現在、潮風公園に実物大ガンダムが展示されていることはファンの間でも話題だが、この場所に訪れたファンからのメッセージが会場で上映された。ファンからの応援の声を聞いた古谷さんは、『ガンダム』を「“人生”です」「“宝物”です」と言ってくれたことが本当にうれしいと、ファンの思いに感謝しつつ、これからも身体に気をつけてアムロを演じていきたいと話した。

 また古谷さんは、13歳で声優に初挑戦した2年後に大ヒット作『巨人の星』で星飛雄馬に出会い、その後大学を卒業してプロになった後も、どうしても星飛雄馬を引きずっていた若いころの苦労を明かす。そんな時期に出会ったのがアムロ・レイで、それまで流行だった熱血主人公とは対極の“戦いたくない主人公”であるアムロを演じたことで、精神的にとても救われたのだという。アムロの描写として、第1話の初登場時に「ハロ、今日も元気だね」と、ボソッと話しかけるシーンを挙げ、その何気ない少年の姿を演じるシーンがあったからこそ、古谷さん自身が、1年戦争を戦い抜くことができたと思いを語った。

 ファンから「シャアとアムロを包み込む姿が印象的」などの声も届いたララァを演じた潘さんは、「声の仕事を始めてから1年で、こんな素敵なキャラに出会えたのは役者冥利につきます」と述べ、ララァの男の人を守る姿に感じ入るものがあることを話していた。

“GUNDAM 30th ANNIVERSARY” “GUNDAM 30th ANNIVERSARY”
▲ララァの姿から、「やっぱり女の人は強いですよね」と語る潘さんに、池田さんも「いつまでも僕を導いてください」と返事。原作をなぞったその言葉に、ファンの間からもちょっとした笑いが起きていた。

 この後、3名による生アフレコも行われ、池田さんからシャアを演じることの思いも語られた。30年前はシャアのすべてをつかむことができず、カンを働かせながら演じていたという池田さんだが、「30年経って、当時のカンは正しかった」と話す。また、「声は多少歳を取ってきているかもしれませんが、シャアがシャアであることは変わらぬまま演じているつもりです」との言葉には、ファンから拍手が起こった。

“GUNDAM 30th ANNIVERSARY” “GUNDAM 30th ANNIVERSARY”
“GUNDAM 30th ANNIVERSARY” “GUNDAM 30th ANNIVERSARY”
▲生アフレコが行われたのは、アムロとララァが出会ったシーン、アムロとシャアがア・バオア・クーで対峙したシーン。古谷さんと潘さんが直接絡むのは、DVDでの録り直しを行って以来の9年ぶりになるという。

 それぞれの役柄について語った後は、監督である富野さんへの思いが語られた。「一生超えられない人」と話す池田さん、「ピュアなままずっときた人」と話す潘さんに続き、古谷さんも「ずっと天才だと思っていた」と話す。しかし古谷さんは、ある時、監督の奥さんから「監督はシャアにあこがれるアムロ」だという話を聞いて、それから監督の書いたものなどを目にしているうち、天才である以上に努力の人だと考えを改めるに至ったそうだ。

“GUNDAM 30th ANNIVERSARY”
▲池田さん、潘さんが話し終えたところで、富野監督がステージに到着。古谷さんだけが、本人を前にして思いを語ることとなった。

“GUNDAM 30th ANNIVERSARY”

 続いて、ステージに到着した富野監督が、“『機動戦士ガンダム』が30周年を迎えてファンに伝えたいこと”を質問されると、監督は「これについては、“本気の富野”でお答えさせていただきます」と言って立ち上がった。監督は、自分より一回り以上若い人へのお願いだと言って、大人たちのすることが本当に正しいのか考えて、自らを含む大人たちに対して「今度はこういう風にするんだ」という“自分たちの考え”を見せてほしいと話した。さらに富野監督は、「『ガンダム』という作品の名前は、そういう次の人たちがまた新しい発言ができるようなレールを敷いたつもりでいます。そのレールを、もっと広く、太く、長く続けられるようなものにしていただきたい」と言って、最後に帽子を脱いで一礼した。

“GUNDAM 30th ANNIVERSARY” “GUNDAM 30th ANNIVERSARY”
“GUNDAM 30th ANNIVERSARY” “GUNDAM 30th ANNIVERSARY”
▲イベントの終了時には、登壇者からファンへのメッセージも。「“いつだって始まりだ”が『ガンダム』30周年記念のテーマです。(始める皆さんのため)微力ながら池田からも発信を続けていきたいと思います(池田さん)」、「女性の諸君、男性を守って!(潘さん)」、「皆さん、未来のために覚醒してください!(古谷さん)」、「『ガンダム』が忘れられてしまうくらいの作品を作ってください(富野監督)」と、それぞれに熱い思いを口にした。

(C)創通・サンライズ

■GUNDAM BIG EXPO概要
【開催期間】2009年8月21日~23日/各日10:00~18:00(最終入場17:30)
※最終日は17:00閉場、最終入場16:30
【会場】東京ビッグサイト 東2・3ホール
【入場料】
 大人(中学生以上):1,500円(税込)
 小人(小学生):800円(税込)
 幼児(6歳未満):無料


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