2009年9月2日(水)
コンピュータエンターテインメント協会(略称:CESA)は、現在開催中のゲーム技術者向けカンファレンス“CEDEC 2009(CESAデベロッパーズカンファレンス2009)”の2日目にあたる本日9月2日、開発者の功績を称えるCEDEC AWARDS授賞式を行った。
タイトルではなく、ゲームに用いられた技術を審査の対象とするCEDEC AWARDS。プログラミング・開発環境、ビジュアルアーツ、ゲームデザイン、サウンド、ネットワーク5部門と、特別賞、著述賞を賞として設けている。
受賞者 | 選考理由 | |
プログラミング・開発環境 | 『ワンダと巨像』プログラミングチーム(SCE) | リアルタイム変形コリジョンの実現技術は、巨像によじ登り、必死でしがみつくというゲームメカニクスの核となっている。優れた技術が、新しいゲームデザインに結び付いた好例として挙げたい。また、前作の『ICO』においても空気感を感じさせる素晴らしい描画を実現していたが、本作では更にこれが進化するとともに、ファーの表現なども実現している。 |
ビジュアルアーツ | 『大神』アーティスト、およびテクニカルアーティスト(カプコン) | 発売から数年たった今でもまったく色あせた感じを受けない墨絵的な表現を使用した独創的な映像表現を実現。また、その独特のタッチを、いわゆるトゥーンシェーダーによらない独自の技法を用いて実現した。ゲームにおけるビジュアルワークの存在感と可能性を再認識させた。 |
ゲームデザイン | 『モンスターハンターポータブル』開発チーム(カプコン) | 武器や装備の的確なパラメータバランス、操作の修練、そして、協力プレイ時の声を掛け合っての戦略構築や、他プレイヤーからのアドバイスなど、一カ所に集まった友人同士のコミュニケーションの楽しさという要素を、総合的に高いレベルのゲームデザインとしてまとめ上げた。 |
サウンド | 『リズム天国ゴールド』開発チーム(任天堂) | シンプルなアイデアと丁寧な作りこみで前作からゲーム性を昇華させ、幅広いお客様が楽しめる音楽ゲームを実現している。ポピュラー音楽のヒットメーカーの才をゲームデザインに生かし、サウンド表現とゲーム内ギミックの連携も絶妙で、“リズムに乗る”という本能的な気持ちよさとユーザー操作とが直結されるよう音色選びまでこだわり抜かれ、サウンドがゲームデザインの重要な要素として生かされている。 |
ネットワーク | “ニコニコ動画”開発チーム(ニワンゴ) | いわゆる“ゲーム”とは異なるが、ネットワーク上でお客様同士がコンテンツを提供しあったり、それらとインタラクションを行うのは、広義のゲームであるのでノミネーションする。新しい楽しみ方の提供のみならず、バックエンド技術の積極公開など、業界への貢献を行っている。 |
特別賞 | 堀井雄二氏 | コンソールゲーム黎明期(れいめいき)から、現在に至るまでゲーム開発にかかわり、特に『ドラゴンクエスト』シリーズにおいてRPGのゲームデザインの基礎を確立した。 |
著述賞 | 平山尚氏(セガ) | 著作『ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術』は、日本のゲーム開発現場第一線で働く技術者が書いた草分け的な技術書。今後も、このような動きが活発化することを願って選出した。 |
著述賞 | 石田晴久氏(故人) | 故石田氏は『プログラミング言語C』邦訳版他、多数の著述を遺した。著述を通じて、ゲームのみならず日本のソフトウェア産業全体に多大なる貢献をした。 |