2009年9月8日(火)
▲アクワイア 『フラゴリア』運営ディレクターのアンナ・トンベルグさん |
──今日はよろしくお願いいたします。基本的なことから伺いますが、『フラゴリア』の開発元はロシアのメーカーなんですよね? ロシアで正式サービスを開始したのは、いつころのタイトルなんでしょう。
アンナ・トンベルグ(以下、トンベルグ):ロシアでのサービス開始は約1年半ですから、そんなに古い作品ではありません。日本のクライアントとバージョン差もほとんどないです。今はバージョン3.0になります。
──オープンベータ開始は順調にいけば10月中旬と伺いましたが、その時点でプレイヤーはどこまで実際に遊んだり、機能を利用できるのでしょうか? ローカライズの進行度合いなどもあわせて教えてください。
トンベルグ:マップでいいますと初期村からフラゴルスク市と、ダンジョンまでなのでレベル25ぐらいまでになる予定です。ローカライズは現時点で第1段階は終了しました。あとは第2、第3段階を経て、余裕があれば第4段階までローカライズをあてたいと考えています。
──あと1カ月を切っていますけれど、そのペースで第4ローカライズまで間に合いますか?
トンベルグ:間に合わせます(笑)。言語の問題だけでなく、今「フラゴルスク市」と大変いいにくそうでしたけれど、そういったロシアらしいけれど発音しづらい名前などを、どこまで残すかというバランスも実は悩んでいる最中でして。すべてなくしてしまうと『フラゴリア』らしさが失われてしまいもったいないけれど、日本のプレイヤーになじみにくくても、ゲームへの愛着が生まれませんから。
──世界観やメインシナリオはロシアの昔話や神話をベースにしているのでしょうか?
トンベルグ:いえ、世界観は完全にオリジナルのファンタジーです。ただゲーム中のクエストに、ロシアの子どもなら誰でも知っている、日本で言うなら桃太郎レベルで知られている昔話のなどが出てくるんですよ。それは『フラゴリア』ならではの魅力ですね。
──ロシアの昔話というと、ほうきと杵を持って臼に乗る魔女ババヤガぐらいしか知らないのですが、他にどんなお話が出てきます?
トンベルグ:そのババヤガも登場しますし、丸いパンのお話がありますね。これはおじいさんとおばあさんが作ったパンが転がって二人から逃げ出し、その後も動物たちに食べられそうになるところを、知恵を使ってうまくかわしたけれど……という物語です。
──他に『フラゴリア』ならではの特徴があれば教えてください。
トンベルグ:以前の『フラゴリア』は武器や防具の多くは有料アイテムでしたが、現在のバージョンはダンジョンなどの敵から、よりよいアイテムがドロップするように、バランスを大きく調整してあります。開発側としてはゲーム内でのプレイヤー間取引を活性化させ、育てたいという思惑があったようです。また、『フラゴリア』のちょっと変わったシステムとして、アイテムを販売する際に“自分の経験値を少し付与する”ことが可能なんです。高レベルプレイヤーの中には、このシステムを使ってゲーム内通貨を稼いでいる人も多いんですよ。
──それは珍しいシステムですね。じゃあ低レベルの人でもその武器や防具を購入すれば、いきなりレベルアップしたりするんですか?
トンベルグ:はい、そういうことです。日本もロシアも時間がたっぷりある人に限って、あまり有料アイテムを購入するにはお財布が厳しいようでして(笑)。経験値をお金に変えるシステムはそれなりに好評ですよ。
──『フラゴリア』は日本以外の国でのサービスは展開しているのでしょうか。
トンベルグ:はい、ドイツでは正式サービスが始まっています。中国で第4クローズドベータテストが終わったところで、その他にもマレーシア、タイ、北米でのベータテストを予定しています。
──グラフィックスを見る限り、わりとコアユーザー向けですかね?
トンベルグ:おっしゃる通り『フラゴリア』は万人受けするタイプの作品ではありません。メインターゲット層は昔からオンラインゲームに親しんでいるプレイヤーになります。
──ロシアにおける『フラゴリア』の主なプレイヤー層はどうなんでしょう。
トンベルグ:やはり20代~30代が中心で、男女の割合は半々です。ロシアは女性のゲーマーも多いんですよ。
──『フラゴリア』自体の話からは少しそれますが、今ロシアで人気があるオンラインゲームはなんでしょうか。
トンベルグ:日本とあまりそこは変わりませんね。『リネージュ』『ラグナロクオンライン』『World of Warcraft』といったファンタジー系が上位を占めています。日本で言うなら“平成生まれ”にあたるような、生まれたときからPCとインターネットがあって、オンラインゲームに抵抗がない世代がロシアでもどんどん増えていますからね。また、大都市圏であればインフラも日本に引けをとらない環境ですので、ネットカフェより自宅でのプレイが多いです。一方で田舎に行くとネットカフェどころか、熊しかいませんよ(笑)。
──ところで、さらに『フラゴリア』から話は離れますが、そもそもアンナさんが何者なのか。どうしてそんなに日本語が流暢なのか気になって仕方ありません。そこは聞いても大丈夫ですか?
トンベルグ:アクワイアでの私の立場は運営ディレクターになります。。第1言語はロシア語ですが、ロシア人ではなくて生まれはエストニアです。大阪にある大学に留学して専攻は日本語学科でした。日本在住は6年目ぐらいになりますかね。
──あの、そもそもなぜ日本の大学に留学して、日本語を学ぼうと思われたんですか。
トンベルグ:実は日本のアニメーションが好きでして……『スレイヤーズ』とか。来日したときは真っ先に秋葉原に来ましたよ。
──ゲームもお好きだったんですか。
トンベルグ:いえ、ゲームはこの会社に入るまでほとんど触ったことがありません。ただ、インターネットのヘビーユーザーではありました。朝起きたら、とりあえずPCの電源を入れるような。
──今後も『フラゴリア』のように、ロシアあるいは東欧で開発されたゲームのサービスを考えていらっしゃるんでしょうか?
トンベルグ:まずは『フラゴリア』を成功させることが先ですが、いずれは私が窓口となって、有望なタイトルを日本に紹介していきたいです。
──それでは最後に、読者向けのメッセージをお願いいたします。
トンベルグ:こんなにグラフィックのきれいなブラウザゲームは他になかなかありませんので、ぜひ『フラゴリア』を一度遊んでみてください。
──ありがとうございました。
(インタビュー収録は9月1日)
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