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2009年9月29日(火)

遊びを作り出す楽しさを味わってほしい――コードマスターズCEOインタビュー

文:電撃オンライン

 数々のレースゲームを世に送りだしているコードマスターズのコードマスターズ英国本社CEOロッド・カズン氏にインタビューを行った。

 昨年から日本市場に本格的に参入し、『RACE DRIVER GRID(以下、GRID)』をはじめ『FUEL』などハイクオリティな映像と独自のシステムを持つレースゲームを送り出してきたコードマスターズ。東京ゲームショウ2009でも『コリン・マクレー ダート2』や『F1 2009』がプレイアブルで出展され、多くのユーザーに認知されつつあるメーカーだ。

 さらに新たなフラッグシップタイトルともいえる『オペレーション フラッシュポイント:ドラゴン ライジング(以下、OFP)』もプレイアブル出展されるなど、ラインナップの充実ぶりがうかがえる。東京ゲームショウにはコードマスターズ本社のあるイギリスから、CEOのロッド・カズン氏が来日! 日本市場へのイメージや手ごたえ、今後の販売戦略などを伺った。

コードマスターズ

コードマスターズ英国本社CEO
ロッド・カズン氏

 1981年にクイックシルバに入社、アクティビジョンの英国担当、マネージング・ディレクター兼同グループのインターナショナルビジネス プレジデントとして活躍。その後、アクレイム・エンターテインメント社を経て、2003年にコードマスターズのCEOに就任した。ビデオゲームにおけるマーケティングのパイオニアとして25年以上もゲーム業界に携わっている。



――最近では、フィールドの広さでギネス記録を取った『FUEL』が発売されたばかりですが、コードマスターズは「良質なRCGを作るメーカー」として、徐々に名前が知られてきていると思います。日本法人を立ち上げてちょうど1年が経過したところですが、現時点での手ごたえはいかがでしょうか?

カズン氏:私は、日本は特別なマーケットだと認識しています。その上で、やはり日本で発売するタイトルに関しては、日本側のチームとよく相談して、日本市場にあったクオリティの高いゲームを選んで出していくことにしました。現時点では数こそ少ないですが、このように、戦略的に"プレゼンスを高めることのできる"適切なタイトルを発売することで、高い評価を得ていこうと考えています。この1年間でそのような動きはできてきていると感じています。

――『GRID』や『ダート2』、『OFP』などは日本人の声優を起用するなどローカライズがかなりていねいに行われている印象があります。この部分も、重視しているところなのでしょうか?

カズン氏:まさにそのとおりです。市場にあったローカライズをしっかりと行うことで、安心して作品を手に持ってもらえるようにしたいと考えています。文字を翻訳する際にも外注は一切使わずに、社内の日本人スタッフが担当しています。ゲームとしてのクオリティはもちろんですが、ローカライズのクオリティが高いことも、コードマスターズという会社と他のメーカーとの差別化のポイントだと考えています。

――御社は優れたRCGを出すメーカーとして徐々に認知されてきていると思いますが、『OFP』が発売されればFPSのメーカーとしても知られてくるようになりそうです。このタイトルに期待しているところを教えてください。

カズン氏:実は『OFP』はコードマスターズを代表するタイトルの1つで、第1作は7年前にPCで発売され、150万本以上のヒットとなりました。欧米ではこの作品のファンクラブが存在するほど、ブランドに対する思いも非常に熱いものを感じています。『OFP』は『GRID』や『ダート2』にも使われている“EGOエンジン”という非常に高性能かつ汎用性が高いエンジンを使用しており、戦場となる架空の島をとても忠実に再現しています。日本にも優秀なFPS作品が数多くありますが、そのなかでも見劣りしないレベルの作品ですので『OFP』はRCGシリーズに続く今後のコードマスターズの柱の1つになっていくでしょう。日本は丁寧なローカライズをするため、欧米のように同時発売とは行きませんが、すでに追加パックなどのダウンロードコンテンツも準備するなど、長く遊んでいただくための工夫もしています。日本ではまだ未定ですが、本国ではコミュニティ機能など、ファン層の裾野を広げていくことも予定しています。

コードマスターズ

――コードマスターズがPS3やXbox 360で出しているタイトルは、すべてオンラインに対応しており、オンライン部分が強いという印象がありますね。

カズン氏:オンライン部分が充実しているのは、コードマスターズの1つの特長でもあります。PC用MMORPG『ロード・オブ・ザ・リング』のホスティング サービスを務めるなど、オンライン事業に関する人材が豊富で投資も行っています。PS3やXbox 360のタイトルには、今まで培ってきた技術や経験が生かされていると思います。

――『OFP』はいろいろなハードで制作されていますが、制作サイドから見てPS3は開発しやすいハードなのでしょうか?

カズン氏:その質問の答えは「No」です。『OFP』は前述したようにもともとPCで開発されたゲームですが、リードマシンとしてあえてPS3で最初に制作を進めました。PS3で制作がうまく行けば、PCやXbox 360にも比較的楽に落としこむことができると考えたからです。EGOエンジンの汎用性の高さにも助けられて、今のところ開発は順調に進んでいます。

――国内外問わず、マルチハードで発売されるタイトルはXbox 360版での開発が先行する例が多いと聞いています。

カズン氏:コードマスターズの最大の強みは、優れた開発会社であるということです。パブリッシャー機能は、それに付随している、というイメージですね。いい意味で職人気質があり、技術力には自信を持っています。PS3版を先行させて開発させるように、常にチャレンジをしながら創造性を発揮して絶えず新しいものを作っていく会社です。オンライン事業に力を入れているのも、ユーザー自身のアイデアで新しい遊びを行うための“遊び場”を提供することで、“遊びを作り出すことの楽しさを味わってもらいたい”という狙いもあります。

――今後はどのようなゲームを出していきたいとお考えですか?

カズン氏:日本市場での今年1年の動きを見てもご理解いただけると思いますが、1つの柱はRCGです。今後も良質なRCGを提供して、確実なマーケットシェアを獲得していきたいです。さらにアクション系のタイトルにも力を入れたいですね。『OFP』も広い意味ではアクション系のタイトルと言えます。さらに中国やインドなどのオンラインタイトルに需要があるところにも『F1』などのタイトルを展開していきたいと考えています。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

カズン氏:電撃PlayStationや電撃ゲームスの雑誌や電撃オンラインの記事はかなり内容が濃く、読者の信頼を得ていると聞いております。私たちの提供するタイトルもクオリティが高く、絶えず他社の一歩先を行く技術を持っていると自負しています。電撃の雑誌やオンラインの記事を読んで、私たちの作品をより知っていただければ幸いです。

■東京ゲームショウ2009 開催概要
【開催期間】2009年9月24日~27日(ビジネスデイ:24~25日、一般公開:26~27日)※終了
【開催時間】各日10:00~17:00(一般公開日は開場時間が前倒しになる可能性がある)
【会場】幕張メッセ(千葉県)
【入場料】前売1,000円/当日1,200円、小学生以下は無料
【主催】社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)

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