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2010年1月16日(土)

【ケイブ・コラム第1回】ケイブ新川はるかプロデューサーのコラムがスタートしますよー

『haruka』
▲『真・女神転生IMAGINE』の運営プロデューサー。

■ゲームを作りたいアナタへ
(18歳以上限定公開の記事です)

 伝えたいことがあるんだ、新川@ケイブです。ごめんなさい、見出しの一部でウソをつきました。全年齢対象です。自分は、株式会社ケイブにてMMORPG『真・女神転生IMAGINE(以下、MAGINE)』の開発運営に携わっております。オンラインゲーム業界では海外タイトルのパブリッシング(海外開発・国内運営)が多い中、国内開発・国内運営を行っているということで、なかなかにカオスっている環境でのたうち回っています。

 今回から、ここ『電撃オンライン』さんのオンラインゲーム専門情報コーナー“電撃Online Games”で連載されているメーカーコラムに枠をいただき、酒の席で雄弁に語っても「ふーん」としか言われないような、どうでもいいことを書きなぐっていきたいと思います。

 課金とか不正とか、そのあたりのマジメな話はハンビットユビキタスエンターテインメントの中尾さんや、ゲームポットの前島さんの記事を大いに参考にさせていただきます(お2人とは面識すらございませんが!)。


 さて。何と言うても、オンラインゲームです。そういえば、PS3で『FF13』が発売されました。まだ自分でプレイはしていないのですが、とにかく映像美! 映像がスゴイ!! スクウェア・エニックスさんの方針を明確に打ち出した上で、その技術をいかんなく発揮した作品であることがうかがい知れます。いや、でも初回限定版がMMORPG『FF14』βテストの特別参加応募券とか、ずるいですよ……。だいたい、同じMMORPG『FF11』からして抜け出しづらい仕組みがてんこ盛りなのに、これでさらに『FF14』とか(略)。

 で、こういう状況でよく頭を悩ませることが1つ。こんなに技術的最先端を突っ走られると、お客さんがそれを基準に考えるようになってしまう、と。実際、むかーしの『ドラクエ』とかを見ていると、芸術の域に達したドット絵ですら発売当時を知らない世代から「絵が汚い(要約)」とか言われますし、場合によっては「何この音楽、4音しかないの?(要約)」とか。で、行き着くところが「ダセエ(要約)」と。

 いやいや、待て待て。昔はディスクやメモリ容量の関係で、真っ先に削られるのがグラフィックやBGMだったんだよ。だから、ごらん、なんてムダのないフォルムなんだ。そう、これは“厳選”なのだよ。選ばれた意思がそこにある! ドット絵ばんざーい! 電子音サイコー!

……さて。

 これがオンラインゲームになりますと、一部例外もありますが、映像表現などに関して言えば、プレイヤーの皆さんがお使いの環境に大きく依存してしまいます。超ハイスペックのマシンでプレイされてる方はもちろん、ノートパソコンでプレイされている方もいらっしゃるでしょう。そもそもWindowsOSなのか、MacOSなのかですら切り分けられちゃいますし。なので、オンラインゲームでは可能な限りスペックを求めないようゲーム設計をしたいところなんですが、そうなると当然のごとくPS3並のグラフィックは想定外になってしまうのです。(まぁ『IMAGINE』は、ある意味で真逆をいっちゃってますが……。なんとかしたい! なんとかする! タブン。)

 じゃあ、「PS3やXbox 360などのコンシューマ機に劣るのか、オンラインゲームは?」と言いますと、実はそうじゃない。グラフィックやBGMなどを補ってあまりある、素晴らしい要素があります。それは、“1人じゃない”こと。うん、オンラインゲームメーカーならどこでも言ってることですね。でも、ここにオンラインを介したサービスの基本にして、そのすべてが集約されているかなーと思います。

 サッカーも野球も麻雀も、1人じゃできないじゃないですか。もっと言うと、家族の団らんも、デートすらも究極的にはそうだし、1人じゃ生まれてくることもできないわけですよ。そんな人間の根源にあるコミュニティそのものが、オンラインゲームの最大にして最高のメリットなわけです。これも、どこでも言ってることですね。

 で、自分はそのコミュニティをゲームの中に組み込んだ際に、取っ掛かりとなる“演出”が必要だと考えました。アトラスさんの『真・女神転生』シリーズは、名も実もあるタイトルです。キャラクター性も豊かで、独特の世界観にも定評があります。そこで、まずはシナリオやキャラクター、そして映像演出面に触れてもらえば! ということで、ゲームクリエイター・鈴木一也氏をお招きして、2009年12月17日のアップデートより濃密すぎる展開を随時行っていたりします。

『imagine』 『imagine』
▲『真・女神転生IMAGINE』では、TVアニメ『とある科学の超電磁砲』とのコラボイベントを実施中! 悪魔が巣くう未来のトウキョウへ迷い込んだ御坂美琴を元の世界に戻すことができるか!? このイベントは2月10日まで実施しているので興味がある人はプレイしてみよう!

 そして、その展開をキッカケに、ゲーム内で誰かと会話してみれば、新しい楽しみが生まれます。大切なのは、あなたのほんの少しの勇気なんです! 1歩踏み出すだけで、この世界の主人公に、あなたはなる!……なんか、ワルいサイトの勧誘っぽくなってきたので、この辺で締めます。オンラインゲームは、友達作りのツールです。

 とにもかくにも、コンシューマとオンラインでは、考え方の軸がまったく異なるということは事実あり、その点を排他的に処理するか、メリットと捉え伸ばしていくか、僕としては後者を追求していくことを命題としており、これからもそうであると思います。ではでは。(新川はるか)

追伸:長くなったので、次回は3行にまとめます。次回は“シナリオとコミュニティについてのゲシュタルト的考察”です。

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