2010年1月21日(木)
初音ミクなどボーカロイドの楽曲を手掛けるアーティスト(通称:ボカロP)の1人・ハチさんのインタビュー記事を掲載する。
ハチさんは、ボカロPの中でも独特の世界観を表現する18歳の若手アーティスト。代表曲はニコニコ動画で119万再生数を突破した和風テイストの『結ンデ開イテ羅刹ト骸』で、奥深い歌詞が話題になっている。
そんなハチさんに、楽曲や初音ミクとの出会いなどについてお話を伺った。最後にはハチさんサイン入りCDのプレゼントもあるので、ぜひご覧いただきたい。
▲ハチさん |
――PVも全部ご自分で作られているとのことですが、初期のころはマウスで描かれていたとか……。
ハチさん:まだペンタブレットとかスキャナとかを持っていなかったので、とりあえずある物でやろうと思って。まぁ、今もペンタブレットはないので描いた物をスキャナで取り込んでいるだけなんですが。
――マウスでは作成に相当時間がかかったんじゃないですか?
ハチさん:いや、今のほうがかかっています。
――ラフを描いたりなど、試行錯誤する時間がかかるようになったのでしょうか?
ハチさん:いや、ラフはほとんど描かないですね。一度描いた物の上にまた何かを描くって言うのがキライで。
――天才肌ですね。
ハチさん:いやいやいや(笑)。
――ハチさんの一番の出世作である『結ンデ開イテ羅刹ト骸』では、独特の絵と意味深な歌詞がユーザーの間でも話題になっていますが。
ハチさん:皆さん、いろんな想像されていますよね。こんな風に深読みするんだって驚くことばっかりですね。あの曲は日常生活をテーマにして書いたんですが、夜の女性の扱いについて書いている、と解釈される方もいらっしゃって。
――日常生活とはずいぶんかけ離れていますね(笑)。
ハチさん:でも、うれしいことですよね。そこまで考えていただけるほど曲を気に入って聞き込んでくれているっていうことだと思いますから。
――あの曲を発表した時、こんなに再生されるとは予想できましたか?
ハチさん:いや、あの曲は絶対に伸びないと思っていました! それまでに発表した曲もまったく伸びてなかったし、ましてやミリオンなんて……想像すらしてなかったですね。1万再生程度いけばいいかなって思っていたぐらいですから。まさかあんな風になるとは……。
――最初から和風テイストにしようと思って作られたんですか?
ハチさん:いや、何も考えてなくて。今でもなんで和風になったのかが全然わからないんですよね。
――普段曲を書く時は、どんな風に発想するんですか?
ハチさん:曲を書く時に限ったことじゃないんですけど、頭の中でジオラマを作って、そこから絵なり曲なりを発展させていくというか……人形遊びをしている感覚なんですよね。キャラクターを思いつくと、そのキャラクターが勝手に頭の中で日常生活を始めるんですよ。このキャラクターはどんな性格なのか、どんな言動をするのか、そんなことを想像していると、自然にこのシチュエーションだとこういう曲かな、という感じでメロディと歌詞が浮かんでくるんですよね。それをそのままアウトプットしているだけです。
――それこそ学校で授業を受けている時にも、ふとジオラマができちゃったりとか?
ハチさん:いやもう、そればっかり考えています(笑)。そういう一人遊び的なことをしているのが楽しいんですよね。
――そんな中で、特別思い入れのある曲ってありますか?
ハチさん:『Qualia』ですね。とにかくPVを作るのに時間をたっぷりかけたことと、サビの部分のメロディが何年も前からずっと頭にあって、それが形になったことに対して思い入れはありますね。
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