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2010年3月25日(木)

絆と努力から生まれた1杯! 『龍が如く4』コラボカップめんの開発秘話を公開

文:電撃オンライン

『九州一番星 濃厚黒マー油とんこつラーメン』

 エースコックから、3月22日に発売されるカップめん『九州一番星 濃厚黒マー油とんこつラーメン(以下、黒マー油とんこつラーメン)』。この商品を手がけた開発スタッフにインタビューを行った。

 『黒マー油とんこつラーメン』は、セガから発売されたPS3『龍が如く4 伝説を継ぐもの(以下、龍が如く4)』と、食品メーカー・エースコックとのコラボレーション商品として発売されたもの。ゲーム中に登場する架空のラーメン屋“九州一番星”のメニューをカップめんとして再現し、リリースしている。両社のコラボレーションは、PS3『龍が如く 見参!』、PS3『龍が如く3』に続いて3回目だ。なお、過去に発売された商品のインタビューは、こちらの記事を参照のこと。

『九州一番星 濃厚黒マー油とんこつラーメン』 『九州一番星 濃厚黒マー油とんこつラーメン』
▲パッケージは、イチから組み替えるつもりで取り組んだという。コンセプトは『龍が如く4』のロゴと黒マー油を連動させること。「まったく新しいものとしてデビューさせるために、苦労した」と3人は語ってくれた。▲しかし、裏に描かれた基本的なイメージはそのまま。ご当店ラーメンっぽさを出したデザインは今回も健在だ。

 開発秘話を話してくれたのは、商品開発グループ・植田浩介さん、広告宣伝チーム・松山幸裕さん、スープを担当した開発研究室・中野雅文さんの3人。通常のコラボレーションと比較して、長い時間と労力をかけて開発された『黒マー油とんこつラーメン』への熱い思いを語ってもらっているので、『龍が如く』ファンの人も、カップめんファンもぜひご覧いただきたい。

『九州一番星 濃厚黒マー油とんこつラーメン』
▲インタビューに応じてくれた3人の開発スタッフ。左から松山さん、植田さん、中野さん。

■イメージのすりあわせに3カ月!? 開発が動くまでの苦労を3人が語る

――最初に、好きなラーメンを教えてもらえますか? 植田さんは前回のインタビューでは豚骨ラーメンと話していましたが。

『九州一番星 濃厚黒マー油とんこつラーメン』
▲前回に続いて、企画を動かした植田さん。『濃厚豚骨ラーメン』を超えるために、四苦八苦したようだ。

植田:そうですね。前回の『九州一番星 濃厚豚骨ラーメン(以下、濃厚豚骨ラーメン)』を真剣に取り組めたのは、もともと豚骨ラーメンが好きだったことがあると思います。

松山:私は今37歳なので、そろそろ年齢的にあっさり系に行くのかと思っていたんですが、未だに濃いのが好きですね(笑)。関東にある魚介豚骨のラーメンがメチャメチャ好きで……たまらないです。出張した際には必ずどこかのお店を食べていますね。

中野:私は、醤油ラーメンが好きですね。昨年に弊社の人気商品である『スーパーカップ』の鶏ガラ醤油を担当させていただいたので、自分が「うまい!」と思う味を作りたいと思い、取り組みました。もちろん、これまで支持してくれているユーザーの方もいらっしゃるのでベースは変えず、でも自分らしさを出すということに尽力しました。私も、松山同様に行った先々ではラーメンを食べています。

――個人的な感想ですが、3Dめんになった『スーパーカップ』を食べた時のインパクトはすごかったです。歯ごたえ、味、食感……驚いて、もう1つ食べようかと思ったくらいでした。

松山:ありがとうございます! おかげさまで売上も好調ですし、味のバリエーションも増えています。ガッシリとした食感はモチロンのこと、“3Dめん”という表現に興味を抱いてもらえる方が多かったことや、TV-CMに出ていただいた水嶋ヒロさんが話題になったことが大きかったと思いますね。

――生まれ変わった『スーパーカップ』はめんに注目が集まったと思うんですが、カップめんの主役は何だと思いますか?

『九州一番星 濃厚黒マー油とんこつラーメン』
▲スープを担当したのは中野さん。こだわり気質の持ち主なため、「おもしろかった反面、反省するところもありました」と開発当時を振り返った。

中野:私は元々めん担当だったんです。その時は「実際に食べるめんのおいしさがあってこその商品」と思っていたんですが、スープ担当になってみると「スープが味を左右する」という考えも生まれました(笑)。でも最終的には、めんとスープ、そして具がうまくそろってこそ、ラーメンのおいしさが出るのかなと思います。

植田:有名ラーメン屋の店主のようなコメントですね。哲学っぽい(笑)。

――(笑)。話しを戻します。昨年『龍が如く3』の発売にあわせて、『濃厚豚骨ラーメン』を発売されましたが、反響はいかがでしたか?

植田:期待以上の反響がありました。うちが扱っている有名ご当店ラーメンと比較しても、トップクラスの数字を記録しましたから。真新しさを感じていただけたという手ごたえを感じました。

――社内の反響はいかがでしたか?

植田:“架空の店舗の商品化”という、今までにない取り組みでしたので、発売前は社内でも賛否両論ありました。企画についてはおおむね評判だったんですが、「売れるかどうかはわからない」という声はありましたね。しかし発売され、店頭に並んだら売上がよかったんですよ。数字が出たことで、社内でも評価してもらえました。

――それを受けて、今回もコラボすることになったと思うのですが、いつごろから動き出したのでしょうか?

植田:(2009年の)8~9月くらいからスタートしています。前回の経験から時間がかかることがわかっていたので、長めの期間を設けていました。

――普段はどれくらい開発期間を用意するのですか?

中野:スープとめんのどちらに重きを置くかで変わってきますが、短いものだと、3カ月で仕上げないといけないものもあります。

松山:全メーカーをあわせると、1,000アイテム近くが年間にリリースされているんです。流行に遅れないようにするためには、3カ月がギリギリですね。もちろん、技術的に大きく進化する商品の開発期間はもっと長いんですが……。それを含めて考えると、6カ月というのはかなり長い方です。議論している時間が長かったので、いつ着手に乗り出すのかハラハラしました(苦笑)。

植田:実際に、夜な夜な中野と2人で半分ケンカしているような状態で議論していたので、上司たちから「何について、そんなに議論してるんだ?」と聞かれました。

(一同笑)

植田:「そもそも答えのないものなのに、何をそんなに熱くなっているんだ!」と、逆に諭されたこともあったくらいです。まあ、2人して口をそろえて「いや、そうじゃないんです」と返したんですが(苦笑)。

『九州一番星 濃厚黒マー油とんこつラーメン』
▲総合監督である名越稔洋さんについて「話せば話すほど、『龍が如く』のことをすごく考えていることに驚きました」と語る松山さん。宣伝担当として勉強になることも多かったとか。

松山:ワハハハ。打ち合わせだと、モデルとなる店舗の写真や記事を前にして議論するのが一般的なんですが、架空の店舗なので何もない状態でずっと議論している。周りからすると、ちょっと異様な感じでした。

植田:味がまとまらなかったので、モデルとなるような店舗があればと、熊本まで行きましたから。……残念ながら見つからなかったんですが。

――イメージが固まったのはいつごろだったのでしょうか?

植田:まず、中野と私の間で、九州一番星の大将に関してのイメージのすりあわせにものすごく時間がかかりました(笑)。私は『龍が如く』フリークなので、セガさんからサブストーリーの概要を教えてもらった時点でイメージができ上がるんですが、これを遊んでいない人に伝えることに時間がかかりましたね。試作は、着手してから3~4カ月は経っていました。

――前回は、『龍が如く』をプレイしている人を集めたということでしたが、中野さんは遊んでいなかったのですね。

植田:前回は、社内で『龍が如く』のファンを集めてプロジェクトを作ったんですが、同じ手法を取ってしまったらそれを越えられないと思ったんです。今回のサブストーリーでは、大将から「自分の道を進め」と問われている部分があったので、まずは『龍が如く』から離れて、カップめんとして前回の商品を越えられるものを作ろうと考え、今回のチーム編成を行っています。

――このプロジェクト発足前から、中野さんに依頼するつもりだったのでしょうか?

植田:中野は、こだわりがすごいんですよ。有名店のカップめんを何度か一緒に取り組んできましたが、味に対するこだわりは社内でもトップクラスだと思いました。そのこだわりは、今回の商品を作るには必要だと思ったので依頼しました。ゲームのプレイ経験はなかったんですが、その分、しっかり中に引き込めたと思います(笑)。

中野:作品自体は知っていたんですが、そこまで深くは知らなかったんです。今回、植田が熱い思いを持って「こういうものを作ってほしい」と来たんですよ。私もこだわる気質があるので、世界観を知りすぎると、深入りしすぎてしまい迷宮入りしてしまう。なので、あえて植田の熱い気持ちと必要なキーワードだけを頭に入れて、方向性を考えていきました。しかし、やはり最初はイメージが一致しないので、衝突もしましたね。ただ、最終的にお互いに納得するものにたどり着きました。植田と私の間で、ストーリーができ上がったという感じでした。

次のページで、サブストーリーの裏話が明らかに!

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データ

▼『九州一番星 濃厚黒マー油とんこつラーメン』
■メーカー:エースコック
■発売日:2010年3月22日
■価格:231円(税込)
▼『龍が如く4 伝説を継ぐもの』
■メーカー:セガ
■対応機種:PS3
■ジャンル:A・AVG
■発売日:2010年3月18日
■価格:7,980円(税込)
 
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