2010年5月11日(火)
『トロピコ3』に出てくる住民たちは、移り気でいながら信心深く、熱しやすく冷めやすい。ラテンアメリカ人のステレオタイプといえばその通りなのだが、たとえばジャーナリストの堀田善衛さんは、著書『キューバ紀行』の中でそれを“シュガー・メンタリティ(砂糖気質)”と呼んでいる。彼らの生活実感をわかりやすくまとめると「自分たちが豊かに暮らせるかどうかは砂糖の国際価格次第であって、努力も勤勉も関係ない。そして砂糖の国際価格を自分でどうすることもできない。だから、今楽しめることを楽しむべきであって、将来のことを心配するのは時間の無駄」という話になる。これはあくまでキューバ革命以前、バティスタ政権下での生活信条であるが、シュガー・メンタリティをどうにか克服しようとするキューバ革命という構図こそが、まさしく『トロピコ3』の“世界観”だ。
気質だの国民性だのといいかげんな言葉で片付けられがちなものの背後には、それを決めている生活の現実がある。『トロピコ3』がユーモラスな演出でラッピングしつつも表現しようとしているのは、そんな自分たちと異なる社会を理解しようする視線だろう。このゲームの各所にちりばめられたパンチの利いたジョークも、同じくその視線から生まれている。典型的な歴史ゲームよりもずっと、背景世界についての興味を呼び起こす作りになっているし、また実際に背景世界について知るほど、ゲームの内容が興味深く思える。そんなデザインセンスを『トロピコ3』は備えていると思う。
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| ▲あらかじめ用意されている独裁者のプロファイルには、どこかで聞いたような名前の人が、そりゃあもうわんさかと。設定されている経歴やパーソナリティも、かなり忠実(?)である。 | ||
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| ▲ローディング画面では、実在した独裁者の皆さんのインパクトに溢れる格言が読める。 | ||
シリーズ歴代作品がPCゲームであり、PC版とXbox 360版が同時に開発されたこともあって、ゲームパッドでプレイするにしては、最初に覚えるべき操作が多めではある。そして、住民たちの要望のバランスがほぼ一定であるため、プレイを繰り返すとクリアするための手順が同じになりがちであることが、強いて言えば『トロピコ3』の弱点かもしれない。しかし、操作については一度慣れてしまえば気にならないし、ボタンを押し間違えてもなんら致命的なことは起きないので、忘れたら順番に押せばよい。クリア手順のパターン化については、島の地形や資源量、人口などを自由に設定できる“サンドボックス”モードで、勝つために使える材料を減らし、困難を増やすことでかなり変わってくるだろう。ある手順が当たり前になってしまったら、それができない条件を自分で作り出せばよいというわけだ。
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| ▲トリガーボタンや方向ボタンを余さず使う操作体系は、覚えるのがなかなかたいへんだが、適当にボタンを押していてもなんとかなるし、チュートリアルは繰り返しプレイできるので大丈夫。 | ||
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| ▲“サンドボックス”モードでは、島の大きさや高低差、住民たちの政治的安定度などをスライダーで調整できる。 | ||
安易なファンタジーでも、暑苦しい英雄崇拝でもない形で社会と歴史を扱いながら、チマチマと働いている住人たちを見るだけでも楽しいという具合に、センスよく練り上げられた箱庭ゲームが『トロピコ3』である。映画『エビータ』と聞いてペロン将軍よりも歌手のマドンナを思い出す人、別に歴史ゲームが好きというわけではない人にもぜひ一度プレイしてもらいたい、ノリのいいゲームだ。(Guevarista)
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| ▲グッドエンドとバッドエンドの実例。クーデターで宮殿が消し飛んだときは、確か930点くらいだった……。 | ||
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| ▲30年ほどかけて開発した街と、その街の“自由度”分布を表示してみたところ。ラジオやテレビの放送圏内では、“自由度”がかなり上がる。放送施設には電力が不可欠なので、“発電所”と“変電所”の整備も忘れずに。 | ||
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| ▲住民たちの生活ぶりは、このくらいまでアップで表示できる。操作の手が空いたタイミングでいろいろ眺めていると、思わぬ発見があるかも。 | ||
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| ▲街外れに建てた“刑務所”と、目抜き通りに配置した“キャバレー”。施設の運営方針は、ラジオボタンで選べる。 | ||
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