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2010年5月11日(火)

【洋鯨亭 第10回】初代Xbox用Xbox LIVEサービス終了に思うこと……の巻

文:電撃オンライン

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■過去タイトルを資料として保存していく動き

 ちょっとXbox LIVEから話はそれますが、オンライン対応がなくなったソフトだけでなく、破損・故障・廃棄などで日々失われていっているであろう過去のゲームも、なんらかの形で保存できるといいのになぁと思っています。

 Wiiでレトロゲームが楽しめるバーチャルコンソールのように過去作品を今のユーザーに遊んでもらえるよう提供することはもちろんですが、資料としてカートリッジやディスクなどの媒体、アーケードの基盤や筐体などのハードも同時にどこかに保存しておいたほうがいいのではないかと思うんですね。

 たとえば旧ナムコ(現バンダイナムコゲームス)が展開してきたレトロアーケードゲームを収録した『ナムコミュージアム』では、ゲームが遊べてインストラクションカードやポスターなど当時の貴重な資料がデジタルデータで閲覧できます。これと同様に、ネット上に電子博物館を作る企画もおもしろそうですが、やはりパッケージとしての実物を目で見たいのと、サービスやハードに依存しない形での保存が必要だと思うので現物の収集が適しているでしょう。

 しかし、現物を保存するとなると保管場所やメンテナンス費用、そもそもの収集費用といったコストの絡む問題があるので、個人や企業レベルでの実現はなかなか難しいでしょう。

 理想をいえば、国立国会図書館が本を保管しているように、ゲームをすべて収集するような国の施設があって、まとめて保存しておいてくれるといいんですけどね。国を代表する大きな産業ですし、文化的な面でも収集する意義があると思います。

 そういえば自民党の麻生政権の時に“国立メディア芸術総合センター(仮称)”(文化庁)構想が出て、国営のマンガ喫茶と揶揄(やゆ)されました。特に100億円以上かかるとされた建設費は、その多寡が議論のかっこうの的になったのは記憶に新しいところです。当時私も高いなぁと思いました。ただし、その一方で、ゲーム・マンガ・アニメなどのメディア芸術を収集・保存し、展示したりするという設立目的自体はいいのではないかと思っていました。

 現時点でアーケード・コンシューマ・PCの最古から最新のゲームまで、ハードを問わずに見られる場所なんてないですもんね。ちなみにイギリスには国立の“THE NATIONAL VIDEO GAME ARCHIVE(ザ ナショナル ビデオ ゲーム アーカイブ)”なんていうゲームに関連した施設があるようです。

 さてご存知のとおり、この国立メディア芸術総合センター計画はとん挫てしまいました。その代わりというわけではないのですが、明治大学では東京国際マンガ図書館(仮)の建設計画が進んでいます。ここではマンガだけでなくゲームの収集・保存も行うらしいので、ぜひ頑張っていただきたいです。

 しかしここのオープンは2014年……。まだまだ先なので気長に待ちましょう。展示内容の詳細はわかりませんが、黎明(れいめい)期の洋ハードなんかも展示してほしいなぁと思っています。ATARIのLynxを8台そろえてもらって幻の8人対戦をやってみたいなぁ。あ、そうそう、この連載でたびたび出てくるLynxですが、これは初代ゲームボーイと同じ1989年に発売されたカラーの携帯用ゲーム機で、ケーブルをつなげば最大8人で遊ぶことができたんですよ。

 ところがゲームボーイと違って周囲にLynxを持っている人がほとんどというかまったくいなかったので、買った人は2人プレイすらめったにできないという状況に陥りました(苦笑)。したがって当時私の周りでは、対戦する場合はまず日本で本体の持ち主を探すことがゲームだ、とよく言っていました。“8人を探す”ということで、「里見八犬伝」にかけて笑い話にしたこともありました(笑いごとじゃないんですけどネ)。

■サービスを変えて移植することで名作を再び世に出すという試み

 ソフトあってのハードとよく言われます。しかし、ハードがなければソフトが動きませんし、最近ではオンラインサービスがないと動かないソフトもあるわけです。サービスとハードがそろって動くタイトルは、今後ハードの世代交代が行われていった時にどう移植されていくのでしょうか。

 一例としては、アーケードやドリームキャストで登場したセガの『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム』があります。このタイトルはXbox 360のXbox LIVEアーケード用タイトルとしても発売され、オンライン対戦機能もドリームキャスト版同様に楽しめるようになっています。

 実はこういう移植例も、大いに期待したいのです。別のハードやサービスを使って名作を現代によみがえらせる、ソフトが本来持っている魅力の一部を失わないようにする。こういった形の移植で、洋ゲー和ゲーに関係なくXbox用タイトルのオンライン機能が損なわれず、いつまでも遊べるようになるといいなぁと思っています。

 今回は長文になったのでロゴ募集の告知をお休みしますね(このへんがマイペース)。

 それではまた来週!

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