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2010年6月27日(日)

【電撃鉄砲隊 第10回】大台突入記念! 日本のFPS、その未来を少し考えてみる

文:電撃オンライン

 グッドFPS!(今考えたあいさつ) 青毛野郎です。ふと思ったんですが、“Good!”って手で表現するとき、なんで親指を立てるんでしょうかね。なんとなく由来が気になる今日このごろです。

【電撃鉄砲隊 第10回】大台突入記念! 日本のFPS、その未来を少し考えてみる

 そういえば、FPS初心者に愛と勇気を与える本コラム“電撃鉄砲隊”ですが、なんと! 今回でついに記念すべき第10回を迎えてしまいました!! 名誉勲章モノの大偉業です! とかいうと気安く名誉勲章とか言うなとか怒られそうなので、やめときます。あ、名誉勲章(Medal of Honor)は米軍の最高位勲章のことで、人気FPSシリーズのタイトルにもなっているので、知っている方も多いことでしょう。

 そんなこんなで第10回のお題ですが、いい節目ですし、FPSの今後についてちょっと考えてみたいと思います。今回はあんまり初心者さん向けの内容でもプレイのためになる内容でもないので、時間に余裕があってFPSの未来を考えてやってもいいぞ! という方は続きを読んでいただければと。

【電撃鉄砲隊 第10回】大台突入記念! 日本のFPS、その未来を少し考えてみる
▲PS3/Xbox 360『バトルフィールド:バッドカンパニー2』より。日々先輩の皆様にフルボッコにされておりますが、やはり楽しい!

 さて本コラムでは、何回かFPSの魅力について語ってきました。まとめてみると、

・キャラクター自身の視点で展開するFPSは、臨場感や没入感がめっちゃ高い!
・一人称ゆえの限られた視界(画面構成)が、独自のゲーム性を生み出している!
・対戦文化が楽しいよね!

 って感じでしたね。好きな人からすれば、「なんでこんなに楽しいFPSが、日本で人気出ないんだろう……?」と不思議で仕方ないんじゃないでしょうか。それでも、着実に市民権を得てきたFPSというジャンル。はたして今後、FPSはさらにファンを増やしていくのでしょうか?

■FPSはなにが難しいのか考えてみる

 日本でのFPS普及のハードルになっている理由を、いくつか考えてみましょう。

 まず、FPSをほとんどプレイしたことがない人にちょっと聞いてみたところ、操作性が複雑で面倒くさそうなイメージがあるようです。しかしこの点に関して個人的には、実は逆に簡単なんじゃないかな、と思っています。確かに、FPSはコントローラのいろんなボタンを使いますよね。でも、突き詰めると、移動、照準、射撃の3要素のみなので、結構シンプルじゃないっすか? とか。

 ネックになる要素をあげるとすれば、キャラの移動と視点移動を別々に操作しないといけないことでしょう。操作するキャラが見えるTPSなどのタイプのACTだと、自動またはボタン1つでカメラがキャラの向いている方に向かったり、一瞬で振り向けたりと、プレイヤーに視点の移動を意識させない作りになっています。さらに言えば、ロックオン機能があれば、プレイヤーは移動や回避だけに専念することができます。

 対してFPSは、回避よりも撃つことが重要です。リアルミリタリー系のFPSでは、左右への平行移動やジャンプくらいしか回避行動がとれません。その代わり、素早く正確に照準を合わせ、敵をダウンさせられるかが問われます。

 あらためて考えてみると、日本ではこれまで撃つことよりも回避することに比重を置いたゲームが多かったと言えると思っています。敵の激しい攻撃を回避して、相手のスキを突いて反撃! みたいな。たとえば、カプコンが誇るハンティングACT『モンスターハンター』シリーズは、まさにそんな感じですよね。

 どちらかというと受身気質と思われる日本人には、もともと回避重視のゲームのほうが国民性に合っていたのかもしれませんね。そして、それこそが海外タイトルの多いFPSが日本で普及しきれない大きな理由の1つだと考えることもできます。まあ、それだけと決め付けるのは、ちょっと短絡的でしょうか。

【電撃鉄砲隊 第10回】大台突入記念! 日本のFPS、その未来を少し考えてみる
▲とっさの回避が難しいFPS。戦略的な位置取りと、照準の正確さが何より重要だ。

 操作以外で難しいと感じる要素としては、FPSは自分の当たり判定がはっきりしないということもあるのではないでしょうか。

 ACTでもSTGでもそうですが、操作するキャラがプレイヤーに見えていれば、“それに弾が当たってやられた”というのは非常にわかりやすいですよね。しかしFPSの場合、撃ってる方はともかく、撃たれている方は“自分のどの部位に、どう攻撃が当たったのか”ということが直感的にわかりづらいのです。

 しかもFPSは総じて、やられる時は一瞬です。向かい合って撃ち合った場合、ちゃんと狙っているつもりなのに自分だけやられると、なんとなく納得いかないと思うのはFPSをプレイしていれば日常茶飯事でしょう。もちろん、それは相手がより正確に照準を合わせたから撃ち負けたわけですが、FPSのシステムはそれが実感しづらく、対処法も考えにくいのです。

 これらの要素はFPSの欠点ではなく、あくまで“そういうもんだ”レベルの話です。TPSのゲームとは、そもそも考え方やルールが違うのです。野球選手に「サッカーじゃボールを手で扱うのは反則だ」と言ったところで、それは競技が違うのだから文句言われても困るよ、っていう感じ? むしろ、FPSの題材とされることが多いミリタリー系などでは、“どこからやられたのかかわらない”感覚が、臨場感を演出する大きな要因になっているとも思えますしね。

【電撃鉄砲隊 第10回】大台突入記念! 日本のFPS、その未来を少し考えてみる
▲わっ、撃たれた! と思った瞬間やられたり。戦場なんてそんなもん、といえばそのとおりですが。一撃でやられた時の無情感は、ハンパないですよ。

 以上のことは、最後は“慣れ”の問題だと思うのですが、時間をかければ本当に日本でFPSが受け入れられるのかというと、もしかしたらこのままマイナージャンルなままの可能性もあるんじゃないかと、ちょっとネガティブな性格の青毛野郎は思ってしまったりするのです。

 FPS好きの青毛野郎としては、もちろんFPSをもっと多くの人にプレイしてもらいたいと思っています。でも、そのためには海外から人気作品を輸入しているだけではダメなんじゃないかと。世界で500万本売れた! ではなく、日本で作って日本で50万本売れた! っていうFPSが出てほしいと願う、島国日本の国民こと青毛野郎なのです。

 結局のところ、日本人の多くは本当にFPSをプレイしたがっているのか? FPS好きの皆さんは、どうお考えでしょうか。というわけで、今回はここまでです。なんとなく次回もこんな感じのネタを続けたいかもしれませんが、予定は未定ということで。それでは。OVER。



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※使用画像は、すべて『バトルフィールド:バッドカンパニー2』より。
(C) 2010 EA Digital Illusions CE AB. Battlefield Bad Company, Frostbite and the DICE logo are trademarks of EA Digital Illusions CE AB. EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.

データ

▼『バトルフィールド:バッドカンパニー2』
■メーカー:エレクトロニック・アーツ
■対応機種:PS3/Xbox 360/PC
■ジャンル:ACT
■発売日:2010年3月11日
■価格:PS3、Xbox 360 各7,665円(税込)/PC オープン
 
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