2010年7月26日（月）

NHN、“Hangame ex 2010”でグループ戦略および新サービスを発表

　NHN Japanは7月26日、同社のグループ戦略および新サービスを発表する、“Hangame ex 2010”を開催した。


▲NHN Japan代表取締役社長森川亮氏

　事前にティザーサイトで告知されていた通り、本発表会はNHN Japanグループ戦略およびハンゲーム戦略、新プラットフォーム戦略の3点について、同社代表取締役社長森川亮氏が発表するというもの。

　森川氏は最初にNHN Japan全体の戦略について言及。同社が提供するゲームポータルサイト“ハンゲーム”、検索サービス“NAVER”、そして今年の春にグループに加わったばかりの“ライブドア”の月間ユニークビジター数がそれぞれ、720万人、586万人、3000万人という数字を挙げた上で、「Yahoo！やGoogle、楽天といったトップグループに迫る成長を見せています。この3つのサービスを中心に、総合インターネットサービス事業を目指したい」と述べた。また、「いずれのサービスもユーザー同士のコミュニティを核に据えたもの。今後はグループ企業同士の連携とこの長所を強化し、オフラインとオンラインの垣根を越えた豊かな人間関係の構築とライフスタイルの実現。日本最良のインターネット企業になるというビジョン実現へ向けて、イノベーションを起こしていきたい」と語った。

　具体的には、昨今のモバイルインターネットの普及によるリアルタイムな情報発信が主流になりつつあるのを受けて、各サービスで新機能を導入している。NAVERには今春からTwitterのようにつぶやける機能や、個人ブログなどで人気の話題を検索できるトピック検索機能を実装。ブログを中心に成長してきたライブドアには、ブログを雑誌のように編集して提供。さらに注目の話題をニュースのように配信する“ブログメディア”サービスが始まっている。3つ目のハンゲームが行う新たな試みについては、続く第2部で発表が行われた。

　第2部のハンゲーム戦略について、PCユーザーにはチャットしながらゲームを楽しめるような、リアルタイムなコミュニケーションが可能なサービスを提供してきた。しかしモバイルについては悩んだという森川氏。新サービスとしてモバイル向けに“リアゲー”を会場で発表した。

　リアゲーはリアルタイムゲームの略で、時間、場所、現象（天候など）を演出できるのが特徴のサービスだ。サンプルとして森川氏は『ねんどん』と『トライフルストーリー』の2つを紹介した。『ねんどん』は本日から天気と連動したリアゲー要素を提供。水がないと干からびてしまうキャラクターねんどんだが、実際に雨がふっている地域にユーザーがいると成長しやすくなったり、表情が明るくなる。9月から配信が始まるRPG『トライフルストーリー』はPCから接続すると勇者側、携帯電話からだと魔王側のプレイになるユニークな作品だが、さらにリアゲー機能として時間と場所によってパワーアップする要素が入る。昼間なら勇者、夜はモンスターが強くなるわけだ。さらに位置情報を取得して地域限定のモンスターも登場するとのこと。


▲『ねんどん』（左）と『トライフルストーリー』（右）


▲コレクションカードやクーポン券があたる、新サービス『イマコレ』

　また、単にリアルタイム性の重視だけでなく、遊べば遊ぶほどユーザーに利益があるサービスを提供したいとする森川氏。本日13：30よりリリースされた『イマコレ』では、リアゲー機能を使って時間や場所、天候などの状況に応じてミッションが発生。条件を満たしてゲームをクリアすればコレクションカードや、提携企業のクーポン券がもらえる。その第1弾として本日より宅配ピザのピザーラと提携をスタート。ステージ上には突然ピザーラの配達スタッフが現われてピザを森川社長にお届け。取材陣が見守る中、あつあつのピザをほうばる演出に会場からは笑いが漏れた。

　森川氏は「今までハンゲームでは数百のオンラインゲームを提供してきましたが、急成長しているソーシャルゲームの市場の本格参入をしていきたい。ただ、単なるソーシャルゲームだけや位置情報と連動したゲームだけでもない。それらを包括した、今を楽しむ次世代“リアゲー”を提供します」と述べた。

　続けての第3部はハンゲームプラットフォーム戦略について。mixiやGREEといったSNSがオープン化となる流れの中、ハンゲームもオープン化をこの場で発表した。同時に本日13時30分よりAndroid用スマートフォン版“ハンゲーム”をサービス開始。ゲームは無料、アバターやコミュニティ、イマコレの機能を実装している。iPhone版は近日オープン予定だ。

　森川氏はハンゲームプラットフォームのメリットとして次の4点を挙げた。

（1）1つのIDと同じ決済方法でPC、ケータイ、スマートフォンの“ハンゲーム”サービスをシームレスに利用可能。

（2）圧倒的な集客力。当初はハンゲームのみのサービスだが、年内にライブドアでも同じサービスを提供予定している。

（3）ゲーム開発環境支援。ライブドアとの共同で低価格インフラサービスを提供。初月無料の月額1万円からスタート。また、開発支援ツールとして韓国ハンゲームでも一部利用しているツール“ゲームオープン”を、日本向けにカスタマイズした物を提供する。

（4）他社よりも高い利益配分。売上げの80％をパートナーにシェア。マネタイズのための支援として、豊富な決済手段や10年間の運営ノウハウの提供。

　モバイル向けコンテンツやソーシャルアプリでは、数を集めることに注力するあまり、開発会社との共存協力ができてないという声を聞くという森川氏。また、急激に成長している市場ではあるが、来年どうなっているか分らないと不安に思う開発会社も多く、「我々はプラットフォームとして我々だけが生き残るのではなく、開発会社と共存共栄しつつこの市場を拡大していきたい。単に数を追いかけるのではなく、本当に面白いゲーム、他社と違う意味のあるゲームを利用者にきちんと届けたい。ユーザーと共に市場を拡大していきたいと考えている」とも述べた。パートナー企業は現在70社で、代表としてスクウェア・エニックスのエグゼクティブプロろデューサー　三宅有氏とプロデューサー渡辺範明氏が登壇。同社が提供するオリジナルコンテンツ『地球オークション』の紹介が行われた。

　最後に森川氏は、インターネットの動きを受けてゲームの世界も大きく変わる。今回提案したリアゲーをさらに盛り上げ、リアゲーの動きを世界に広げてたい。新しいチャレンジを、積極的に進めていきたいと発表を締めくくった。

　この後はスペシャルゲストとして、女優の加藤夏希さんが登場。チャットやカードゲームが好きという加藤さん。「“リアゲー”という単語だけ聞くとどんなゲームなんだろう？　と思いますが、先ほどの説明を聞いて新しい世界が広がりそうだなと思いました。たとえばコスプレはゲームの世界を現実に持ってくるわけですが、リアゲーは天候や場所とリンクすることで、ゲームの世界との距離感が縮まりますね。今日から始まるサービスに立ち会えたのは嬉しいです」とコメント。また、実際にイマコレのフードバトルをプレイ。絵柄をあわせる落ちモノゲーなのだが、加藤さんのプレイがうますぎてゲームが終らない……。クリア後のカードが表示され、裏返すと“加藤夏希さんハッピーバースデー”の文字が！　ちょっとしたサプライズとして、ミニトークショウの後にはバースデーケーキもステージに運ばれた。