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2010年8月27日(金)

【電撃攻略本・座談会】ゲーム攻略本の過去・現在・未来Vol.2-2

文:電撃オンライン

『電撃ゲームス』

 8月20日発売『電撃ゲームス Vol.12』(アスキー・メディアワークス刊)に掲載されている座談会を、電撃オンラインで2回に分けてお届け。攻略本についての“ぶっちゃけトーク”も飛び出す!?

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【座談会 参加者紹介】

電撃攻略本編集部/デスク
多田羅洋平
攻略本編集部のキーマン。『MH3(トライ)』をはじめ、大作の攻略本を担当。最近はPCゲーム『ハーツ オブ アイアンIII』の攻略本を頑張った。

電撃攻略本編集部
木原大輔
攻略本編集部・現場編集者の代表。本人いわく「自分は隻眼のゲーム変態」。現在は『ファイアーエムブレム』の20周年記念本を制作中。

元・電撃攻略本編集部/副編集長
野村一真
本記事のライターで、現・電撃ゲームス副編集長。過去に多数の攻略本に携わり、他社でも『マジカルバケーション』などの攻略本を執筆した。

元・電撃攻略本編集部/編集長
倉西誠一
元・電撃PlayStation&電撃攻略本編集部の編集長。現在は「狩られ道さん」と呼ばれ、ブロガーとして大量の原稿を日々書きまくる。


Vol.2-1の続き)

野村 最近そういう骨太のゲーム、骨太っていうのもどうかと思いますが、ほとんどないですよね。

木原 クリアさせてナンボですから。やり込みとか周回プレイに傾斜していて、最初から用意してありますよ、というのが前提ですよね。

倉西 『スパロボ』は詳しくわからないけど、『モンハン』は終わらないゲームだよね。

木原 そこがスゴイんですよ。

倉西 終わらないから『MHP 2nd G ザ・マスターガイド』みたいな膨大な攻略本が必要なんだろうね。

野村 たぶん、攻略本ってもう1つ意義があって、今は周回とかを前提にしているゲームが多いじゃないですか。でも、それをやる人がそもそも減っているというのもありますよね。

倉西 そうなのかな? 世の中的には周回プレイってみんな知ってるし、やり込みという言葉もみんな知っていると思う。

野村 20代の人と話してるとなんとなくわかるんですが、ゲームユーザーの質という点で、僕らの世代とは、たぶん感覚が違うんですよ。遊び倒そうというのは、特定層に限られる傾向がどんどん強くなっている印象です。で、最近の攻略本は「ああ、周回すると、こんなことがあるんだ」というのを確認するために存在している側面もあるんじゃないかと。

多田羅 それもあります。やっぱり、もう1回プレイするのは時間と労力がかかるんで、自分が知らなかったことや体験できなかったことを、攻略本で読んで確認して、知り尽くしたような感覚を味わえるというのはあると思います。

木原 昔もありましたよね。

多田羅 全部クリアしてから攻略本を買ったりした。

倉西 俺はある程度歳をとってからゲームをやり始めたからなのか、昔さ、ゲームを買うより攻略本を買ったほうが安いなと思ったことがあった。だから、このゲーム、どうしようかなってときに攻略本を買っていた。それを読めばやった気になれたんだよね。で、それを資料としてとっておいた。

多田羅 私もまさにそれを言おうと思ったんですが、記事にならないと思って自重していました(笑)。

野村 なんでも記事にするよ(笑)。で、攻略本も映画雑誌みたいに寸止めの文化がかなり早い段階から広まってさ。まあゲーム雑誌もそうなんだけど、ストーリーの最終的な結末が載っていなかったりするじゃないですか。そうすると、どうしてもプレイして、なぞりたくなる。

多田羅 プレイしたくなる攻略本というコンセプトは重要ですが、私の理想とする攻略本は、プレイしなくてもすべてを知ることができる本です(笑)。

倉西 ここはちょっと踏み込みづらいところかもしれないけど、いわゆるソフトの発売日近辺に発売する“最速本”、ソフトの発売日から2週間後ぐらいに出て全部の情報は載っていない“中間本”、ソフトの発売日から1カ月以上が経った後に発売されて全部の情報が載っている“完全本”、この3つの区分けが生まれた理由を考えたことがあるんだよ。

野村 あれは簡単な発想です。ゲーム雑誌の攻略情報と一緒で、ユーザーのプレイの進み具合に合わせて……って感じだと思います。

倉西 いや、たぶんだけど俺が思うに、それ以前に儲(もう)かると思った人がいたんだよ。ゲームを知らない大人がやったことだと思うよ、あれは。なんだけど、商売としては完ぺきに定着して、なおかつユーザーもそれを受け入れていた。

木原 私もユーザーのころは買っていましたね。

野村 もう15年以上前かな、私自身がまだゲーム出版業界にいないころなので、想像の範疇(はんちゅう)を超えませんが、当時は今みたいな情報公開規制の仕切りがない中で、出せるタイミングで各社が攻略本を出していた時代があったんだと思います。そういった状況だと、攻略本を作っている人たちの能力の差で、内容のよさが決まる傾向があったような気がします。そうすると、どんどん出来の悪い攻略本、さらにいうとダメな攻略本を作っていた人たちが淘汰されていって、今ではどの攻略本を読んでも、内容が均等な感じになったんじゃないかと。もちろん、他にも淘汰された要因はたくさんあると思いますし、内容についても細かく見ればかなり差はありますが。

倉西 そういえば『ウィザードリィのすべて』とか『真・女神転生のすべて』は、話題になってたよね。

木原 私は以前、そういった本を作っていた編集プロダクションに所属していました(笑)。

多田羅 ところで、情報公開規制の話が出てきましたけど、そこに踏み込みます?

倉西 それは論点の主にはならないと思う。ずっと昔は、作る側の能力が内容に反映される感じで発売タイミングが決まっていた経緯があって、そのあとに許諾の段階で、本の内容を区切ったほうが儲かるという流れになった。

野村 その発想って、自分自身が大人になった今、想像してみると、記憶の限りですが、たぶんファミコンの『FFIII』のころからあったような気がします。

倉西 もう1つビックリしたのは、あのころ、ゲームの発売前に設定本というか、ワールドガイド的な本が出始めたよね。あれも『FFIV』が最初だったかな? よく覚えていないけど。とにかく、あれはスゴイことだよね。ゲームが発売されていないのに関連する本があるという。

野村 あの本は、個人的にすごく楽しみにしていましたし、とてもうれしかった記憶があります。

倉西 俺はもう年寄りだったから、おもしろいとは思わなかったけど(笑)。

多田羅 待ちきれない心をくすぐられました(笑)。

野村 我々が子どものころは、みんな買ってたよね。

倉西 俺は資料として買ってたけど、書店で中学生とかが買っているのは見かけたなー。あれはビックリした。これは発明だと思ったね。

野村 そのあとたぶん、最速本とか中間本とか、そういう仕組みが明確にできてきたんでしょうね。

倉西 それって読者の人はわかるのかな? 俺が攻略本編集部の編集長だったころ、「お前のとこの攻略本を買ったのに、あの情報が載ってない!」といった意見が結構あったよね。

多田羅 残念ながら今もあります。

倉西 ああ、でもどうなんだろう。みんなわかってきたのか、それともまだわからない人がいるのか。

多田羅 これは読者に対して私たちの伝達不足の点もきっとあるので、申し訳なく思いますが、わからない人は多いと思います。というべきか、わかったとしても許せないと思う(笑)。

野村 残念ながらスペースの都合で、今回はこのあたりで終了です。次号に続きます~。

『電撃ゲームス』攻略本アンケート

 電撃ゲームスでは、ゲームの攻略本に関するアンケートを募集しています。アンケートにお答えいただいた方には、抽選で“『電撃ゲームス』編集部のお宝グッズ詰め合わせ”をプレゼントいたします。なお、アンケート結果は、『電撃ゲームス』の“ゲーム攻略本の過去・現在・未来”という連載コーナーで、議題として取り上げさせていただきます。


『電撃ゲームス』

この記事が掲載されている『電撃ゲームス Vol.12』は、全国の書店で定価690円(税込)で好評発売中です。


データ

▼『電撃ゲームス Vol.12』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2010年8月20日
■価格:690円(税込)
 
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