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2010年9月3日(金)

PS Moveメディア体験会をレポート! キーパーソンによる完成までの秘話も

文:電撃オンライン

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■PS Moveを使ってみる

PS Move PS Move PS Move

 まずモーションコントローラの特徴として押さえておきたいのは、先端に取り付けられた球状のスフィア(光球)。PS Eyeで、このスフィアと人間の顔を追跡して、プレイヤーのいる場所を立体的に感知することで、プレイヤーの“動き”がゲームに反映される。モーションコントローラには○、△、□、×ボタンに加え、専用のMoveボタンとT(トリガー)ボタンが付いている。

 今回、取材時間の関係で記者が試遊できたのは『肉弾』と『バイオハザード 5 Alternative Edition』のみだった。ここでは『肉弾』を例に、PS Moveを使った遊びについて説明する。

 『肉弾』は、ゲーム中の対戦相手と殴り合うアクションゲーム。モーションコントローラ2本を両手に持ち、腕を動かすだけで相手を殴ることができる。下からえぐるように腕を動かせばアッパー、横から弧を描いて動かせばフックになるなど、攻撃は腕の動きにあわせたものになるのでわかりやすい。

 というわけで、衆人環視の中、恥ずかしげに腕を振ってみたのだが、あまり相手に効果的なダメージを与えられない。Tボタンを押しながらモーションコントローラを傾ける移動操作に慣れていないのもあったが、根本的には「もっと腕を大きく振ったほうが、相手にダメージを与えられますよ」というスタッフさんのアドバイスが原因を突いていたようだ。

 また、腕を振る高さによって顔を殴るか、ボディを殴るかといった差も付けられるので、なるべく高い位置で殴るようにしたら、だんだんと直撃を出せるようになってきた。が、実は2本のモーションコントローラを垂直に並べて持つことで発動するガードを怠っていたので、最後にボコボコにされてしまった。

PS Move PS Move

 クーラーの効いた会場でも、1試合戦っただけでけっこう暑い。ということで、数試合もすれば汗だくになることが容易に想像できるこの『肉弾』。どうやら、体重と身長を登録しておけば、プレイ中の消費カロリーも算出してくれるらしい。また、オンライン対戦や3D立体視対応といった機能も付いている。

 本日の試遊で1つ不満にも利点にも感じたのは、センサーの精度がよすぎること。多くの場合、自分が頭の中で思い描いた動きよりも、実際の体の動きは慣性でやや余計に動いてしまうと思う。だが、PS Moveは小さな動きでも感知してしまうので、これがアダになってミスをしてしまうことがある。また聞いた話では、『スポーツチャンピオン』に収録された卓球では、手のひねりまで感知するので、それが逆におもしろいらしい。

■PS Moveの出発から完成まで

PS Move
▲左から宮崎氏、吉田氏、磯部氏。

 ここからは、宮崎氏、吉田氏、磯部氏から伺った話をメインに紹介する。3人の役割を紹介すると、直接の開発を担当したのは宮崎氏。吉田氏はソフトウェア開発の責任者としてゲーム制作の視点から大量のダメ出しを行い、磯部氏が商品企画を担当してきたそうだ。

 PS3は、ワイヤレスコントローラに6軸検出システムを搭載し、PS Eyeといった周辺機器も出してきたが、吉田氏は、この組み合わせでは体感の度合いに制約があると感じていたらしい。そこでPS Moveの開発が始まり、2007年ごろには、車の技術を使ったものや、超音波を使ったものなど、インターフェースでさまざまな試行錯誤をしたそう。2008年ごろには現在の形に決まって、本格的な開発が始まったという。

PS Move

 PS Moveの開発中、ハードではなくソフトウェアを総括する立場にありながら、毎週ミーティングに参加するほど力を注いだという吉田氏。氏がこだわったのは、高精度&高信頼性、60フレームに対応するリアルタイム性、ゲームへの取り込みやすさの3点だと話す。技術的には相当な困難もあったようだ。60フレームへの対応も「無理だ」という声が圧倒的な中、宮崎氏はただ1人「できる」と答えたそうで、その言葉を聞いて吉田氏は「この人についていこうと思った」と感想をもらしていた。

 また、吉田氏の中では「モーションコントローラを両手に持って(操作する新たな)ゲームを遊んでもらいたい」という思いがあったそうだ。ただ、開発の中ではさまざまなゲームメーカー、特にコアゲームを制作するメーカーの意見を無視できないと考えてヒアリングを重ねたという。その1つとして挙げられたのが、カプコンとのやり取りだ。カプコンが、『バイオハザード』シリーズ作品のPS Move対応に好感触だったため、どれだけのボタンが必要かを聞いたところ、「PS3にある全部のボタンが必要です」と回答を受けたそう。

 そういった経緯も含め、アナログスティックを移動に使うスタイルのゲームも多いことから、PS3用ワイヤレスコントローラの主に左側の機能を付けた『ナビゲーションコントローラ』を開発。これにはアナログスティック、方向ボタン、L1・L2ボタンに加え、○ボタン、×ボタンが付いている。ただし、これを購入せずとも、PS3用ワイヤレスコントローラとモーションコントローラの併用で、『バイオハザード 5 Alternative Edition』などのゲームをプレイすることができるそうだ。とはいえ、ワイヤレスコントローラを片手で持つのはやはり疲れるので、机に置くなどしてプレイした方がいいらしい。

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▲多くの苦労が語られる中、宮崎氏によるPS Moveの実践も披露された。スフィアが体に隠れても反応したり、手のひねりも感知したりと、精度はかなり高い。認識技術には、ソニーコンピュータサイエンス研究所からの技術提供などもあったという。逆にジャイロセンサーなどは、自動車用の技術などでは使い物にならず、独自開発で苦労したそうだ。

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▲なお、PS Moveに対応した『サルゲッチュ』の新作も2010年に発売予定。「新たなインターフェースに対応するという原点に帰った」と吉田氏は話していた。また今回は、主観視点でモーションコントローラを“あみ”に見立てて、ピポサルをゲッチュしていくゲームになるようだ。

 そうして10月21日に発売を迎えるPS Move。吉田氏は、3D立体視TVとPS Moveの双方に対応したゲームについても言及した。「3D空間を使ったゲームデザインは、今後いろいろなジャンルで研究されると思います。こんなことができるんだ! というようなことが、たくさんのメーカーから出ると思うので、それを楽しみにしています」と語っていた。

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 最後に、PS Moveとその周辺機器、同梱ソフトについて補足しておく。モーションコントローラは最大で4台同時接続が可能で、通信方式はワイヤレスのBluetoothが採用されている。PS3用ワイヤレスコントローラと同様、USBコードで本体と接続して充電することも可能だ。なお、モーションコントローラと同時発売の充電スタンド(2,480円・税込)を用いれば、本体とUSB接続ぜずに充電できる。

 『ナビゲーションコントローラ』は2,980円(税込)で同時発売される。プレイの快適さは損なわれるものの、これはPS3用ワイヤレスコントローラでも代用可能だ。加えて、ガンシューティングコントローラの形状をした、モーションコントローラ用の『シューティングアタッチメント』も1,480円で同時発売される。

 以上の他、モーションコントローラとPS Eye、PS Move対応ソフト『Beat Sketch!』を同梱した『PS Move スターターパック』(5,980円・税込)、PS Move対応『バイオハザード 5 Alternative Edition』にモーションコントローラとPS Eyeを同梱したスペシャルパック(7,980円・税込)、『BIG 3 GUN SHOOTING』とモーションコントローラ、PS Eye、シューティングアタッチメントの4つを同梱したパーフェクトパック(11,980円・税込)などの同梱版もラインナップされている。

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