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2010年9月17日(金)

『カナン』に続くヒット作を狙う、台湾XPECブースレポ&会長インタビュー

文:電撃オンライン

『カナン』に続くヒット作を狙う、台湾XPECブースレポ&会長インタビュー

 日本ではNHN Japanが運営するPC用カジュアルゲーム『みんなの冒険大陸カナン(以下、カナン)』開発元として知られている台湾XPEC。今年も台湾パビリオンの一部として出展しており、2つの新タイトルで試遊台が並んでいた。

●ソーシャルゲーム『虹色動物園』

 『虹色動物園』はSNS連動のソーシャルゲーム。10100種の施設、200匹以上の動物を自分の動物園で飼育できる。単純に動物を飼うのではなく、遊びに来るお客さんの「トイレに行きたい」「おなかが空いた」などの要望にこたえられるよう、レストランやトイレを動物園のあちこちに、バランスよく配置する経営ゲーム的な要素も入っている。開発は昨年の1月ごろからで、台湾でベータテストが今年の12月に始まる予定だ。

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●ブラウザ版『RO』を狙うMMORPG『MAZE MYTH(仮)』

 2つ目の新タイトル『MAZE MYTH(仮)』は、Flashベースの3D・MMORPGだ。ファイター、メイジ、プリースト、工匠(生産系)の4つのクラスから選んでキャラクターを育てていく。XPECとしては初の3D Flashを利用した作品であり、台湾でもまだ未公開。東京ゲームショウで始めてプレイアブルなものが出されたとのこと。

 担当者いわく「Flash版『RO』を目指しています」というだけあり、操作はオーソドックスでわかりやすい。また、『カナン』と同じデザイナーが手がけたグラフィックスは、リンに耳が生えたようなペットを連れ歩いたりと愛らしい。開発はまだ15%程度だが、すでにゲームショウ1日目で国内大手のメーカーが興味を示したという。台湾では2011年4月にテストを実施する。

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 ブース取材後、同社会長のAaron Hsu氏にインタビューの機会をいただくことができたので、台湾のゲーム市場についてや、XPECとしての2011年の目標について聞いてみた。

――ビジネスデイ2日目ですが、もう会場は回られましたか? 会長が個人的に気になったタイトルなどがあれば、教えてください。

 PS MoveやKinectといったハードはやはり気になりました。しかし、今年の東京ゲームショウは出展数も少なく活気がありません。そのことが一番印象的です。

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▲XPEC会長のAaron Hsu氏。

――台湾のPCオンライン市場における、XPECの立ち位置を教えてください。

 コンソールソフト市場の規模は台湾ではとても小さく、オンラインゲーム市場と比べてみても、5%にも達しません。コンソールのゲーム開発会社は、海外市場で展開するしかないため、XPECは努力してゲームを国際舞台へと送り出しました。台湾オンラインゲーム産業の市場規模は、2009年に250億元(台湾元)に達し、今も拡大し続けているので、今年は300億元を突破するやもしれません。そのため、台湾のゲーム会社はPCオンライン市場を無視するわけにはいかず、XPECも台湾PCオンラインゲーム市場に頑張って新タイトルを出しました。将来的には、さらにこの市場により多くの人力を投入していく考えです。

――XPECの2010~2011の目標を教えてください。

 この2年はXPECが爆発的に成長した年でした。今年5月にはXPEC制作の『シュレックフォーエバー』がPS3/Wii/Xbox 360/PCのメインプラットフォームでグローバル展開しました。弊社とNBGIが共同開発したバウンティ・ハウンズのオンラインタイトル、『Bounty Hounds Online』も今年末に台湾市場で先行サービスを行う予定です。2008年にTGSで出展した『CANAAN』(邦題:みんなの冒険大陸カナン)ですが、現在9つの言語にローカライズされ、11個のバージョンがグローバル運営されています。来年半ばまでに、ブラジルポルトガル語、中東アラビア語、ロシア版のサービスも加わります。XPECはブラウザMMORPGのグローバル運営ですでに成功を収めていますが、全部で3つのブラウザMMORPGを中国、日本を含んだ全世界に展開させたく考えています。また、コンソールの大きなタイトルは2012年に出す予定です。

――今回出展されている2タイトルについて紹介をお願いします。

 このたびXPECは『MAZE MYTH(仮)』『虹色どうぶつ園』を出展します。『MAZE MYTH(仮)』はXPEC歴年の開発技術の集大成で、Flash 3Dを駆使した大型ブラウザMMORPGです。XPECのフラッシュブラウザゲームの技術並びに表現力をさらに飛躍させています。

 背景設定は、中世ヨーロッパ。プレイヤーは戦士、魔法使い、司祭、機械師から職業を選び、冒険をスタートさせます。キャラはかわいいデザインで、表情と服装が自由に組み合わせ可能なアバターシステムを取り入れ、自分の好みを出せるようになっています。バトルにはアクティブタイム制に瞬時のエフェクトをかけることで、エキサイティング感を引き出しています。その他、無数のクエスト、資源採集、武器生産、国戦、ペットシステムなど、オンラインゲームおなじみの機能も完備し、よりゲームをふくらませ、おもしろさを倍増させています。

 もう1つの『虹色どうぶつ園(仮)』のテーマは“君だけの動物園”です。自由自在の配置設計で自分のオリジナリティある動物園を作れます。200種類以上の動物に、100種類以上の施設があり、普段目にする動物以外にも、大昔に存在した恐竜、そして神話のみに現れる龍、ユニコーン、鳳凰など、太古や架空の生物までもが登場。『虹色どうぶつ園』は、人のふれあいを大切にしたソーシャルネットワークゲームです。Facebook、mixi、Cyworld、VZなどSNSサイトから気軽にゲームログインできます。

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▲『虹色どうぶつ園』(左)と『MAZE MYTH(仮)』(右)。

――日本マーケットは台湾ゲーム会社にとって、どのような存在ですか。

 日本は世界市場から見てとても独特です。市場規模がアジアNo.1である他、その独特の消費者習慣、ゲーム伝統国としての役割はさらに重要で、これらを考えた時、日本市場の重要性を身にしみて感じます。私が日本市場に抱くもう1つの特殊な思いは、XPECが早くから日本の会社と共同開発を始め、その過程でいろいろ学び成長もしたので、もしもこのゲームの歴史があふれる日本でプレイヤーの支持を獲得できたなら、それは私たち開発チームの最大の誇りとなるでしょう。そして、この成就感は、台湾やその他の市場では得られないであろうと思います。

――昨年から突然、台湾オンラインゲームが目立ち始めた理由はどこにあるのでしょう。

 台湾オンラインゲームの台頭はここ10年間で徐々に蓄積されたもので、昨年から突然成長したものではありません。では、台湾オンラインゲーム産業がなぜ昨年から突然注目されたしたのか? 主な原因は以下になります。

 1.リーマンショックとその復興の過程で、台湾オンラインゲーム産業の規模は、減少しないばかりでなく、さらに安定し、成長したため、注目を浴びることとなった。

 2.中国のゲーム市場もとどまることなく成長しているが、台湾のゲームは同じ中華文化の要素を持ち合わせているため、中国市場でのチャンスとポテンシャルという点でも市場の関心を集めることとなった。

 3.台湾のゲーム業者は、台湾株式市場での業績に非常に関心を持ち、平均PE(株価収益率)は20を超えている。全世界の市場が不景気な中、すべての株式市場の高株価トップ10において、そのいくつかがゲーム産業の株である。これも社会の注意を引き付ける原因。

――台湾のPCゲームの市場規模は?

 昨年は約250台湾元の市場規模。今年はそれを超えるのではないかと注目を集めています。

――台湾ゲーム開発会社はこの先10年の未来をどう見ていますのか?

 台湾と中国がすでにECFA(Economic Cooperation Framework Agreement)を締結しています。現在中国市場では、台湾ゲームの市場占有率が5%に届かない状態ですが、台湾と中国の経済協力情勢が緊密になるにしたがって、台湾ゲームタイトルが中国で発展する機会は大幅に増加すると思われます。今後の10年で、より多くの台湾ゲーム会社が中国市場を主な発展拠点の1つとなるでしょう。

――一歩先を行く韓国メーカー、今後の有望な市場と思われる中国と中国ゲーム開発メーカーをどう分析していますか。

 台湾と韓国メーカーとのライバル関係は、開発技術や海外市場上それぞれではっきりしています。台湾の開発実力は目下確かに韓国より後れを取ってますが、今後の5年から10年の間に追いついて、追い越すチャンスが十分にあると思います。

 台湾と中国メーカーの間もライバル関係にありますが、今後この関係は徐々に緩和していきます。その理由は、台湾と中国の交流はこれからはさらに密接になっていき、たとえば中国のメーカーにも優秀な台湾スタッフが入り、台湾のメーカーに属して成功を得た中国の開発チームもあります。これからの3年間、さらにたくさんの中国メーカーが台湾のゲーム会社に投資し、同じく台湾のメーカーもさらにたくさんの中国の開発チームと手を組んでいくと思います。このように交流や合作は多くなる一方で、タイトルも特に中国市場向けに開発されていき、開発コストも右肩上がりになるでしょう。

――本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

■東京ゲームショウ2010 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2010年9月16日~17日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2010年9月18日~19日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売り1,000円(税込) ※小学生以下は無料

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