2010年9月21日(火)
▲ガマニアデジタルエンターテインメント 商品開発部部長 市崎裕康氏 |
東京ゲームショウ2010(TGS 2010)において、PCオンラインゲームメーカーとしては最大規模のブースを出展したガマニアデジタルエンターテインメント(以下、ガマニア)の商品開発部部長 市崎裕康氏にショートインタビューを行った。
ガマニアでは、試遊台が大人気だった『DIVINA』や『Tiara Concerto』など、同社が得意とするカワイイ系カジュアルMMORPGとは別に、年内から2011年に向けて『POWER DoLLS』、『Langrisser Schwarz』、『Web恋姫†夢想』というブラウザゲーム3タイトルのリリースも控えている。いずれもコンソールまたはPCパッケージゲームとして人気があったシングルプレイのタイトルを、オンライン化したわけだ。この3タイトルについて、市崎氏にお話を聞いた。
――『POWER DoLLS』シリーズといえば、工画堂スタジオから発売された戦略性の高いSLG作品ですが、それがオンライン化でどんなゲームになったのか、概要を教えてください。
『Langrisser Schwarz』もそうですが、そもそもチームの中にかつてPCゲームを夢中で遊んだスタッフが、私を含めて多くいます。「昔のゲームっておもしろかったよね」という会話で盛り上がったんです。じゃあそのゲームを今、そのまま遊んだら楽しめるかというと、さすがに時代が古すぎます。ならば我々がおもしろく遊べるようにすれば、生き返るのでは? と思いまして。いろいろ候補があがった中の1つが、『POWER DoLLS』でした。
――『ブルーフロウ』や『トリスティア』シリーズではないのですね。
それももちろん、候補の中にありましたし、次はそれでいきたいなと考えていたりもします。『POWER DoLLS』のシステムは当時新鮮でしたし、イラストも当時は強く魅かれましたからね。スタッフ全員の思い出が一番強かったんですよ。
――先のプレスカンファレンスで発表された内容を見ますと、シリーズの中で『3』から導入されたシステムも、多く取り入れているようですね。ベースは『POWER DoLLS』の『1』から『6』までのどこに置いているのでしょう。
思い入れが強いのは初代ですが、ゲームとしての完成度が最も高いのはシリーズ3作目です。そこで、『1』~『3』のおもしろいところを集めてミックスしました。
『Travian』のような村ゲーではなく、協力プレイが必須で、基本的にはPvPがありません。プレイヤーは自分の基地を開発しながら、共通の敵であるNPCに対して、近所の基地同士で手を結び対抗していきます。また、ランダムでNPCからの襲撃も起こるので防衛準備もしておかねばなりません。『Travian』のようにゲーム開始時の村の位置が悪いと、叩き潰されて楽しめない、ということはありません。殺伐とした世界からはちょっと離れてみようかなと思いまして。
――プレイヤーの最終目標として何か設定はあるのでしょうか。
“最終戦争”というものが起きる予定です。
――ということは、サーバリセットがあるわけですね。最終的に戦争でNo.1となったギルドには、名前が残るといった特典は用意されますか。
まだ何も決まっていません、これからゆっくり考えます(笑)。いろいろ決定してから追って情報公開しますので、もう少しだけお待ちください。
――サーバリセットまで、だいたいどれぐらいでゲームが進行しますか。
4~6カ月で1ターンを想定しています。3カ月ではちょっと忙しすぎていろいろな要素を試せないし、1年では長くて間延びしてしまうでしょう。
――現在の開発進捗度はどの程度ですか。
60%ぐらいですね。あくまで予定ですが、今後は基地に何か起きたら携帯電話のメールで知らせるような機能や、最低限の操作は携帯電話からもできるような機能をつけていきたいです。
――ちなみに、うさぎさんチームにいた方が開発にかかわっているのか気になります。
直接のやりとりはありませんが、工画堂スタジオの方とお話をする機会は多いです。その時に「こんなアイデアはどうだろう」とご提示いただくこともあります。先方にはオンラインゲーム開発の経験がないため、我々と一緒に組んで作ろうということです。
――『POWER DoLLS』らしさを感じられるのは、どんなところでしょう。
女性兵士の存在をはじめ、たくさんありますが、過去の『POWER DoLLS』らしさの再現にこだわるのではなく、もっと『POWER DoLLS』をおもしろくしようというのがコンセプトの1つです。そこを見つけてほしいですね。
――『POWER DoLLS』は海外でのサービスは予定されていますか。
まだ開発途中のタイトルですのでハッキリとはお答えできませんが、海外展開は視野にいれています。特に『POWER DoLLS』はアジアでも人気があり、認知度は十分な作品ですから。
――では次に、『Langrisser Schwarz』についてお聞きします。まず簡単に、このタイトルでのプレイスタイルや目的を教えていただけますか。
基本は護衛やマップ制圧といったクエストを受け、最大5名が参加可能なインスタンスゾーンでミッションをクリアしていきます。自分が所属している国の本拠地はMMOスタイルで、他プレイヤーとの交流は普通に行えます。
『ラングリッサー』はへックス、ではありませんが『大戦略』のようにマス目を移動し、ターンごとにどう動き戦うかという大変戦略性の高いゲームです。が、オンライン化にあたりそのまま実装するのは無理です。そもそもの出発点は『ラングリッサー』を遊びつくした人間が、「今度は闇の軍勢を指揮してみたい」という欲望が出てきて、それを実現できるのがオンライン化だったわけです。『ラングリッサー』が当時のストラテジーゲームとしては珍しく強調していたキャラクター性、RPG要素をオンライン版では強調したと思ってください。騎兵、弓兵、歩兵間の3すくみといったシステムも生かしていますよ。
――試遊台でのプレイも体験してきましたが、ソロでもミッションをクリアできてしまい、いわゆる歴代の『ラングリッサー』らしさがあまり感じられませんでした。
それは、TGS専用のバージョンだからです。試遊PCでは協力プレイもできないので、ソロでもクリア可能なバランスにしてあります。パーティは最大5人で、これに召喚する傭兵、さらには女神カードというものが加わり、どれを持ってミッションに行くかという、戦闘前にまず悩みながら楽しむ要素もあります。ミッションのマップもそれぞれ、騎兵の足が遅くなったり弓兵が有利に動けるものだったり、戦略/戦術の幅は出せるでしょう。
――メインとなるターゲット層は、やはり過去の『ラングリッサー』で遊んだ人たちですか。
もちろんそれもありますが、我々としてはむしろ『ラングリッサー』を知らない若い世代にアピールしていこうと考えています。
――今後のスケジュールを教えてください。
2011年の1月~2月ぐらいにベータテストを実施したいなと思います。日本以外では香港、台湾でのサービスは決定ではありませんが、ほぼ間違いないでしょう。アジア圏では日本よりちょっとタイムラグがあって人気が出たので、プレイヤーが少し若くて20代後半~30代前半ぐらいですね。
――『Langrisser Schwarz』は新作タイトル群の中でも特に力を入れている、とのお話ですので、読者向けに意気込みのコメントをぜひお願いします。
『ラングリッサー』が好きでたまらない人間が集まって、ガマニアでしかできない『Langrisser』を作りました。絶対に損はさせませんので、期待していてください。
――最後に『Web恋姫†夢想』ですが、クローズドベータテストからずいぶんと大きな修正があったようですね。
『恋姫†夢想』らしさをもっと楽しんでもらうために、女性武将を小さな顔イラストやアイコンだけでなく、全身像を見せる。ミッションに失敗したらしょんぼりした顔で帰還してくる、武将をカード化してコレクション要素を持たせるなど、かなり機能を追加しました。同じ武将のカードが2枚あったらおかしいですから、その場合はその武将を“強化”できるなどの機能も盛り込みます。
――前回のベータテストに参加しましたが、雇用する武将の金額がどんどん上がってしまい、ノンビリしたプレイスタイルだとお金がたまらないのがつらかったです。チュートリアルも「何をどうして、どのボタンを押せばいいんだ……」と、簡単なことなのに直感的にわからない部分があったのが気になります。
そのあたりもすべて修正しましたので、安心してください。武将の雇用金額は下がりましたし、チュートリアルは2倍に増やしてもっと詳しくゲームシステムが理解できるようにしています。
――ずいぶんと多岐に渡る改修箇所ですが、そうするとサービス開始はまだ先になりそうですね。
最終バージョンがそろそろ完成しますので、それを社内でテストして、10月中旬にもう一度プレイヤー向けにテスト開放を行いたいと思っています。
――本日はお忙しいところありがとうございました。
■東京ゲームショウ2010 開催概要
【開催期間】
ビジネスデイ……2010年9月16日~17日 各日10:00~17:00
一般公開日……2010年9月18日~19日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売り1,000円(税込) ※小学生以下は無料