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2010年9月29日(水)

ロシア産MMORPG『ALLODS ONLINE』紹介レポート

文:電撃オンライン

 ゲームオンが10月6日よりクローズドベータテスト実施予定の『ALLODS ONLINE』は、ロシアのAstrum Nival(MAIL.RU)社が開発を手がけるPC用MMORPG。剣と魔法のファンタジーをベースにしながら、“アストラルシップ”と呼ばれる船で宇宙空間を移動する、SF要素も入り混じった不思議な世界が舞台となっている。

 過去には同じくロシア産MMOとして『フラゴリア』が注目を集めたが、あちらはFlashベースのブラウザゲーム。『ALLODS ONLINE』はロシア初の完全国産、クライアント型MMORPGになる。ゲームオンの従来ラインナップには見られなかった、“洋ゲー”の香り漂う本タイトルの概要をレポートする。

『ALLODS ONLINE』 『ALLODS ONLINE』

■砕け散った星のカケラに住む2つの勢力と6つの種族

 昔々、宇宙空間“アストラル”にあった惑星サルナートは、謎のエネルギーにより爆発して砕け散り、そのカケラの一つ一つが島(アロッド)になった。島と島はアストラルシップという飛空艇が定期的に航行し、島の住人たちの移動や物資の輸送が行われている。というのが3行で語る本タイトルのバックストーリーだ。

 では住人とは何者なのか? もう少し詳しく解説するとこの世界には“リーグ”と“エンパイア”という2つの勢力が存在する。リーグ側にはエルフ、カニア、ギバーリング。エンパイア側にはアリソン、オーク、ザーダガニアの3種族が所属しており、両勢力は完全な敵対関係にある。ゲーム内で敵対勢力のキャラに出会うと、互いのチャットも表示されず、基本的にコミュニケーション不可となっている。元々はカニアとザーダガニア族の始祖である、2人の有能な指導者の権力争いが原因で起きた分裂。彼らが生み出した憎しみは1,000年たっても消えることなく、アロッドに住む者たちを戦わせているのだ。ああ、なんて迷惑な話!

『ALLODS ONLINE』

 それはさておき、リーグとエンパイアはあくまで対抗勢力同士であり、善悪ではないのだが、選べる種族の見た目(キャラクターデザイン)のせいで、エンパイアがダークサイドぽい雰囲気をかもし出している。リーグにはモフモフした生物のギバーリングや、西洋ファンタジーに欠かせない存在のエルフがいるため、プレイヤーの人口はリーグ側に偏りそうな予感がする。

 また、ウォーリア、パラディン、スカウト、ヒーラー、ウォーデン、メイジ、サマナー、サイオニシストという、8つのアーキタイプ(職業)が用意されている。種族ごとに職業への適性がある他、選べるアーキタイプが変わってくる。

●リーグ

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▲カニア:公平、平等を基調とする民主国家に暮らし、自然を愛する種族。▲エルフ:この世界で最も古くから存在する。魔法の力を最初に発見した。▲ギバーリング:常に3匹一組で行動する好奇心旺盛な生き物。

●エンパイア

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▲ザーダガニア:規律と秩序を重んじ、全体主義をよしとする種族。▲オーク:巨大なボディと強靭な腕力をいかし、最前線で戦う古の種族。▲アリソン:惑星サルナートで最強の魔力を持つ種族。かつては人間だったが死より復活し、欠けた肉体を機械で補っている。
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▲テクニカルテストでは人気が高かった、三位一体の生き物“ギバーリング”。よく見ると、口元にはかなり凶悪そうな牙が覗き、ちょっと怖いんですけど……。まぁ一応、本タイトル唯一のモフモフ系癒し担当ではある。

 キャラクター作成後には、MMORPG定番のチュートリアルが待っている。WASDキーによる移動、モンスターの攻撃方法、アイテムインベントリの使い方、レベルアップ時のステータス強化やスキル習得方法などの基礎知識を、クエスト形式で順番に教えてくれる。チュートリアルの戦闘時にはキャラが不死属性となる、特殊なアイテムをNPCが付与してくれるので、初めての戦闘で操作方法に迷っても慌てる必要はない。

 戦闘方法は、Tabキーまたは直接クリックでターゲットを合わせたら、あとは攻撃スキルのショートカットを押すというシンプルなシステムだ。ただし、武器やスキルごとに敵との間に置く距離が変わったり、通常攻撃にもクールタイムが設定されている。また、敵をキャラクターの正面にきちんと捕捉しないと、攻撃できない。ターゲットがどこにいようがとりあえずスキルボタンさえ連打しておけば、攻撃が100%当たるクリックゲーと比べると、緊張感あるプレイが求められた。

『ALLODS ONLINE』 『ALLODS ONLINE』 『ALLODS ONLINE』

 クエスト遂行やモンスターを倒して経験値を溜めると、キャラクターはレベルアップし、ステータス値のボーナスポイントとスキルポイントを獲得する。MMOに不慣れなプレイヤーの場合「どのステータスを伸ばせばよいかわからない」と悩みがちだが、本タイトルでは選んだ職業別に「オススメのステータス」を緑色で表示してくれる。もちろん強制では無いが、迷った時にはオススメに従っておけばバランスの良いキャラクターに成長するというわけだ。

 スキルも同様にボーナスポイントを割り振って、新スキルの拾得および強化が行える。ツリータイプではないが、前提となるスキルとスキルレベルの関係上、ある程度は取得上限が決まってくる。

『ALLODS ONLINE』 『ALLODS ONLINE』

■『ALLODS ONLINE』最大の魅力は宇宙を駆ける飛空艇“アストラルシップ”

 冒頭で述べたように、宇宙空間に浮かぶ島同士は“アストラルシップ”と呼ばれる、飛空艇が定期的に航行している。この船、実はプレイヤー自身でも所有できるのだ。定期航路以外のエリアにも、砕けて島となったアロッドは無数に存在しているため、自分でアストラルシップを操縦すれば定期航路以外の島での冒険を楽しめる。

 ただし、アストラルシップを手に入れられるのは中級レベル以上、かつ時間と手間がそれなりにかかるらしい。残念ながらゲームを始めてすぐに、プレイヤーが飛空艇を自由に操縦できる日が来るわけではないようだ。苦労の末にアストラルシップを手に入れれば、キャラクター同士のPvPではなく飛空艇による戦闘も可能とのこと。砲撃で完全に破壊せず接触して乗り込み、白兵戦に持ち込んだり、船の一番奥にあるお宝部屋から相手の財宝を奪うといった、海賊プレイもよいだろう。好んで戦うプレイヤーは少なそうだが、すでにサービスが開始されているロシア、北米、欧州ではアストラルシップ同士の戦闘も、わりと頻繁にあるとのこと。日本でも悪評がたつのを覚悟で“海賊ロールプレイ”に徹するプレイヤーが出てきたりすると、楽しそうではある。

『ALLODS ONLINE』 『ALLODS ONLINE』

■これは本当に洋ゲーなのだろうか?

 その他、先行プレイではいくつかのパーティが連携してボスモンスターに挑戦するレイド、最深部にいるボス討伐を狙って少数で戦うインスタンスミッションなど、MMORPGとしてはオーソドックスなシステムをいくつか体験してきた。

 ダークな世界観と萌え要素皆無のキャラクターデザインや、自分とモンスターの位置取りを常に視野にいれるプレイヤースキル必須の戦闘スタイル。あるいは最適なスキルのビルドに悩まされる育成といった部分において、『ALLODS ONLINE』は、ライト層により過ぎた昨今のカジュアル系MMORPGとは確かに違う。しかし、これがゲームオンがアピールするところの“ばりばりの洋ゲー”かと問われると、やや疑問を抱かずにはいられない。まあ、欧米で製作されたものを“洋ゲー”と呼ぶのであればまったく間違っていないわけだが……。

 わずか1時間程度のプレイで判断するのは早すぎるだろうが、これまで体験してきた典型的な“洋ゲー”にあるみっしりと濃厚なプレイの手ごたえは、残念ながら感じられなかった。

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 自由に宇宙空間を移動できる、アストラルシップの存在は確かに大きな魅力ではあるが、ある程度の高レベルにならねば入手できなく手間もかかるとなると、逆にゲーム序盤は何をモチベーションにプレイを楽しめばよいのか、いまひとつポイントが見えてこない。本タイトルは、昔から欧米産のオンラインゲーム(例えば『EverQuest』や『Dark Age of Camelot』)が好きだったが、今は辞めてしまった元コアゲーマーを狙ったという話だが、『ALLODS ONLINE』らしさ、このゲームでしか味わえない魅力をもっと前面に押し出す必要があると個人的には感じた。逆にそこをもう少しブラッシュアップできれば、洋ゲーファンのココロを掴むことは難しくないだろう。

 なお、クローズドベータテストの実施期間は10月6日~10月13日までで、キャラクターデータはその後も引き継がれる予定。テスト参加者だけがもらえる特典アイテムなども用意されている。電撃枠として100名分を用意したので、興味を持った読者は下記バナーから応募してほしい。

電撃オンライン枠募集ページはコチラから!


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 最後にゲームオン『ALLODS ONLINE』運営プロデューサー、ゲームオンの松田雄介氏へのショートインタビューをお伝えしよう。

――いきなりですが、なぜ『ALLODS ONLINE』を日本でサービスしようと思われたのでしょう。

 我々に限らずパブリッシャーというのは、常におもしろいゲームがないか探し続けているわけですが、最近はどうしてもアジア発、とくに韓国などの開発会社のタイトルの運営権の確保は年々難しくなってきています。ある程度ゲームができあがったもので、よいものはあっというまに、どこかのメーカーさんが契約されてしまいます。

 そういったシビアなアジア市場以外で探して時に、目に止まったのがロシアの『ALLODS ONLINE』だったんです。クオリティ的にもまったく問題ありませんでした。

――しかし、『Lord of the Rings Online日本語版』『スペルボーン』『スター・ウォーズ ギャラクシーズ 完全日本語版』と、これまで数々の洋ゲー、それも日本国内でそれなり以上の知名度を持つタイトルのサービスが、残念ながらあっけなく終了しました。その中でなぜ、あえて洋ゲーライクなタイトルを持ってきたんですか。

 我々としては、逆に“バリバリの洋ゲー”の方がよいと思っています。日本では現在、洋ゲージャンルではまともなマーケットが存在してません。少なくとも成功した例はほぼありませんよね。『World of Warcraft』に至ってはサービス開始すらしていません。

 ただ、これまで数々のオンラインゲームを弊社でも提供している中で、ユーザーの方からは「洋ゲーに興味はあるし、やってみたい。ただ、海外のサーバにつないで英語を一生懸命読みこなしてまでやるのは敷居が高い」という意見が結構ありました。

 また、今挙げられたようなタイトルを過去にプレイしていたが、途中でやめてしまった。オンラインゲームを再度ちょこちょこ遊びたいが、現在国内で運営されているメインストリームの、かわいい系カジュアルMMOにはあまり食指が動かない。という潜在顧客はいると確信しています。『ALLODS ONLINE』で狙いたいのは、そういった元コアゲーマーや、洋ゲーやりたいけど英語はイヤという未経験プレイヤーの両方ですね。特に後者の方には『ALLODS ONLINE』が始めての洋ゲー体験になってほしいです。

――『ALLODS ONLINE』のどのあたりに魅力を感じたんでしょう。

 MMORPGとしての王道、基本部分である「多くの人とかかわり合いながらプレイを進める」という部分ですね。

――“アストラルシップ”で船同士の戦いをまじめにやろうと思ったら、最低10人は必要との説明でしたね。最低でも1時間近くかかるようなPvPコンテンツで、10人のプレイヤーを長時間拘束するというの難しくいないですか? 長時間の拘束プレイ必須を避けるために、ここ数年は手軽さを強調したカジュアルMMOやブラウザゲームが注目されているわけですし。

 確かにそこは難しい問題ではありますが、逆に1,000人規模のプレイヤーが同時接続可能なMMOでありながら、どこまでもソロプレイで進めてしまうタイトルのほうが、おかしいのではと個人的には考えています。もちろん、10人のプレイヤーがいなければシナリオが進まない! というような強制プレイはよくありませんが、自然発生的にレイドやアストラルシップによる戦争がプレイヤーから起きるよう、誘導するような仕掛けは運営側で考えていきたいです。

 先程も申し上げましたが、『ALLODS ONLINE』自体がパーティプレイ向きのゲームバランスですので、そこを気に入ってくれるプレイヤーに集まってほしいですね。

――今後のサービススケジュールを教えてください。

 10月6日からクローズドベータテストを開始し、10月中旬よりオープンベータテストとなります。正式サービスに関してはそれほど間をあけないつもりですが、10月中となる予定です。また、キャラクターデータはベータテストから引継ぎします。

――ありがとうございました。

(c)2010 Astrum Nival, LLC. All Rights Reserved. Powered by Mail.Ru
(c)2010 GameOn Co., Ltd.

データ

▼『ALLODS ONLINE』
■メーカー:ゲームオン
■開発:Astrum Nival, LLC.
■対応機種:PC
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:2010年予定
■プレイ料金:無料(アイテム課金)

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