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2010年11月3日(水)

『戦場のヴァルキュリア3』新しくなったポイントは? 体験会で開発者に聞く

文:電撃オンライン

 セガは、2011年1月27日に発売するPSP用ソフト『戦場のヴァルキュリア3』のプレミアム先行体験会を本日11月3日に実施した。

『戦場のヴァルキュリア3』 『戦場のヴァルキュリア3』 『戦場のヴァルキュリア3』

 『戦場のヴァルキュリア3』は、架空の国ガリアで起きた戦争を舞台に、戦場でのドラマを描いた人気アクティブ・シミュレーションRPGの最新作。独特の暖かみがあるグラフィックと、戦術性とアクション性が同時に楽しめる戦闘システム“BLiTZ(ブリッツ)”が好評を博すシリーズ作品だ。今作では、時代を『1』と同じの征暦1935年に戻して、懲罰部隊“ネームレス”の面々にスポットを当てた物語が描かれる。

 体験会では、本山真二プロデューサーと小澤武ディレクターらが招待ユーザーを迎えた。今回の体験版で遊べるのは、TGSでプレイできた巨大戦車を迎撃するマップに加えて、この日がお披露目となった山岳要塞を攻略するマップ。この体験版は、11月9日よりPlayStation Storeで、11月11日より『戦場のヴァルキュリア3』公式サイトで配信される。気になる人はぜひダウンロードしよう。

『戦場のヴァルキュリア3』 『戦場のヴァルキュリア3』 『戦場のヴァルキュリア3』
▲「『戦場のヴァルキュリア3』では、物語へ非常に力を入れている」と語る本山プロデューサーと、「SLGとしての手応えについても向上したい」と話す小澤ディレクター。体験版でも、後半ステージはその手応えを感じられるように作ったそう。後半ステージはエリア数が増えて、敵の配置なども前半よりはるかに攻略しがいのあるマップになっていた。
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▲TGSでもプレイできた巨大戦車エヒドナによるメルフェア市襲撃は囮(おとり)で、そのスキに軍事拠点である山岳要塞を奇襲して落とすことが敵の隊長ダハウの目的だった……という流れから後半ステージへと向かう。しかし主人公のクルトもその戦略を読み、山岳要塞の奪還を試みる。これが体験版2マップ目のシナリオだ。

 体験会ではプレイ時間が少なかったためか、後半ステージを終えられなかった人が多かった模様。その後に催されたユーザーからの質問会では、マルチエンディングについてや、クルトとこれまでの主人公の違い、技甲兵について、武器制作についてなどの質問が飛び出し、本山プロデューサー、小澤ディレクターが回答していた。

Q:マルチエンディングについて。
A:ヒロインが2人なので、それぞれの話はあります。ですが、決して恋愛SLGを作りたいわけではないので、あくまで戦場でのドラマを描く形で用意しています。

Q:クルトとウェルキンたちとの違いは?
A:これまでウェルキンが義勇軍、アバンが士官学校生だったのに対し、クルトは初の正規軍人出身となります。また彼は、性格的にもかなり完ぺき主義者でもあります。(クルトは“理屈家”というポテンシャルも持っている)

Q:技甲兵の盾が展開するようになった点など。
A:今回、各兵種の個性をより強くしたいと思っています。また敵の攻撃が前作よりも激しくなっていて、技甲兵はあのような形が取れる(展開した盾の後ろに他のユニットが隠れられる)ようにしました。技甲兵は防御重視ですが、剣甲兵であれば攻撃に特化した形になります。現在も兵種の特徴については調整中です。

Q:武器制作について。
A:素材の概念はなくしました。設計図については存在しています。

Q:ガッセナール家は登場しますか?
A:登場します。なぜ『2』で内乱を起こすようなことをしたのか、屈折する前の彼らが見られるのではないかと思います。


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 また体験会後、本山プロデューサーと小澤ディレクターからさらなる話を聞くこともできたので、以下にその内容を掲載する。

――本日の体験会の第1部を終えての感想をお聞かせください。

本山氏:東京ゲームショウ2010の時は、15分くらいで終わらないといけないこともあり、やり応えを十分に用意するのはなかなか難しかったんです。なので体験版を配信する時は、「2戦目はちゃんと歯応えのあるものを用意しようよ」と開発チームにオーダーを出していて、チームの方も「よっしゃそれなら!」と喜んでそのオーダーを受けてくれました。(体験会の様子を見ていると)やり応えについては、今回の体験版から感じてもらえたのではないかなと思います。製品版では、もう1段、2段やり応えのあるものになると思うので期待してください。

小澤氏:今回、今まで公開していないキャラクターも含めてサブキャラクターを使えたので、熱心にポテンシャルなどをメモしていらっしゃる方もいて、「ある種、『ヴァルキュリア』はキャラクターも愛されているゲームなんだな」というのを再認識しました。あと様子を見ていると、今のところヒロインはイムカの人気が優勢なので、今後どうなるのか気になるところです(笑)。

――今回の体験版の見どころはどこでしょう?

本山氏:“各兵種の個性”を1つのポイントとしています。出撃できるキャラクターの数も増やしている(2戦目は全体で最大9人)ので、たくさんの兵士たちを使って戦線を押し上げていく“SLGとしての思考するおもしろさ”が見どころかなと思っています。

――『3』の新要素にあたる“分岐”についてもお聞きかせください。

小澤氏:分岐は大まかに2つあって、イベントの分岐と、マップをいかに攻略するかの分岐があるんですね。今回の体験版では、後者が楽しめるようになっていて、2戦目は勝利条件が2つあります。どちらで攻略するかによって展開が変わってくるので、体験版でも分岐についてうっすらとわかるのではないかなと思います。

――クルトやヒロインに強力な特殊能力がありますが、こういった要素を入れた理由は?

本山氏:『ヴァルキュリア』がSLGであることは疑いないと思います。『1』と『2』を否定するわけではありませんが、「SLGであるということで、システムに微調整を入れていくだけではそろそろ厳しいのではないか」というのが僕の中でありました。キャラクターを大事にしているシリーズなのであれば、もっとキャラクター性を生かした新要素を入れたらどうか、それがゲーム攻略の幅につながるのが当然ベストだろう、というオーダーを開発の方にして、主人公やヒロインに特殊能力を持たせることにしたんです。「そういえばヴァルキュリアって、ビームみたいなのを撃ったりするよね? 今回はやってみる?」というのがスタートでもあります。

――今回、キャラクターの熟練度というのも見ることができましたが、これはキャラクター個別の育成要素ですか?

本山氏:そうですね。今回のステータスアップについては、部隊全体でHPを上げるとか、回避を上げるとか、そういった流れになっています。それとは別に、キャラクター個別に熟練度を設けることで、上級兵種へパワーアップしたり、熟練度で直接ではないですがポテンシャルの習得に結びついたり、といった要素になっています。今回は、キャラクターごとのお好みの育成というのもテーマの1つなんです。

――アドベンチャーパートはどのように変化しているのでしょうか?

本山氏:武器を開発したり、兵士を育成したり、そのあたりの一切の要素は、ミッションを選択する“進軍マップ”と我々が呼ぶところに集約しています。なぜかというと、やっぱり物語を楽しんでほしいというのが僕らの中であるんですね。なので、どこかの拠点を中心としてゲームが展開するよりも、お話を読み進めていく中でエピソードがあって、そのエピソードに紐付いたミッションをプレイしてほしいと考えて、今回のようなインターフェースにしました。

小澤氏:今回の体験版には入っていませんが、武器・兵器を開発したり、兵士を育てたりという要素を決してオミットしたわけではなく、キャンプのような形で製品版に入っています。そのあたりの要素もいろいろパワーアップしていますので、ご期待ください。

――『3』で初めて『ヴァルキュリア』に触れる人には、体験版のどんなところを見てほしいですか?

本山氏:『ヴァルキュリア』が『ヴァルキュリア』であるための“BLiTZ(ブリッツ)”というシステムがあるのですけれども、SLGに敷居の高さを感じている方に「そんなことないんだよ」と再認識していただける体験版になっていると思います。2戦目は少し難易度が高いかもしれませんが、1戦目は“BLiTZ”がどんなものか遊んでいただけると思います。シリーズファンの方には、“BLiTZ”のどこに手を入れてパワーアップしているのかを探してほしいですね。

――体験版をプレイすると、製品版で何かメリットはありますか?

本山氏:体験版をクリアするとセーブデータが作られて、それがあると製品版で、ある武器が手に入ります。序盤は役に立つ武器なのではないでしょうか。これは、製品版では入手できない武器です。

――約1年で続編が発売されることについてはいかがですか?

本山氏:大変ですよ(笑)。開発に関しては1年未満なので大変ではありますが、『2』で「こういうところは達成できたよね」、「こういうところは次に生かしたいよね」というのがある程度見えていました。それをベースにしつつ、『3』ではどういう驚きのある要素を入れようかと考えて作っています。そういった部分は、シリーズを重ねて熟成してきた成果の1つかなと思っています。

小澤氏:開発チームにとっては、ある意味で今回が“初めての続編”なんですね。『2』ではPS3からPSPにハードが変わって試行錯誤の面が多かったのですけれど、今回は同じハードでの続編なので、我々も前作で得たものを発揮できていますし、悔いが残っていたところも改善できています。また、開発スピードも上げられています。開発チームとしては、悔いが残っていたところを大幅に改善できたのはストレスがないといいますか、楽しく作れていますね。

本山氏:でも最初、僕が「こういうことやろうよ」って言ったら、「えー!」って言われましたが(笑)。プロデューサーとディレクターの間では、いつも言い合いをしていますね。

小澤氏:でもその分、いいものが出来上がってきていると思います!

――ネームレスと義勇軍第7小隊が一緒に戦うことはありますか?

本山氏:彼らと共同で戦う場面はもちろんあります。それ以外のキャラクター、さっき言ったガッセナールもそうですし、(『1』と『2』の)いろいろなキャラクターとの絡みがあります。彼らのお話を見せるのがメインではなく、『3』のお話の中で彼らをどう見せるかという物語ではあるので、『3』から始めても大丈夫なようには作ってあります。

――ダウンロードコンテンツでのミッション配信は予定されていますか?

本山氏:予約特典でクルトの初陣を描いた“0章”のプロダクトコードが付いてくることはすでにアナウンスしていますので、システムとしてはあります。本編の中にも、『1』の断章のような“エクストラエピソード”がすでに入ってはいるので、ゲームクリアした後のお楽しみ要素というのもいろいろあるのですが、そこからダウンロードコンテンツで追加していくかについては、実はまだ未定の状態です。「このキャラクターのこんな話が見たい」など、ユーザーさんからのご要望があれば、そういったものを吸い上げてみたいとは考えていますね。

――ファンへのメッセージをお願いします。

本山氏:まだ開発としては、作りこみをしている最中です。ご意見やご要望があれば、可能なものはギリギリまで吸い上げていきたいと考えています。来週、秋葉原のUDXシアターで発表もありますので、そちらの方もよろしくお願いします。

小澤氏:体験版をテストプレイしすぎたせいか、簡単かなと思っていたのですが、2戦目は意外と手ごわい部分もあるのかなと改めて実感しました。1つには、SLGとしての手応えを向上したいと思っているので、半分はしてやったりと思っています。配信が始まりましたら、じっくり体験版をプレイしてほしいと思います。よろしくお願いします。

『戦場のヴァルキュリア3』

(C)SEGA

データ

▼『戦場のヴァルキュリア3』ダウンロード版
■メーカー:セガ
■対応機種:PSP
■ジャンル:S・RPG
■発売日:2011年1月27日
■価格:5,600円(税込)

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