2011年1月5日(水)
“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”の12月タイトルに、スパイクから発売されたPSP用ソフト『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生(以下、ダンガンロンパ)』が選ばれた。
“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”とは、ゲーム屋さんが実際に遊んで「これはおもしろい」というゲームを毎月1本オススメする活動。全国のゲーム販売店が加盟する、日本テレビゲーム商業組合という団体が主催している。
具体的な流れとしては、過去2カ月以内に発売されたタイトルの中で、累計販売数が10万本に満たないタイトル、さらにお店の人が実際に遊んでおもしろかったゲームを選定。全国のお店から毎月投票を募り、さらに有志による最終審査を経て、その月のオススメタイトルを決定する。その後、ゲームメーカーにも協力を仰ぎ、この取り組みに参加しているゲームショップの店頭に用意された良作コーナーで、ユーザーにゲームが紹介されるという仕組みだ。
そこで今回も、12月のタイトルに選ばれた『ダンガンロンパ』について、日本テレビゲーム商業組合・ゲーム販売研究会のアドバイザーでもある田下広夢氏に、その選定理由と魅力について語っていただいた。
▲『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』 |
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『ダンガンロンパ』は、スパイクが『喧嘩番長』や『侍道』などの看板タイトルに続く柱となることを目指した作品で、まさにこん身の新作タイトル。意欲的に新しいことにチャレンジする攻めの姿勢を高く評価したゲーム屋さんから、たくさんの票を集めました。
『ダンガンロンパ』の舞台は、私立希望ヶ峰学園という架空の高校。そこに、それぞれ超高校生級と呼ばれるほど各分野で秀でた能力を持つ15人の高校生が集められ、そして閉じ込められます。彼らの前に現れるのは、不気味なクマのヌイグルミ。自らを学園長と名乗るモノクマです。モノクマは15人の高校生にふざけたような、馬鹿にしたような口調で言います。もし、卒業して外に出たければ、仲間同士で殺し合いをしなければいけないと。
なんともサイコな設定で始まるこのゲームですが、キャラクターデザインやグラフィックの印象、全体の雰囲気はポップで明るく、楽しくおかしく進んでいきます。ゲーム中、他の高校生たちと親交を深めることもでき、気になるあの子と仲よくなったり、なんてことも起こります。しかし、そんな楽しい学園生活に油断したタイミングを見計らったように起こるのです。仲間同士の殺人が。
殺人が起こった後、証拠を収集する捜査パートが終わると、犯人を探す学級裁判に突入します。学級裁判は生徒全員で議論し、見事犯人を見つけ出すことができれば、犯人にはオシオキという名の死が待っています。逆に、間違った生徒を犯人だとしてしまった場合、犯人以外の全員がオシオキとなり、犯人は卒業という形で無事、学園から脱出することができるという設定。生徒全員が命がけで、学級裁判をするというわけです。
学級裁判は『逆転裁判』(カプコン)をほうふつとさせるシステムになっていますが、大きく違うのはそれがリアルタイムに進行することです。フルボイスのセリフとともに、画面には発言が文字となって次々と流れていきます。そこで、議論の中から矛盾点を探り出し、すかさず証拠を出して指摘し、論破する、これが『ダンガンロンパ』の学級裁判です。この臨場感は、ちょっと他のアドベンチャーゲームにはありません。
仲間同士の殺し合い、命をかけた学級裁判、深まる学園の謎。サイコな設定とポップな世界観の混ざり具合が絶妙で、楽しい学園生活を送っていると背中から突然グサッと刺されるようなゾクゾク感がたまりません。必ずしも万人受けするゲームではありませんが、好きな人にはたまらない、そんな作品に仕上がっています。
年末には毎年多くのゲームソフトが発売され、そして1年でもっともたくさんゲームが売れる時期でもあります。一方で、大きな話題を作る大作ソフトの陰に隠れてしまうタイトルも少なくありません。では、そういったゲームがおもしろくないかと言うと、やっぱりそんなことないんですね。おもしろくても、埋もれてしまって遊ばれない、そんなゲームが毎年あるんです。
『ダンガンロンパ』もそういう意味では、『モンスターハンターポータブル 3rd』と発売日が近いこともあって、なかなか存在感を出すのが難しい部分があったように思います。とはいえ、PSPを持っているユーザー全員が全員『MHP 3rd』を遊ぶわけじゃないですよね。中には、アクション以外のゲームを遊びたいユーザーや、1人でじっくり遊びたいユーザーだっているでしょう。そんな方に向けてゲーム屋さんで、『MHP 3rd』もいいけど『ダンガンロンパ』もあるよと、いろいろなゲームをオススメしていければ、ゲームの世界はより多くの人にとって、より楽しくなっていくかもしれません。
好みが分かれるゲームではあると思いますが、好きな人は思いっきりハマるゲームでもあります。今、遊ぶゲームがないな、なんて思っているあなた。こたつにみかんでヌクヌクしながら、ゲームでゾクゾクなんて、いかがでしょうか。
販売店での展開の一例。各店舗の写真は、11月タイトルのPS3/Xbox 360『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』の店頭展開のもの。
▲【愛知県/お宝創庫鳴海店】パッケージだけではなかなかわからない、ストーリーやシステムなどの情報をたっぷりのにぎやかな売り場に。 | ▲【愛知県/ファミーズ共和店】ライトシューターの方にも遊んでもらえるように、カジュアルオートモードをプッシュ。 |
▲【岡山県/メディオ!西市】『VANQUISH』の開発会社、プラチナゲームズの他の作品、『ベヨネッタ』や『無限航路』も一緒に展開。 | ▲【愛知県/ふぁみーず中川店】ポップを立体的に配置することで、より目立つコーナーを制作。店員さん手書きのPOPも光ります。 |
毎月の“ゲーム屋さんがえらんだ良作”タイトルは『電撃ゲームス』ゲームス データスコープ コーナーで連載中!
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