News

2011年4月19日(火)

「このブタ!」――幻と消えたSM会話など『最後の約束の物語』づくしの夜をレポ

文:電撃オンライン

 イメージエポックは、4月28日に発売するPSP用RPG『最後の約束の物語』のイベント“発売前週祭”を、東京・新宿のロフトプラスワンで4月18日に開催した。

『最後の約束の物語』

 『最後の約束の物語』は、マルチストーリー&マルチエンディング制でありながら、戦闘で失った仲間の命は二度と戻らないという“ロストゲーム”をコンセプトにしたたRPG。しかも戦闘は、相手がどの味方を狙おうとしているかを示す“敵対心”を、プレイヤー自らが戦術を駆使してコントロールする必要があり、高難度になっているという。物語もシビアで、強力な鋼機兵の軍勢により滅亡の危機にひんした魔法王国ユグドラを舞台に、“メサイアの騎士”と呼ばれる7人の騎士たちの“最後の24時間の戦い”を描いている。

 イベントには、イメージエポック代表の御影良衛さんと、プロデューサーの宇田洋輔さん、マラルメ役の声優・遠藤綾さん、ヨシュア役の声優・代永翼さんが出演。実演プレイやトークなどを行い、約2時間を訪れた観客とともに過ごした。

『最後の約束の物語』 『最後の約束の物語』 『最後の約束の物語』
▲観客を鋼機兵と勘違いする、というゲームと現実をリンクさせたマラルメとヨシュアの生アフレコで、登場時から会場へ笑いをもたらしていた遠藤さんと代永さん。マラルメとヨシュアのやり取りには、同じ発売日のゲームをネタにして大丈夫か? とツッコミたくなるようなシーンもあった。
『最後の約束の物語』 『最後の約束の物語』 『最後の約束の物語』
▲イベントオリジナルカクテルの“ユグドラのしずく”の写真。ゲームの世界観をイメージしたドリンクで、金ぱくが黄金色のきらめきを演出している。他にも、“エダマラルメ”、“ヨシュア・ド・ショコラ”、“敵対心たこ焼き”といった、ゲームにちなんだフードも用意されていた。

■オレの大好きなサーシャが……ッ!!

 発表時より難易度の高さを前面に出していた『最後の約束の物語』。ゲーム完成前に、2週間泊まり込んでディレクターと一緒に難易度調整をしたという御影さんは、「ここ最近出たRPGを全部プレイして、それよりも難しくした」、「1980年代のPCゲームの難易度」と作品の高難度ぶりを形容する。イベントの前半では、その言葉が本当なのか、うそなのかを示すべく、プロデューサーである宇田さんがゲームの実演プレイに挑んだ。

 実際にバトルをした宇田さんが語る『最後の約束の物語』のキーポイントは、ボタン1つで見ることができる鋼機兵の“敵対心”。防御力の高いキャラクターへいかに攻撃を向けさせ、防御力の低い仲間を守るかが、戦闘のテクニックになるという。さすがに手馴れた様子の宇田さんは、ザコ戦は簡単に勝ち進んでいく。このあたりのシステムについては、キャラクターや世界観とともに2月11日の記事で概要に触れているので、一読してみてほしい。

『最後の約束の物語』
▲キャラクターが死んで敵を全滅させることを、最近では「I can fly!」と呼んでいると話す御影さん。御影さんの話では、少なくとも2章まではキャラクターを飛ばさない方がいいらしい。

 いよいよ本番のボス戦だ。宇田さんが会場で戦ったのは、第1章のボスで、パワー系のボスであるという。ちなみに御影さんによるとゲームは5章構成で、2章、3章ではスピード系、魔法系といったボスが登場し、4章ではすべてを備えた一段違う強さのボスが行く手を阻むそうだ。

 ボス戦になると、『最後の約束の物語』のロストゲームとしての面が一気に高まってくる。これはHPがゼロになった状態で攻撃を受けると、魂の力である“SP”が減っていくからだ。そしてSPがゼロになれば、そのキャラクターは死んでしまう。死ぬ間際のキャラクターは、イーリアの秘法と呼ばれる大魔法で、敵を一掃してロストする。イーリアの秘法はボスにも有効なので、わざと誰かを死なせるテクニックもあると御影さんらは話すが、死んでしまったキャラクターは二度とゲームに登場しなくなってしまうので、よくよく決断が必要になりそうだ。

 キャラクターを守りたいのであれば、まずはHPがゼロにならないよう気をつけねばならないのだが、後衛向けキャラクターのサーシャがボスの一撃を受けると、残りHPは5に。思わず観客の間からも驚きの声があがった。ボス戦では、より高度な敵対心のコントロールが求められることを、身をもって明かした宇田さん。この後、宇田さんにさらなる災難が降りかかる。

 それはサーシャのロスト。スキルを駆使して戦うものの、適正レベルよりも若干低いパーティで挑んだために、サーシャを守りきれず、イーリアの秘法を発動して光になってしまった。ちなみに宇田さんの一番好きなキャラクターはサーシャ。遠藤さんから「マラルメとサーシャのどっちが好き?」と聞かれても「サーシャ」と答えるくらい、宇田さんはサーシャが好きだったのだが……。

『最後の約束の物語』 『最後の約束の物語』 『最後の約束の物語』
▲がっくりとうなだれる宇田さん。代永さんからも心配されるほど落ち込んだ様子だった。

 落ち込んでいた宇田さんは、改めて自分のデータを用意し、前のめりでプレイに打ち込む本気の姿勢で再チャレンジする。かなり堅実なプレイをしている様子で、一進一退の攻防を続けていたところ、「こういうガチプレイは家でだけにしてくれよ」という御影さんからの鶴の一声により、再チャレンジバトルはお流れとなった。

■遠藤さんがマラルメ役に決まったのは5秒!?

『最後の約束の物語』

 イベントの後半では、会場からの質問に答えるコーナーも設けられた。初めにぶつけられた質問は、『最後の約束の物語』のためにPSPを買ったという人からのもので、「PSPのゲームを遊んだことのない初心者でも、『最後の約束の物語』をプレイできますか?」という内容。これに対しては、宇田さんが調整を担当したというイージーモードが用意してあるとのこと。デバッグ中にはゲームをプレイしたことのない人が、イージーモードをクリアできていたそうだ。

 また、ロストゲームをコンセプトにしたのは、他のゲームに影響を受けたからなのか? という質問もあった。これに対する答えはノー。そもそもゲームを参考にしたわけではなく、御影さんと宇田さんが企画を練る中で、第二次世界大戦を着想にして、負けそうになった状況からそれを覆していくゲーム、その中で命の尊さを描くゲーム、というのを考え出して『最後の約束の物語』となったらしい。

『最後の約束の物語』

 声優のキャスティングについても触れられ、マラルメに遠藤さんを起用した理由、ヨシュアに代永さんを起用した理由もそれぞれ語られた。キャスティングを主に担当した宇田さんによると、まずは完成したシナリオありきで、基本的には大量のボイスサンプルを聞きながら決めていったらしい。そんな中でマラルメ役に遠藤さんを起用することが決まったのは、わずか5秒。「(遠藤さんの声で)叩かれたい!」というディレクターの強いプッシュで決まったそうだ。ヨシュアについては、『おおきく振りかぶって』で三橋の声を聞いた宇田さんが、ヨシュアのイメージにピッタリと判断したと話していた。

『最後の約束の物語』

 また、サーシャに関する開発秘話も明かされていた。サーシャは敵を攻撃する際、「このブタ!」としゃべるそうなのだが、御影さんによると、開発中は味方に回復スキルを使う時にも「このブタ!」と言い放っていたらしい。それに「ありがとう!」と答えるラシュディの姿を見た御影さんは、「ぜひ製品版にも残しておいてくれ」と指示したそうだが、残念ながら製品版では消えてしまったとのこと。この幻のドM会話を、ゲームをプレイしたら頭の中で再現してみてほしい。

『最後の約束の物語』
▲早期購入特典の残りも少ないという。確実にほしい人は店舗に取り扱いを聞いてから、予約してゲットしよう。

 他にも、アマチュア活動をしていたGAINGAUGEさんをサウンドコンポーザーに抜てきしたことなども、御影さんの口から明かされた。GAINGAUGEさん渾身(こんしん)の1作であるアコースティックギターの曲は、2月4日のJRPG-Voiceからもダウンロードできるので、ぜひ聞いてほしいと、御影さんからの強いひと押しもあった。

 イメージエポックのパブリッシャー参入第1弾となる『最後の約束の物語』。御影さんによると、その後にも10タイトルほどが続いていくという。その後に続くタイトル制作に生かすためにも、『最後の約束の物語』をプレイしたらよかったところと悪かったところをぜひ教えてほしい、と呼びかけていた。

(C)Imageepoch

データ

▼『最後の約束の物語』ダウンロード版
■メーカー:イメージエポック
■対応機種:PSP
■ジャンル:RPG
■発売日:2011年4月28日
■価格:5,600円(税込)

関連サイト