News

2011年4月26日(火)

話題のソフト『エルシャダイ』の一番いいプレイレポート(発売直前編)を頼む!

文:電撃オンライン

前へ 1 2 3 4

■ネフィリムがかわいすぎるが、大丈夫か?
 →ネフィリム顔負けのインパクト絶大なヤツも出るから、大丈夫だ、問題ない!

『エルシャダイ アセンション オブ ザ メタトロン』
▲堕天使と人間の間に生まれた、行き場のない存在、ネフィリム。こんなにかわいいけれども、どうしようもない業(ごう)を背負って生きるしかない、悲しい魂なのです。

 さて、戦いを繰り返しながら堕天使たちの作った背徳の塔(タワー)に入り込み、アザゼルたちを追うイーノック。塔の中は階層ごとに支配している堕天使の個性によって惜しみなく彩られており、はたしてこれが同じ世界観を有するひとつのゲームなのかと、疑いたくなるほどの強烈な変容を見せてくれます。

『エルシャダイ アセンション オブ ザ メタトロン』 『エルシャダイ アセンション オブ ザ メタトロン』 『エルシャダイ アセンション オブ ザ メタトロン』
▲これが全部同じゲームだとは……。

 特にメリハリが効いていて印象的なのは、ネフィリムたちが遊ぶステージ。かわいい見た目とは裏腹に、パズル要素のアクションなどもあり、歯応え充分です。発売されれば、このステージを遊ぶだけでも“いい気持ち”が味わえる、という人もきっと現れるのではないでしょうか。ふわっとして、ぽにっとして、笑えます。そして哀しくなるんです、ふとした瞬間に、きっと……。

 さらには、もっともっと個性的な様相を呈するステージも登場します。さらにそれを越えた先には、プレイヤーの予想をことごとくぶっちぎる展開が待っています。“アイツ”に巡りあったとき、あなたは発売前情報の何よりも衝撃を受けることでしょう!

おそらく世界中のプレイヤーが、
1周回ってアイツのトリコになるに違いないっ!

 少なくとも私はその夜、夢に出ました、アイツが。

 アイツとの対面については、プレイ動画などで経験するのは正直もったいないです。
 初対面を!
 ゲームではたした人だけが!
 “全力で衝撃を体感できる”と思います!
 ぜひぜひ、アイツと真正面から向きあってみてください。
 竹安佐和記さんに加えて、イグニッションの本気が、そこに輝いています。

■すっかりネタゲーだと思っていたが、大丈夫か?
 →遊んだ後も話のネタにもってこいだから、大丈夫だ、問題ない!

 そんなわけで、発売前からの異様なブームを経てようやく発売の日を迎える『エルシャダイ』。イグニッションが仕掛けるエドウィンとのコラボジーンズやら、中目黒の“エルシャダイカフェ”やらの個性的なコラボ企画とも相まって、世の中には確実に“エルシャダイ現象”が巻き起こっています。

 じゃあ「実際にクリアしてみて、ゲームとしてどうなの?」と尋ねられた時、私はやっぱり「人を選ぶゲームだけど」と前置きをした上で「おもしろいよ」と答えざるを得ないのです! 10人遊んで9人が「おもしろい!」とか「コレはイイ!」と言うかというと、そこには太鼓判を押せません。アクションゲームとしては、「敵のパターンがもっとあったら楽しかったろうなぁ」などの気持ちもあります。物語も難解な面がありますし、いろんな意味でクセが強いゲームです。カレーライスではなく、トムヤムクン的な味わいを想像してください。複雑な味わいですが、ハマると美味いのです!!

 さらに言えることがあるとすれば、おそらくこのタイトルは“ゲームという名の娯楽”ではなく、“ゲームという名の創作物”を目指して作られた作品のような気がします。ただヒマをつぶすためのゲームではなく、映画や小説といったエンターテイメントがそうであるように、ある種完成された『エルシャダイ』ワールドへとプレイヤーを引きこむための入り口として作られている……そんな印象を受けました。

 クリアまで遊んだ1人として言えることですが、最終的な展開に満足できるかどうかは、プレイヤーによってかなり意見の分かれるところとなるでしょう。

 ですが、その与えられた結末に対し、ネット上やTwitterで「●●●だ!」と感想を述べあうことも。遊んだ者同士で直接酒でも飲みながら「何なの、あれは」とか「どういうことだってばよ」と激論を交わすことも。学校の図書館に行って、思わず旧約聖書を探してしまう、なんてことも。賞賛も批判も疑問も分析も、何もかもひっくるめて誰かにぶつけたくなるような衝動を覚えるこの感覚ごと、『エルシャダイ』は演出しようとしているんじゃないか──そんな気がしてしまうのです。

 ドヤ顔のトレーラームービーに始まり、ネットを介して巻き起こった、奇妙な『エルシャダイ』ブーム。その現象さえまさしくパッケージ裏に書かれているキャッチコピー通り、今まで“誰も見たことがない”ものでした。だから発売直前となった今でも、私はこの作品が成功するのかどうかなんてまったく読めません。未だかつて“誰も見たことがない”評判の中にいるタイトルだからです。未知数だからです。

 その上で「この『エルシャダイ』、どれくらいヒットしたら成功でしょう?」と尋ねられたら、私はユーザーとしてこう返すと思います。

 「これが世に出て、少なからず手にとって遊ぶ人がいる。それだけで実は奇跡的で、価値があるのでは?」と。

 どこかで見たような物を作り、安定した収益を産む“商品”ばかりがあふれる……ある種、成熟し停滞した感のある2011年のこの業界において、バカ正直すぎるほどに突っ走り、計算なのか偶然なのか、つかみどころのない姿勢を最後まで貫いて、限りなく芸術的作品に近づくことを許された(あるいはウマイことやった、ともいう)『エルシャダイ』。このタイトルが無事に発売されるというだけで、業界に一石を投じることだけは揺るぎようのない事実です。その波紋がどこまで広がるのか、ちっとも広がらないのか? 明日の話はルシフェルにしかわかりません。

 ですが、そういった側面まで踏まえると、メーカーもファンも一体となり、ネタもマジメも全部内包しつつ、未知の領域に向かってアクセル全開で踏み込んでいくこの『エルシャダイ』というタイトルは、今こそ真なる意味でのネタゲー=話題作に昇華されつつあるのではないかと思うのです。

 だから、できるだけ多くの人に触れて、見て、何より遊んでいただきたいと切に思います。じつに不思議なゲームです。旧約聖書を題材にしたコントなんじゃないかと思うこともあります。このゴールデンウィークには妙な笑いと切なさとが混在する、話を聞かないイーノックの物語を見届けてみてはいかがでしょうか。(推しメンはウリエル、のサガコ)

『エルシャダイ アセンション オブ ザ メタトロン』
▲個人的には「シリーズ1作目に違いない」と思ってるわけですが、真相やいかに?

(C)2011 Ignition Entertainment Ltd. All Rights Reserved.

データ

関連サイト

前へ 1 2 3 4