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2011年5月17日(火)

“Hangame EX2011”Day2で『TERA』など日本向けの発表を実施

文:電撃オンライン

 5月13日~14日の2日間で行われた韓国NHN HangameとNHNJapanによる合同発表会“Hangame EX2011”、2日目のプログラムでは『スペシャルフォース2』『KINGDUM UNDER FIRE2』『TERA』の3タイトルに関する情報が発表された。

●『スペシャルフォース2』

『Hangame EX2011』
▲『スペシャルフォース2』プロジェクトリーダー 佐野亘氏(左)とコ・ソンウォンチーム長(右)。過去には前作『スペシャルフォース』やFPS『カルマ』の開発を担当。

 『スペシャルフォース2』は現在サービス中の『スペシャルフォース』の正式な後継作。『スペシャルフォース』の開発経験者がチームの主要メンバーとして加わっており、ソンウォン氏は「韓国でも最も多くFPS開発のノウハウを持つチームです」と紹介した。

『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』
『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』

 前作から変わった点は、武器のカスタマイズやキャラを着飾るアイテムが多数実装される予定だ。また、元々チームプレイ中心のゲームではあるが『スペシャルフォース2』ではさらにそこを強化。ただし、無理矢理チームプレイを強要するのではなく、自然に集まるようにうまく誘導していきたいとのこと。『スペシャルフォース』は完全コアユーザー向けのFPS。それに対して『スペシャルフォース2』は前作ではプレイがシビア過ぎて、ついていけなかったプレイヤーでも楽しめるよう、やや敷居を下げている。また、前作でライフルとスナイパーに偏りがちだったバランスを調整し、本タイトルではプレイヤーが様々な武器を使って遊べるようになっている。

 これについてソンウォン氏は「韓国では今現在プレイしていて、慣れ親しんでいるオンラインゲームにとどまり、新規タイトルに移住する傾向が弱い。内容はよいが成功できなかった新作を分析すると、機能追加にばかりこだわってゲームをプレイする人は全員(そのゲームの)初心者である点を見落としていた」と語った。

 次にソンウォン氏はこだわった部分としてリアリティを挙げた。特に銃声音に関しては、ラスベガスの砂漠でわさわざ本物の銃声を収録。スタッフメンバーには、あの名作『コール オブ デューティー』で武器コンサルタントを務めた人物も含まれていたそうだ。

『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』
▲『スペシャルフォース2』のキャラクターデザイン

 また、前作では新アイテム実装のアップデートの際にメンテナンスを行っていたが、本タイトルではアイテム追加程度のアップデートであれば、メンテナンス無し。パッチデータも変更した部分のみを配布できるような、エンジンを採用したとのこと。

『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』
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▲マップのスクリーンショットやアートワークも公開された。

 最後にソンウォン氏は、「FPSタイトルの開発目は3回目だが、1~2回目と違って、オンラインゲーム全体における大きなチャレンジが行われていると感じる。製品や機能、ゲームモードの説明だけで新作タイトルが成功した時代は終った。コンテンツのよさを開発側がきちんと伝え、プレイヤーは気楽で自然にゲームにはまれる環境を構築することを、プロジェクトでは最重要視している」と述べた。

●『Kingdom Under Fire2』

『Hangame EX2011』
▲プロデューサー兼ディレクターのイ・サンユン氏(右)とNHNJapan山口剛志GE事業本部長。イ・サンユン氏は過去にシリーズ作品の『クルセイダーズ』や『N3』の開発に参加した経験あり。

『Kingdom Under Fire』シリーズの、正式な後継作となる『Kingdom Under Fire2』。2008年の時点でMMORPG+RTS作品としてPCおよびコンソール向けタイトルの開発が発表されていたが、今回正式にPC&PS3用であることが明らかになった。イ・サンユン氏は「既存作品の特徴はすべて引き継いだ上で、すべてのリソースを注ぎ込んだ作品です。PS3以外のプラットフォームも検討はしていますが、現在確定しているのはPCとPS3になります」と説明。過去にXBox360での開発が伝えられていたことを問われると、最初にXBox360向けの開発を予定していたが、マイクロソフト社とのポリシーの違いにより、中止ではないが一時的にペンディング状態になっているとのこと。日本国内での運営はNHNJapanが担当する。

『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』
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 ゲームの舞台は、『Kingdom Under Fire The Crusaders(クルセイダーズ)』から200年後の世界のベルシア大陸。シリーズ作品には2つの種族が登場したが、『Kingdom Under Fire2』には人間連合、魔族同盟、そして異界から来たエンカプロシアンの3種族が存在し、各勢力での戦いが行われる。

 イ・サンユン氏は本タイトルのジャンルを、アクション戦略MMORPGであるとし、「アクション戦略ゲームであり、そのどちらか1つのジャンルとして見ることはできない。真のマルチオンラインアクション戦略タイトルだ」と語った。MMORPGになったことで、部隊育成など様々な成長要素を用意。100種におよぶ部隊が存在し、最終的には300種以上になる予定だ。韓国でのオープンベータテスト時は18種類のクラスが選択できるが、日本ではまず5種前後が公開されるようだ。

『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』
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 その他、パーティやギルドといったコミュニティシステム、国家間戦争を実装。広大なペルシア大陸を船や徒歩で移動でき、RvRでは育てた部隊を含めた1万vs1万ユニットによる、臨場感ある戦いが可能だ。戦争はその結果によって国境が変わり、人間の領域が増えたり魔族の領域が増えたりしながら世界に変化をもたらす。約36個の小国があり、ギルドを大きくしていくと州単位で領土を確保し建国もできる。

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 PC版とPS3版どちらのリリースが先かはまだ未定で、調整が終り次第発表される。プラットフォーム別にスキン、アイテムなどの専用コンテンツを検討中で、サーバは国別を予定。PCとPS3のクライアントではユーザー層や操作方法の違いがあるため、こちらも別サーバとなる予定だ。

●『TERA』

 日本でもサービス開始に期待が集まる、大作MMORPG『TERA』について、ようやくクローズドベータテストの日程が明らかにされた。実施予定期間は7月1日~7月4日で、募集人数は3万5000人。7つの種族からキャラクターを選択でき、レベルキャップは22に設定される。また、5月13日に発表されたとおり、ビジネスモデルは月額課金となる。

『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』 『Hangame EX2011』

 クライアントバージョンは韓国のオープンベータテスト時のものを改善&日本ローカライズしたものとなる。メディアからは、韓国でのコンテンツ不足、バランス崩壊といった評価を受けている点についての質問がなされた。これについてBlueholeStudioキム・カンソク代表は「韓国で『TERA』が抱えている宿題は2つ、エンドコンテンツのアップデートの遅さと、クラス間バランスである」とし、日本サービス開始時には、これら宿題は解決済みのはずなので、安心してほしいと述べた。また韓国オンラインゲーム市場の特徴について、初動で盛り上がりその後は落ちていく傾向があるとし、一方で日本ではスタート時はそこそこ程度でも、サービスを継続していくうちに良コンテンツとして成長していくケースがあるとした。

 アイテム課金制のMMORPGが多い中、あえて定額サービスにした理由については、まず1人でも多くのプレイヤーに遊んでもらい、より深く楽しみたい人に課金してもらうのが基本プレイ無料のタイトル。これに対して一旦お金を払ってもらい、あとは“公平に”楽しんでもらうことが開発としてのポリシーという回答であった。

 最後に韓国NHN代表の鄭旭氏、NHNJapan森川亮氏が登壇。日本と韓国以外への進出について問われると、鄭代表は「韓国、日本、中国、北米でサービスしていたが、中国からは撤退している。北米ではゲームポータルを運営しているものの、これといった実績は残せていない。既存の成果を出している日本と韓国に集中して事業を展開し、確固たるものになってから他国について考えたい」とした。

 また、森川氏は「日本はゲーム市場全般が転換期にあると思う。今までは数を出せばそれなりに成果が出たが、今は既存作品とは確な違いが必要だと考えている」と述べた。

 今回の“Hangame EX2011”は2011年~2012年にかけて韓国および日本でサービス開始が予定されている、新作オンラインゲームのお披露目あるいは、より詳しいゲーム内容の紹介がメインであった。しかし、各タイトル開発者代表や韓国NHN鄭代表、さらにはNHNJapan森川氏からも繰り返し出てきたのは「ゲームを作れば成功できた時代は終わった」という言葉だったのが印象に残った。

 各タイトルのプレゼンテーションのいても、「ただのアクションではない、“超アクション”です」といった既存作品との差別化をことさらに強調。オンラインゲーム大国として知られる韓国でも、市場における生存競争が激化していることは容易にうかがえる。この1~2年、韓国での開発会社の吸収・合併のニュースも多く目にしたが、今後さらに開発企業の生き残りは厳しくなるのかもしれない。