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2011年6月9日(木)

1次元上の駆け引きが楽しめる――『マックス アナーキー』稲葉Pインタビュー

文:ごえモン

 セガから2012年1月に発売されるPS3/Xbox 360用ソフト『MAX ANARCHY(マックス アナーキー)』について、E3 2011の会場で稲葉敦志プロデューサーにインタビューを行った。

 本作は、稲葉敦志プロデューサーのもとでプラチナゲームズが開発している乱闘アクションゲーム。重厚なシナリオと壮大な世界観をもとに描かれるストーリーモードの他、オンラインモードも収録しており、多人数での乱戦バトルを楽しめる。

 インタビューでは、初めて近接格闘型の乱闘アクションゲームを作る上でのこだわりなどについて聞くことができた。その他にも、稲葉さんの対戦格闘ゲームに対する思い入れなどを語っていただいたので、ぜひチェックしてほしい。

『マックス アナーキー』

――なぜ今回、近接格闘型の乱闘アクションゲームを開発されたのですか?

 やっぱり近くで戦うゲームが作りたかったんです。オンラインのゲームで近接格闘ゲームを作るのはかなり大変ですし、ごまかしがきかないので誰も作ろうとしないんです。そのごまかしがきかないところにあえてアプローチしてみたかった、というのが理由です。

 また、遠距離武器を入れすぎると、結果的にはシューティングゲームになってしまうので、それならと割り切って近接格闘を中心にしています。

――対戦格闘について、こだわりや思い入れがあるのでしょうか?

 普通に敵を倒していくアクションゲームは、『ベヨネッタ』で究極まで到達してしまいました。やっぱり互角の強さを持つ相手と戦うのは、格闘ゲームじゃないですか。そこに踏み込んでさらに発展させたい、という思い入れはあります。1対1のFTGは究極といえるゲームもいっぱい出ているので、それをさらに発展させたいという、こだわりというよりも挑戦ですね。

――初めて乱闘アクションゲームを作る上で、苦労した部分はありますか?

 乱闘なので、視界の外からいきなり攻撃を受けてしまうことがあるんです。それをよしとするのかダメとするのか……ゲームの文法からしたらダメなんですが、「でも乱戦だからいいよね?」という1つ1つのジャッジを、新しいジャンルなのですべて決めていかなくてはいけない。そういうところが一番大変なところです。

――本作では敵の体力ゲージが表示されませんが、そのあたりも議論があったのでしょうか?

 あまり何もかもが見えすぎるのも、それはそれでおもしろくないと思っています。それをはっきり見せるやり方もありますし、雰囲気でヤバさを感じてわからせるやり方もあると思うのですが、今回はあえて見えないようにしています。

――ストーリーモードはシリアスで、マルチプレイモードはワイワイ楽しめるとプレゼンテーションでありましたが、そこは対比を狙ったのでしょうか?

 しっかりストーリーを味わってほしいので、今回は主人公を2人用意して、ものすごくシリアスな物語にしています。それは1人プレイならではの楽しみ方だと思っているので。でも、マルチプレイは大勢でワイワイ遊ぶものですから、重いストーリーではなくて、各キャラの個性を際立たせるべきだと思っています。バカだけどカッコいい、バカだけど笑えるというノリを目指して、バカにされるのではなく、おもしろい、楽しい、笑えるという方向に振っています。

――ネタキャラが登場するとお聞きしましたが。

 ネタキャラはいっぱいいます(笑)。いろいろなキャラにネタを仕込んでいますが、アメリカでウケるキャラ、日本でウケるキャラは違うので、それぞれですね。

――ステージにはどんなネタを仕込んでいるのでしょう?

 バトルフィールドがすごく広いので、ステージ全体がギミックになるように構成したかったんですね。普通の平面で戦っているだけではなくて、地上やビルの屋上、洞窟など、いろいろなところで縦横無尽に戦いまくる。ステージのギミックそのものも、戦いの道具として使えるような大掛かりな仕掛けを作っています。ステージ自体が動いたり、変化してしまうような遊びを入れています。

――体験プレイ時に、各キャラのモーションがかなり多い印象を受けました。1キャラあたり、どの程度のモーションを入れているのでしょうか?

 数はわからないですが、そこが少ないと遊び応えに直結してしまうので、キャラクターデザイナーそれぞれがどれだけ限界を超えられるか? そういうところまで作り込んでいます。ですから、これ以上モーションを作れないからこのキャラはこれで終わり、というような作り方はしていません。最初に個性を設定して、この個性ならこのモーションがいるだろうという考え方で作っているので、だいぶリッチだと思います。

――タイトル数があまりないジャンルの作品を作った、と当初から言われていますが、ユーザーの反応はいかがでしょう?

 プレイアブルとして出しているバージョンに搭載されているのが、まだまだ少ない人数でしか遊べないモードなんですね。オンラインであればこれをメインにしたい、と思うモードはまだ別にあるので、そのモードの反応を早く聞きたいですね。

――ガチャプレイの楽しさもあるとは思いますが、後ろから攻撃されてもすぐに反応して切り返していくような攻防も当然できるんですよね?

 大ざっぱなだけではなくて、慣れれば格闘ゲームならではの駆け引きは当然できるようになっています。1対1の駆け引き+大人数の要素、さらに3D空間の把握も加わってくるので、駆け引きの深さが1次元上がります。なので、駆け引きの深さについては心配いりません。

――最後にファンへメッセージをお願いします。

 あまりないジャンルなので、最初に触った時にはわからないかもしれませんが、ハマったら抜けられないような作品にしています。ぜひ期待して待っていてください。

(C)SEGA

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