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2011年6月17日(金)

少年よ、LBXを駆る勇者となれ――『ダンボール戦機』の世界とは?【レポ前編】

文:電撃オンライン

 レベルファイブから6月16日に発売された、PSP「プレイステーション・ポータブル」専用ソフトウェア『ダンボール戦機』。本作のプレイレポートを前後編の2回にわたって、ライターのてっけんがお届けする。

■新しいのに懐かしい『ダンボール戦機』の世界

『ダンボール戦機』

 『ダンボール戦機』の舞台は、西暦2050年の近未来。だけど不思議と、僕が手にとってみた感触は「懐かしい!」だった。

 僕らの世代にとっての“ミニ四駆”がそうだったように、誰しも子ども時代に一度は、周囲の友だちみんながそれにハマっているような“社会現象的ブーム”を経験しているはず。もうちょっと下の世代なら“遊戯王”や“ポケモン”、それに“ベイブレード”なんかがそれにあたるだろう。

 僕が小学生のころは、学校へ行けば誰もがミニ四駆の話題で持ちきりで、放課後になればそれぞれのマシンを持ち寄って自慢大会、というのが日常風景だった。子どものころって世界が今よりずっと狭かったから、とにかくミニ四駆が速かったり、誰も知らない改造のテクニックを知っていたりすれば、それだけでちょっとしたヒーローになれた。それは大人には見ることのできない、だけども明確なルールとヒエラルキーによって統率された“子どもたちの王国”だった。

 僕が『ダンボール戦機』を懐かしいと思ったのはきっと、そんな“子どもたちの王国”をそこに感じ取ったからだろう。それは僕らのような“かつての子ども”にとってはたまらなく懐かしく、そしてきっと“今の子どもたち”にとってはたまらなくエキサイティングに映るはずだ。

『ダンボール戦機』
▲『ダンボール戦機』の世界では、子どもたちの間でLBXと呼ばれる小型ロボットが空前のブームを巻き起こしている。

■LBXという架空のカルチャー

 僕らがミニ四駆にハマっていたように、西暦2050年の子どもたちは“LBX(Little Battler eXperience)”と呼ばれる、ホビー用の小型ロボットに夢中になっていた。

 『ダンボール戦機』がユニークなのは、LBXに魅せられた子どもたちの物語であると同時に、LBXという架空のカルチャーそのものを、丸ごとゲームの中に内包・構築している点だろう。ゲームのメインはもちろんLBXによるバトルだが、同時に本作には、LBXを楽しむ子どもたちや、LBX好きが集まるショップ、LBXの専門誌、そしてLBXを開発するメーカーや、LBXを悪用しようとする悪い大人たちといった“LBXをとりまく周辺要素”もすべて詰めこまれている。

 学校へ行けば、みんながLBXのハナシをしていて、話しかけると“オレのLBX、スゲーんだぜ!”とバトルを挑まれる。授業が終わったら、放課後はおこづかいを握りしめて行きつけのプラモ屋へ。限られたお金のなかで、手堅くセットパーツを買うか、それともガシャポンでレアパーツゲットに賭けてみるか? おっ、なんだか見たことのないパーツが手に入ったけど、これはどんなアーマーフレームと組み合わせたら有効だろう? うーん、スピード重視にするなら、いっそシールドは外して……。ゲームの中のできごとなのに、まるで自分が子ども時代にタイムスリップして、LBXブームのまっただ中にいるような気分にさえなってくる。

 ゲーム本編のデキもさることながら、『ダンボール戦機』の本当の魅力は、こうしたディテールの細かさと、そこからにじみ出る“説得力”にあるのだと思う。というわけで、とんでもなく前置きが長くなったけれど、第1回のレポートではこうした“『ダンボール戦機』の世界”が持つ魅力を中心にスポットを当てていきたい。

『ダンボール戦機』 『ダンボール戦機』
▲LBXを扱う模型店の中には、子どもたちがLBXで対戦するためのジオラマが用意されている。▲LBXのカスタマイズはミニ四駆によく似ている。パーツを組み替えて、自分だけのLBXを作ろう。
『ダンボール戦機』 『ダンボール戦機』
▲LBXのパーツはガシャポンでも手に入れることができる。いいのが出るとは限らないが……。▲望みのパーツが出た時はやっぱりうれしい! さて、どのパーツと組み合わせようか。

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