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2011年7月20日(水)

『アーマード・コア V』の徹底したこだわりとは? 鍋島プロデューサーに聞く

文:電撃オンライン

■武器の新たな特徴について

『アーマード・コア V』

――武器の性能面でも大幅な見直しがありますよね。攻撃パラメータもKE、CE、TEと3種類になりましたが、それぞれの特徴を伺ってもいいですか?

 3種類の属性の違いは、基本的には現実にもとづいて考えています。KE弾というのは、わかりやすく言うとボールを投げてぶつけて、その衝撃でダメージを与えるようなタイプの弾です。この場合、ボールが速く飛んでくるほど痛いわけです。だから、近くで当てればすごく効くし、遠くからだと、段々と威力が落ちていく、みたいなイメージですね。

――武器がカンカンと弾かれる場面は、けっこうショッキングでもあったのですが……。

 跳弾ですね。今回ダメージの計算式というか、考え方も変えているので。防御力に対して一定の値以下の攻撃が当たると弾くようになっていて、その場合、ダメージが大幅に減少するようになっています。

 それと、弾の距離減衰みたいな仕組みは『4』にも入れていましたが、ニュアンス程度にしか設定していませんでした。今回は、それをけっこう強めに作っているんです。たとえば、以前は防御力をどこまで上げても、弾が当たると必ず1以上ダメージが入りましたが、『ACV』はゼロになる場合もありえます。

 だから、機動力のある軽量の機体が、動きの遅い重量級の機体と戦った時に、射程ギリギリまで離れて相手の攻撃を避けながらチクチク攻撃していれば勝てる、というのが今までの『AC』でしたが、そうはいかなくなったよと。ずっと避けていても、ダメージが入る間合いまで近づかないと、『ACV』では勝てない。なので、今までと駆け引きは変わると思いますね。

――単に射程距離を短くするのではなく、あえて距離減衰を強めたことにはどんな理由があるのでしょうか?

 それも個性付けです。単に射程を短くすると、その範囲の中でパーツを作らないといけなくなるので。現実の武器でも、拳銃とライフル、スナイパーライフルそれぞれ弾速や威力が全然違うんですけど、それによるメリット、デメリットがある。拳銃みたいに小さい銃は持ち運びやすいけど、遠くには飛ばないし、距離や対象によっては当たっても効かない。

 スナイパーライフルであれば、弾の初速がものすごく速いので、あまり減衰を気にしなくて済む代わりに、連射ができないし、極端にいえば立って撃てない。次にお話しする他の属性の武器との差別化要素でもあります。そういった武器の個性付けの1つとして、距離減衰の要素を作っています。

 威力のことを考えたら近くで撃った方がいいけれど、必ずしもすべての弾が近くで撃てるわけでもないです。威力が高くて弾速も速いスナイパーキャノンは、構え撃ちが必要になりますし。

『アーマード・コア V』

――なるほど。構え撃ちについては、後でまたお話を伺いたいですね。他の弾の特徴についてはどうでしょうか?

 CE弾は、実際に存在する弾なんですけど、弾が当たった時に化学反応が起きて、それで相手の装甲にダメージを与えます。KE弾のような弾の物理的な衝撃ではなく、化学反応がダメージ源になるので、その意味では弾の速度はあまり関係しない弾です。つまり減衰も意識しなくていい。

――CE弾は、当たりさえすればいいということですか?

 ざっくり言えばそうです。遠くから当てても、近くで当ててもダメージの変化は小さい。その代わり、弾速はあまりないのでそんなに遠くまで飛ばず、当たりにくいというのがCE弾の特徴ですね。

――TE弾は、これまでのエネルギー武器と同じような感じでしょうか?

 はい。ただ、これだけは今のところ現実にないので個性をどう付けるかが難しいところでして(笑)。TE弾には、独特の要素が幾つかあるんですが、1つはチャージショットという性能を持っているものがあって、これは簡単に言うといわゆる“ため撃ち”です。ただ単純に威力が上がるだけじゃなく射程、弾速も上がる。

 だから、KE、CE弾はそれぞれの武器によって個性が確定しているんだけど、TEの武器はけっこう幅があるんです。ためずに撃てば普通のライフルのように使えるし、離れたところで思いっきりためて撃つと、スナイパーライフルのような使い方ができると。その代わり、エネルギーが減るわけですが。

『アーマード・コア V』

――ちなみに、攻撃パラメータが増えて調整は大変じゃありませんか?

 どうなんですかね。パラメータの数って難しいところで、多すぎても難しいんですけど、少なすぎても難しいんですよ。でも少ないよりは、多い方が簡単かもしれないですね。考え方次第ですけど、項目が多いと差別化はしやすいので。

――どういうことでしょうか?

 極端な例になりますが、たとえば2個しかパラメータ要素がないと、どちらも強いパーツを作るわけにはいかないので、片方の要素が強いパーツを作ります。それでパーツの種類をたくさん作っても、結局は数種類しかないのと同じになってしまう。けれど、パラメータの数が増えていくと、こっちのパラメータでは優れているけれど、違うパラメータは弱い、みたいな部分がたくさん出てきて、パーツの個性を出しやすいですよね。そうすれば、パーツ数もたくさん作れますから。

――『ACV』は500種類のパーツがあるんですよね。現在はバランス調整中ですか?

 そうですね。そこは、クローズドベータテストの反応も当然踏まえて調整していくことになりますし。僕らとしても『ACV』の形は未体験のところがあるので、パーツの調整は今までの『AC』とは考え方を変えていく必要があるかもしれません。毎回そうですけど、今回も間違いなくギリギリまで調整は行うでしょうね。

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