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2011年8月26日(金)

【Spot the 電撃文庫】範乃先生に聞く『特異領域の特異点』に詰めたモノとは?

文:電撃オンライン

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■ 執筆中の一番の問題は……? ■

――執筆中のおもしろいエピソードなどがありましたら教えてください。

 執筆期間中は登場人物たちのことで頭がいっぱいになって、しゃべり方まで影響されてしまったりするんです。本作の主人公はかなり特徴的なしゃべり方をするので、うっかり話していて「吾輩は――」とか「――ではなかろうて」などと知人の前で口走ってしまったことがあります。「誰だよ吾輩って」とツッコまれればまだよかったんですが、元々変人だと思われていたので特になにも言われなかったのが一番の問題かもしれません。

――小説を書く時に、特にこだわっているところは?

 自分が描いた世界の中でキャラが生きている姿をきちんとイメージすることです。小説に限らず、物語というものは人間の話をしているわけですから読んでいて生きている人間が想像できるようでなければおもしろくないと思うんです。極端に悪い例でいえばストーリーの都合で、キャラの人格がねじ曲げられてしまうことです。するとキャラから作者の意志が透けて見えてしまいます。それは役者が演技中に素に戻るような行為ですから、当然読んでいる方は白けてしまいます。「あ、これって作り話だっけ」と。そうなったら全然、物語に熱中できませんよね。ですから、このキャラはいったいどういう人間なのか、なぜこのような言動を取ったのか。そういうことを自問自答しながら、彼らが精一杯生きた結果としてストーリーができあがるように心がけています。

――アイデアを出したり集中力を高めたりするためにやっていることはありますか?

 睡眠時間をちゃんと確保すること、食事はしっかりと採って糖分と水分を補給することでしょうか。後は気分がのらない時でも我慢して書こうと頭を動かします。そうしていると、そのうち書きたくなってくるんです。

 また、とにかく書きたい事柄についての情報を可能な限り頭に入れるようにしています。アイデアに変わる情報は10入れたら1がいいところなので、たくさん、情報を集めるようにしています。

 それから仕事でもプライベートでも、ものすごくイヤなことがあった時って、そのことを考えたくなくても考えてしまってさらにイヤな気分になるじゃないですか。それを利用してイヤな出来事を小説のネタに使えないかって考えるんです。イヤでも考えてしまうぐらい強制的に思考の働く事柄なので、結構おもしろいアイデアが生まれるんです。

――現在注目している作家・作品を教えてください。

 最近は川原礫先生の『ソードアート・オンライン』にハマっていまして、早く続きが出ないかと心待ちにしています。ゲーム内の描写や説明がとても巧みで、読んでいてワクワクしますし、コレやってみたいって思うんですよ。

 それから有川浩先生の『シアター!』も好きです。演劇を題材にしているのに役者や演技ではなくて劇団経営に焦点をあてているのが新しくておもしろいんですよ。マンガも好きで、『3月のライオン』『大きく振りかぶって』『うさぎドロップ』なんかがいいですね。

――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?

 学生時代はヒマだったのでマンガをたくさん読んでいました。しかも、感化されやすかったので読んだものほとんどに影響を受けていたような気がします。好きだったのは、『うしおととら』『ドラゴンクエスト ―ダイの大冒険―』『ドラゴンボール』『幽遊白書』『スラムダンク』『バナナフィッシュ』『ぼくの地球を守って』『ぷりんせすARMY』などです。

 アニメでは『新世紀エヴァンゲリオン』。舞台やテレビドラマでは『十二人の怒れる男』『古畑任三郎』『笑いの大学』など他にもいろいろ見ていました。

――今熱中しているものは?

 小説の執筆です。もともと1つのことに深くのめり込むほうで、小説を書くぐらいしか趣味らしい趣味がなかったんです。今は読んでいただける方がとても増えたので、がぜんやる気を増しています。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 ゲームはあまりやりませんが、最近で一番熱中したのが『モンスターハンターポータブル 3rd』です。

――それでは最後に、読者へのコメントをお願いいたします。

 コンセプトは“王道なのに新しい”です! 予想はとことん裏切りますが、期待は決して裏切りませんので、ぜひご一読いただければ幸いです!

(C)2011 ASCII MEDIA WORKS
表紙イラスト/ saitom

データ

▼『特異領域の特異点』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2011年8月10日
■定価:662円(税込)
 
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Amazon.co.jp

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