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2011年8月24日(水)

これまでとの違い、これから変わるもの――『アーマード・コア V』インタビュー

文:電撃オンライン

『アーマード・コア V』

 フロム・ソフトウェアから、2012年1月に発売予定のPS3/Xbox 360用ACT『アーマード・コア V(以下、ACV)』。本作を手掛ける鍋島俊文プロデューサーへのインタビューを掲載する。

 『ACV』は、自由度の高い機体カスタマイズ、愛機を自由に動かせる操作感などが人気を博すメカACT『アーマード・コア』シリーズの最新作。従来作の遊びに“チームによる領地争い”という新たな遊びが加わった『ACV』は、それを軸としたさまざまな新要素が採り入れられる。その一端については、これまでの記事でもお伝えした通りだ。

 記事では、7月28日に発刊された『電撃PlayStation Vol.499』(アスキー・メディアワークス刊)に掲載されたインタビュー企画“おしえて鍋島さん”のロングバージョンを掲載する。作品全般について話を伺っているので、ぜひ最後まで読み進めてほしい。

 なお、2012年1月に発売が延期したことについて、鍋島プロデューサーからコメントをいただいた。まずはそちらをご覧いただきたい。

鍋島プロデューサーのコメント

 発売日が延期となってしまったことについては、大変申し訳なく思っています。延期の理由になりますが、今回実施したクローズドベータテストに本当に多くの方に参加していただき、たくさんの意見を頂戴しました。それらを可能な限り反映したものに仕上げるためには、どうしても、もう少し時間が必要だという結論にいたり、延期という決断をさせていただきました。

 クローズドベータテストに参加できなかった方々には、さらにゲームを遊ぶ機会が遠ざかることになってしまいましたが、これから発売までの期間、さらによりよいものを作り上げていくとともに、イベントなどを通じて出来るだけ多くの皆さんにゲームに触れる機会を設けていきたいと考えています。詳細につきましては、弊社公式サイトなどで順次告知をさせていただきますので、今後とも『ACV』をよろしくお願いいたします。


■PS3版クローズドベータテストを実施して

『アーマード・コア V』

――PS3版のクローズドベータテスト(以下、CBT)をプレイしたユーザーの反応はいかがですか?

 最初にマッチング関連のトラブルがあり、テスターの皆さまにはご迷惑をお掛けしてしまいました。誠に申し訳ありません。ただ、それなりに安定して遊べるようになってからは、皆さん楽しんでいただいているようでもあり、安心しました。特に機体の操作を一から変えたり、アクションを大きく変えたりして、そこは僕らも相当悩み抜いた部分でしたので、そこが少なくとも大筋で受け入れてもらったのはうれしいですね。

 領地戦に関しても、「もっと領地の耐久値が高ければ……」「戦略的に防衛側のほうが有利すぎやしないか」といった議論が積極的に交わされているようです。機能的にはかなり限定的なCBTの段階で、あそこまで話し合いが生まれたのは、ある意味楽しんでいただけていると思いますし、テストを実施したかいがあったと思っています。

――パーツのパラメータは暫定なんですよね?

 それは何度も聞かれるんですが、今回のCBTの主旨からすると、パーツのバランスというのは、我々にとってはかなり重要度の低い項目です。ですので、現状のパラメータは完全に暫定です。プレイヤーの皆さんとしては、そのあたりがどうしても気になるというのも、もっともだと思うのですが、数値自体も相当ざっくりした状態ですし、そもそもパーツのラインナップが全体の10%程度の内容なので、その状態でパーツバランスうんぬんという話しをしても、あまり意味がないと思っています。1つパーツが追加されるだけで、全体のバランスはガラッと変わることもあるものなので。

 ただパーツや機体の種類でいうと、最初はタンクが強いという話になっていて、そこから重量二脚がいいとか、スナイパー系が強いとかという話が出てきて、という風に、強いといわれる機体が変わっていっています。そのあたりの流れは、かなりこちらで想定していた通りです。

『アーマード・コア V』

 今回はパーツのバランスについては、かなりこれまでとは考え方が違っていて、たとえば相性の悪い相手との1対1のシチュエーションだと、真正面から戦うだけでは、かなり勝ちにくいバランスにしています。これは開発のかなり初期の段階に、開発陣がプレイしていた時の話なんですが、そういう相性の悪い相手だと頭ではわかっていても、とりあえず見つけると向かっていってしまう、みたいなことが実際プレイしていると結構あるんです。敵をロックオンしたりするので、そうなると撃てと言われているように反射的に錯覚してしまうのかもしれませんが。

――うーん、確かに敵がいると、つい向かっていってしまいますね……。

 『ACV』の場合、まずはそこを冷静に見極められるかが、初心者から脱却できるかどうかの差になってくると思います。チーム戦だとオペレータがいることもあるのでまだいいですが、そうでない場合に、どうやってそれをプレイヤーに理解してもらおうかという悩みがあって、跳弾の仕組みをいれたのはそういう理由もあります。“効いてないよ”というのを、より視覚的に表現するためですね。

――それでは、CBTを実施して想定通りに感じているところと、想定外に感じているところはありますか?

 PS3版を見る限りでは、おおむねは想定通りでした。ここはもっと使いやすくしないとな、と思っているところは、やっぱり突っ込まれますし。でもこの短期間でテスターの皆さんが予想以上のスピードで操作感をはじめ、多くのファンクションに慣れていったことは驚きました。

『アーマード・コア V』

――皆さんうまいですよね……。電撃のチームもかなりボロボロにやられた経験がありますし。ちなみに「うまい」と感じるのは、操作的な部分ですか? それとも戦術的なところですか?

 操作の部分に関してで言えば、すでに僕らより全然うまいんじゃないですかね(笑)。それからかなり戦術的な部分にも踏み込んで話をしているのも見かけたので、そのあたりはうれしいですね。けっこうトリッキーな戦術を採ることもされているようなので。新要素であるオペレータについても、想像していたよりずっと忙しくておもしろいとか、こんなに重要だとは思ってなかったとか、そういう話はよく聞きます。

――確かに、オペレータがいるチームと対戦して、意外な作戦に出られた時、味方が1機ずつ数を減らされていくと、恐怖を感じるのと同時に、オペレータの存在感を強く覚えますね。

 それは今までの『AC』にはなかった勝負の醍醐味だと思います。単に最初から1対1ではなく、まずチームで戦った経緯があって、作戦的な駆け引きで負けそうになる。そんな時、仲間たちの犠牲を背負った上で勝負に出る、というのは、僕らの狙った『ACV』の新しい遊びでもあります。

――チーム戦に関してはかなり楽しませてもらいました。CBTの時点でもこれだけのことができるのか、と思いましたし。

 逆にいくつか欠点も見えてきているので、発売までにできる限りのことをするつもりです。PCのゲームなどで、クローズドベータテストから製品版になってもあまり変わらなかった、というのでガッカリした経験は僕もあって、『ACV』ではせっかくテストをやった以上、意見をくみ上げて、あるいは僕らがいろいろ分析をしていいものに仕上げていきたいと思っています。

→オペレータの可能性(2ページ目へ)

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