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2011年9月6日(火)

魅力を“再装填”した『グローランサーIV オーバーリローデッド』プレイレポ!

文:デルチ

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■やめられない止まらない、戦略性バツグンなノンストップバトル!

 『グローランサー』シリーズの大きな特徴となっているのが、イベントの流れのままバトルが発生するという戦闘システム。RPGらしい攻撃や魔法というコマンドを選ぶものながら、どちらかというとシミュレーションゲームに近い戦略性が求められるこのバトルがなんともおもしろいんです。

 戦闘は半リアルタイムで進行するため、例えば味方を左右に分けて展開させた場合、両方の戦況を見ながら状況に合わせて的確な指示を出す必要があります。味方の数が増えるほど戦略の幅は広がっていくわけですが、そのぶん考えることが増えるわけです。この忙しさが、絶妙なバランスで展開されるので、見事勝利を収めたときの快感はかなりのもの。半リアルタイムなので、コマンド入力時はじっくり考えられるのも“思考”を楽しめる要素のひとつです。とはいえ、そんな緊張感バリバリのバトルばかりだと疲れちゃうところですが、ザコ戦は主人公以外オートにしても勝てるくらいサクサク進むので、緊張感のオンオフがいい具合に交互にやってくる感じです。

 また、イベントバトルには“コンプリート条件”が設定されており、ゲームが得意な人はこれをいかにして満たすかという遊びもあります。コンプリート条件は、例えばモンスターに襲われている村人を救うという戦闘であったなら、村人から1人も犠牲を出さないというように、通常クリア+αの苦労が伴います。達成できれば、経験値やお金にボーナスが付く程度のものですが、中には“フェイト”といってNPCが死ぬはずだった未来を回避できることもあります。この時、もし死んでしまったら……のイベントも見ることができるので、救うことができたときの達成感はひとしおです。

 さらに、このバトルの楽しさにいいスパイスを効かせているのが“魔石”と“スキル”の存在です。主人公たちは、それぞれリング=ウェポンという武器を装備しているのですが、この脱着可能なリングに魔石を装備させることで、魔石独特の効果を得ることができます。

 さらに、魔石を装備した状態で敵を倒していくと、多彩な効果を持つスキルを覚えることができます。覚えたスキルは魔石を外しても効果があるため、いかに戦闘を有利に運ぶスキルを覚えていくかという育成要素も楽しめるわけです。この種類が実に多彩で、しかもキャラごとに有効なスキルがあったりするので、そこをいかに見極めていくか、どんなキャラを育てるかというおもしろみがあるわけです。

 例えば、最初に仲間になるレムスは弓で戦うキャラなのですが、こいつの弓がまあ外れる。その距離で外すか? って状況でも外す(ゲーム的に距離と命中率は無関係?)ので、命中率がアップするスキルを何においても優先して覚えさせなければ! となります(きっと、誰もがやりたくなるはず)。このように、キャラ単位で考えられるバランスになっているのは非常に楽しい部分です。

 ちなみに、コンプリートを目指すなら、このゲームで重要なのは移動力です。“MOV+○”や“ダッシュ”があるだけで楽になるので、活用してみましょう。また、中盤以降のバトルのカギを握るのが“協力魔法”です。それまで単体にしか使えなかった魔法を、全体にかけることができるため、一撃せん滅の威力を持ったり、起死回生の一手になったりとその効果は絶大。ゲームが進むたびに、このようなその後の戦略を左右する新たな魔石やスキルが登場するバランスも、戦闘を飽きさせない絶妙なポイントといえるでしょう。

『グローランサーIV オーバーリローデッド』 『グローランサーIV オーバーリローデッド』

■オリジナル版から大幅進化! このシステムを継承した次回作にも期待!!

 さて、ここまでで述べた要素以外にも、オリジナル版からさまざまな要素が追加されています。まず、ボリュームアップによりエンディング数も大幅に増加。オリジナル版では攻略不可能だったキャラクターにも個別エンディングが用意されたのはうれしい限りです。それにともない、エンディング達成率を確認できる新要素も。かなりの数のエンディングがあるので、達成率100%するには何時間かかるんだって感じです。

 さらに、オープニングやイベントシーンで挿入されるアニメーションは、キャラクターデザインのうるし原さんが作画監督を務めており、非常にクオリティの高いものになっています。もちろん、シリーズ特有のシステムである“休暇”やちょっとしたコレクション要素である“GLチップス”なども、本作に合わせて調整されています。攻略キャラが増えたぶん、休暇のスケジュールは、もう休めないくらい忙しいものに! また主人公をサポートする使い魔にも、新キャラが追加されているので、オリジナル版をプレイした人でも新鮮な気持ちでゲームを進められるはず。

 PSPということで、戦闘時などややキャラが見にくくなることもありますが、大きな問題ではないです。ただ、コンプリート条件は基本的にゲーム中で確認できないため、戦闘前に表示されればもっと親切だったのにと惜しむ部分はあります。

 とはいえ、全体的なクオリティは高く、リメイクという言葉で片付けるにはもったいない良作。オリジナル版をプレイしていない人はもちろんですが、プレイした人にもぜひ触れてほしい1本です。プロデューサーによると、もし次を作るならリメイクではなく新作とのことだったので、ぜひこのシステムを継承して昇華させたものにしてほしいところ! そんな次回作への期待も込めて、本作を手に取ってみてください!

『グローランサーIV オーバーリローデッド』 『グローランサーIV オーバーリローデッド』

(C)Index Corporation 1999,2011 Published by ATLUS

データ

▼『グローランサーIV オーバーリローデッド』ダウンロード版
■メーカー:アトラス(インデックス)
■対応機種:PSP
■ジャンル:RPG
■配信日:2011年8月18日
■価格:4,980円(税込)

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