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2011年9月15日(木)

すべてのクルマ好き&レースゲーム好きは必見! 『Forza 4』の進化の方向性を探る

文:megane

 2005年に発売された第1作目以来、現在までにシリーズ3作品をリリースし、いまや『グランツーリスモ』シリーズに並ぶレースゲームに成長した『Forza Motorsport』シリーズ。その最新作『Forza Motorsport 4』の発売を10月13日に向かえ、開発元のTurn10よりシニアデザイナーの谷口潤氏が来日。今回は最新作での進化の具合を、初代から現在までプレイし続けている電撃Xbox 360の飯塚がお伝えする。

谷口氏
▲Turn10 シニアリードデザイナーの谷口潤氏。

 谷口氏は開口一番、「我々にはあらゆる角度でクルマを楽しんでもらいたいという思いがある」と語った。

 初代ではまずレースゲームとしての基礎作りを行い、『Forza 2』ではオンラインコミュニティの構築、そして『Forza 3』では構築したコミュニティのさらなる充実を図っている。正直なところ『Forza 3』の時点で、レースゲームとしては非の打ちどころのない完成度を誇っており、そこから『Forza 4』に向けてどういった方向性を打ち出してくるのか、Kinectへの対応などの新要素は発表されていたが、期待もあり逆に不安もあった。

 しかし今回のバージョンを見て、期待は確信へと変わった。まさしく本作はすべてのクルマ好きに送られた作品であり、友人をクルマ好きへと誘える作品であると。それでは確信への理由となった要素についてお伝えしよう。

「Kinect」を使ったクルマとの新たな接し方を提案

 谷口氏がまずデモンストレーションしてくれたのは、Kinectに対応したクルマ鑑賞モード「Autovista」。このモードでは、体の位置や向きを変えることで、クルマの周囲を見回せたり、一部に寄って詳しく見ることができる。しゃがむと自然と視点は低くなり、フロントバンパーを覗き込むような姿勢になる。

 谷口氏は、試しにクルマの左フェンダーからホイールハウスまでを舐めるように移動して鑑賞した。「昔はクルマに寄ってアップで見られるとデザイナーは嫌がったものです」と谷口氏は語ったが、見た限りではジャギーが目立つなどの破綻はまったくなく、シルバーに光るブレーキキャリパーや、ドリルドローターの穴など、詳細にわたって見ることができた。

▲しゃがめば視点は下に移動するし、ドアを開ける仕草で実際にドアを開けることもできる。

 もちろん外側から見るだけでなく、車内の様子も鑑賞することが可能だ。車内ではエンジンをかけることができ、そのままテスト走行に出ることもできる。テスト走行ではKinectを使った“エアハンドル”の様子を見ることができた。ただ、操作できるのはハンドルのみで、アクセルとブレーキはすべて自動となる。タイムを削るようなドライブには向かないが、レースゲームへの敷居を下げるという意味では十分といえる機能だろう。

▲車内の数々の装備にもアクセスできる。

 また、Autovistaモードの特徴の1つにクルマの解説がある。馬力や全長などの主要諸元に関する説明は、日本語音声とアニメーションによるものが用意されていたが、クルマ自体へのレビューについては、英BBCのクルマ番組「TOP GEAR」の名物司会者ジェレミー・クラークソンによる英語音声・日本語字幕の解説がつく。

 TOP GEARのファンならば、彼がどのようにこのクルマを酷評するのか、というところに期待してしまうところだ。ちなみにフェラーリ458に関する一文を紹介すると、「金持ちはこのクルマを買うくらいならMercedes Benzを買ったほうがいい」ときた。しかし、最後には結局褒めているのだから、ジェレミーらしいと言わざるを得ない。

 なお、Autovistaモードは基本的に普段なら乗れないようなスーパーカー的なクルマを収録しているという。そのため『Forza 4』に収録されている車種数から考えると、ごく少数に留まるようだ。ただし、発売後に車種の追加について聞いてみたところ、あるともないとも言えないとの反応だった。今後の展開に期待しよう。

『Forza』漬けにならざるを得ないコミュニティ機能

 続いて谷口氏が見せてくれたのは、本作でさらに強化されたオンラインコミュニティ機能。『Forza 4』はシングルプレイモードが豊富だが、やはりオンラインを介してたくさんのユーザーに遊んでもらうのが最適という。そのため、オンライン対戦の人数が8人から16人に倍増しているほか、「マイクラブ」機能と「ライバル」機能の2つが新たに追加されている。

 マイクラブ機能は、オーナーズクラブだったり、走り屋集団だったり、いわば同好の士が集まれる場所だ。クラブへの所属は同時に1つしかできないが、その代わりにクラブが設定したタグの装着のほか、クルマを共有してほかのメンバーのクルマを自分が運転できるようになる。また、アイコンや称号を新たに付けられる「プレイヤーカード」と合わせて、自分の趣向をほかの人にアピールできるようになった。

▲ゲーマータグだけでなく、アイコンや称号で自分の個性を表せる。

 ライバル機能は、決められたレギュレーションに沿ってさまざまなコースでフレンドと競い合えるモードだ。このモードには「トラック」や「ドリフト」などのさまざまなチャンネルがあり、その中で用意されたコースを走ると、タイムとゴーストデータが記録される。

 自分のタイムに近いフレンドのゴーストデータとマッチングされるので、常に競争を煽られる形になる。また、これのいやらしいところは、その競い合う相手に懸賞金がかけられるのと、タイムを抜くとその抜いた相手に結果を示すメッセージが送られること。これにより、さらに抜き返してやろうという気持ちになるわけだ。

タイヤに注力した「アップグレード」

 『Forza』シリーズにおけるタイヤシミュレーションは、ミシュランやトーヨータイヤなどのタイヤメーカー各社からデータを提供してもらい、それを合わせて使っていたという。しかし、それでは挙動が破綻してしまうことが判明したため、今作ではピレリのデータのみに絞っているとのこと。

▲タイヤには今回から新たにドラッグ用も用意された。横グリップは弱いのでサーキットでは使いにくいだろう。

 そして、提供された生のデータを『Forza 4』の物理計算エンジンに当てはめることで、素直な形でのタイヤシミュレーションが可能になったという。その恩恵は生のデータをまったくいじっていないという部分からも計り知れるところだろう。

 また、クルマの性能を客観的に表すPI(パフォーマンス インデックス)については、計算方法は大きく変えずにブラッシュアップする方向で調整しているという。

「ペイント」はデカールを引き継げるが……

 そのほか、ペイントについても聞いてきた。見たところ車体に貼れるレイヤー数などに変化はなさそうだったが、デフォルトの図形デカールは増えているという。この増えたデカールについては、数々のペイント職人にアンケートを取り、その際に要望の多かった図形を収録しているとのこと。実際に神の偉業のごとき車体を作る職人たちの声が入っているということで、さらなる効率アップを期待したいところ。

 そしてペイントについては嬉しいお知らせと残念なお知らせの2つがある。嬉しいお知らせは“デカールを『Forza 3』から引き継げる”ということ、残念なお知らせは“クルマに丸々貼り込むデザインは引き継げない”ということだ。これについて谷口氏は「クルマのモデリングが変わっているので、整合性がとれないため」と語った。


 まだまだ個人的には聞き足りないことだらけではあったが、1時間という制限のなかではここまでが限界だった。本日より始まった東京ゲームショウにおいて、マイクロソフトブースでの主力として展示されている『Forza 4』。発売もすぐ近くではあるが、ぜひとも会場に足を運んで、その進化の具合を自らの目で確かめてほしい。

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