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2011年10月25日(火)

【電撃PlayStation】発売まであと2日! 『ファイナルファンタジー零式』クリエイターへのロングインタビューをお届け!!

文:電撃PlayStation

『ファイナルファンタジー 零式』

 スクウェア・エニックスから10月27日に発売されるPSP用ソフト『ファイナルファンタジー 零式(以下、FF零式)』。発売日までいよいよあと2日となったこの期待作の、クリエイターインタビューを掲載する。

 質問に答えてくれたのは、メインキャラの性能や技を手掛け、エネミー全般の監修も行ったバトルディレクターの湯地健一郎氏と、0組のメンバーの個性づけのほかキャラモーションの制作も手掛けた、リードプレイヤーアクションデザイナーの大江泰輔氏だ。
 

『ファイナルファンタジー 零式』
▲インタビューに応じていただいた、大江泰輔氏(左)と湯地健一郎氏(右)。

■PSPのなかに凝縮されている徹底的に追求された戦場バトル

――過去の『FF』シリーズとは雰囲気が異なるバトルと感じましたが、どのような点を重視しましたか?

大江泰輔氏(以下、敬称略)シリーズの系統とは少し異なり、魔法が使われるファンタジーの世界でリアルに感じる“戦争”を表現することです。物語が戦争中という設定なので、敵も味方も本気で命を奪おうとします。その雰囲気をバトルにも出す必要がありました。これは田畑(ディレクターの田畑端氏)が最も重視した、チーム全体の目標でしたね。

――バトルの“戦争”らしさとはどういった部分ですか?

湯地健一郎氏(以下、敬称略)一番大きいのはエネミーの性能でしょうか。普通のRPGだと、エネミーはHPが多めで攻撃力は低めに設定されていることが一般的で、プレイヤーが何回も攻撃を加えて倒すというのがオーソドックスな形式です。でも『FF零式』では敵の攻撃力を意図的に高くし、動きもあわせてプレイヤーに致命傷を与えてくるイメージを強くしています。常識で考えると、銃で1、2発も撃たれたら死にますよね。それと同じことがプレイヤーとエネミーの間でも起こります。キルサイトも、1発の攻撃が死につながるという戦場の緊張感を出すためのシステムです。

――田畑さんからは、制作に関してどのような指示が出されましたか?

湯地:とにかくキャラを動かす感触のよいバトルにすること、というのは厳命されましたね。あれこれ理論が先行されても、結局実際に触れて楽しくなきゃダメだと。

大江:僕たちがキャラを作ってテストプレイをしてもらうときに、田畑はおもしろくないと感じたらおもむろに魔法だけで戦い出すんですよ(笑)。だから僕らの目標としては、田畑に武器やアビリティを使って戦わせることでしたね。

――バトルでは14人ものキャラを操作できるのが魅力です。

大江:召喚獣も含めると20体を超えるキャラがいるので、制作はたいへんでした。プロジェクト発足時のプロットタイプでは、バトル全体の形を先行して作っていましたが、開発が本格化していざ遊びと個性の両立を図るともう苦労の連続で(笑)。

――各キャラは武器だけでなくアビリティも個性の1つですね。

大江:アビリティを考えるのは楽しかったです。主に僕が無責任に夢を語り、無尽蔵に広げたアイディアの風呂敷を湯地がきれいにまとめていました(笑)。

湯地:私は企画と制作を両方やっていましたが、とにかく数が膨大で目が回りました。バトル中に使用できるコマンドアビリティが5、6個くらいあって、それらを強化するアビリティが30個ほどある。これが14キャラぶんですからね。加えて実際に作る過程で不要なアビリティが出てきたり、ほかのキャラに回したほうがいいものが出てきたりして、パズル感覚で当てはめていきましたよ。

『ファイナルファンタジー 零式』 『ファイナルファンタジー 零式』
エース(CV:梶 裕貴)クイーン(CV:小清水亜美)

――ではメインキャラの特徴を1人ずつ教えてください。まずはエースから。

湯地:エースは0組のなかでも主人公格ですが、武器は特殊性の強いカードというアンバランスのキャラですね。セオリーどおりに作るとクセのある性能になりがちだったので、あえてクセを殺すように調整したのを覚えています。初心者でも扱えるよう近距離も遠距離も攻撃できるようにして、回避性能もほかのキャラより便利にしています。

大江:とにかくマジシャンとして派手でほかのキャラとは異色の絵表現にしたかったんです。ここで突き抜けないでいつ突き抜けるんだ、と(笑)。エースは武器コンボを繰り出すだけでも強いし爽快なので、扱いやすいと思います。

――アビリティではデッキを利用した技が特徴ですね。

湯地:カードやデッキといった要素は私の大好きな分野だったので、力が入りましたね。きちんと内部データ的にデッキの構成カードが計算されているんです。だからデッキ内のカード枚数とエースが引いたカード内容を照らし合わせて、次に引くカードの確率が決まります。まあ、ゲーム中はそこまで細かくわからないと思いますけど(笑)。

大江:エースのアビリティは夢はふくらむけど、形にするのが苦労しました。イメージ案のなかには敵をカエルにしたりデコイや擬態する技もあったんですけど、現実的なコスト面から泣く泣くボツになりました。

――次にクイーンをお願いします。

大江:クイーンはどこかで“2面性”を入れたいと思っていました。凛とした委員長タイプが、何かをきっかけに豹変して殺戮マシーンになるように。じつはそれこそが彼女の本性であり……とか妄想をふくらませながら作りました。

――クイーンの武器は切るよりも突くタイプの剣なんですね。

大江:斬り払うタイプの剣はほかにレムやジャックがいましたから、性能がかぶらないように気をつけました。フェンシングスタイルでとにかく突きまくり、アクセントで魔法と薙ぎを入れています。あと戦闘中でもスカートの中だけは絶対に見せまいと必死に押さえる様子が、ちょっと滑稽でかわいいです。

――操作難度的にはどうなのでしょうか?

湯地:近接攻撃メインのキャラのなかでは、スタンダードな性能を持っていると思います。製品版では、先行配信された『試作型番“ナツビ”(以下、ナツビ)』よりも攻撃の初動が速くなっているので、初心者でもサクサク攻撃を当てられるかと。

――ナインも近接タイプのキャラですね。

湯地:クイーンと同じくナインもわりと扱いやすい部類のキャラですが、スピードよりパワー重視ですね。0組のなかでもクリティカル攻撃がとても発生しやすいという特徴があって、戦うのが楽しくなるキャラです。当初はイマイチ特徴のないキャラだったのですが、クリティカル攻撃をガンガン出るように調整してからは段違いに爽快感が上がりましたね。体力もあって打たれ強いですが、外見どおり魔法の性能は低いです。

大江:ナインのような不良っぽいキャラは個性がそれだけで際立ってくれるので理解しやすいですし、作っていても楽しいです。きっと大人になった今でもワルっぽい男にはどこか憧れがあるんですかね(笑)。槍を豪快に投げるアビリティもありますよ。

『ファイナルファンタジー 零式』 『ファイナルファンタジー 零式』
ナイン(CV:小野大輔)サイス(CV:沢城みゆき)

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CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA

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データ

▼『電撃PlayStation Vol.505』
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