2011年11月19日(土)
電撃文庫で活躍する作家陣へのメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第12回となる今回は、『イヤになるほどヒミコなヤンキー』の作者・相原あきら先生のインタビューを掲載する。
▲堀愛里先生が描く『イヤになるほどヒミコなヤンキー』の表紙イラスト。 |
本作は、幽霊などが大きらいなのに霊感が強い元ヤンキー・叢雲(むらくも)カズヤと、手相占いが得意で“あの”ヒミコを自称する少女幽霊との関係を描いたラブコメディ。不幸にも(?)ヒミコに憑依(ひょうい)されてしまったカズヤは、低姿勢でどこか憎めない彼女とともに、手相を見ながら困っている人たちを助けていくことになるが……。
相原先生には、見どころや作品を書く上での苦労、小説を書く時のこだわりなどを伺ったので、興味がある人はぜひご覧いただきたい。
――この作品を書いたキッカケを教えてください。
もともとは、“ヤンキーが異世界でタイマンバトルでのし上がっていく”というかなりフワフワした思いつきがありました。スパイクの『喧嘩番長』というゲームか何かの影響だと思います。でも、いつの間にか“ヤンキーが手相占いをする話”になりました。何があった。ともかく、あのままやっていたら危ないところだったと思います。
――作品の特徴や見どころはどこですか?
やはり特徴としては“手相占い”でしょうか。これを読んだ皆様に、自分の手相はどうだろう? なんて興味を持って自分の手を見返したりしてもらったら、これに過ぎる喜びはありません。
あと“信じる心の大切さ”、ですね。友だちを信じる心とか大切だと思います。占いを信じる心やこの作品がおもしろいって信じる心ももちろん大切です。……だから、信じてください。全然だます気なんてないですから!
――作品を書く際に悩んだところはありますか?
手相が難しかったです。手相鑑定はこれで正しい、というものがありませんので(手相自体、時間とともに変化したりもしますし)、もう「えいやっ」と乱暴に「この手相はこういう性格にしよう!」とか決めたりしていました。だから、ツッコミどころは満載だと思います。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
プロットなどが固まって実際に書き終わるまでは結構な時間が……。
――お気に入りのシーンを教えてください。
女の子が出てくるシーンは全部気に入っています。
――主人公のカズヤについて聞かせてください。
主人公のカズヤはもっとひどい奴になるかと思いましたが、まあいい人だと思います。ただ、いきなりヒロインに全裸見られるとか自分だったら死を選ぶ。
――執筆中のおもしろエピソードなどありましたら教えてください。
執筆中、運動不足を痛感しスポーツクラブに行ってみました。筋トレやら有酸素運動やらをしました。しばらく通いました。体重を量りました。増えてました。「……どういうことじゃワレ」とスポーツクラブの指導員に尋ねました。「体重は増えてますけど筋肉量は増えてますから~、やせやすい身体になってきてますよ~」と言われました。「そっかー、なら続けよっかなー」というワケで今も通っています。何かだまされてる気がしてなりませんが、きっと気のせい気のせい。
――今後の展開について、言える部分だけで構いませんので教えてください。
ヒミコの秘密とか真の敵とかオレたちの戦いはこれからだ!
――小説を書く時に、特にこだわっているところを教えていただけますか?
“読みやすさ”です。あんまりダラダラと続く長文にしないで、短く切ったりしているつもりです。……ただ。それが。本当に。読みやすさに。繋がっているのか。どうかは。微妙。です。
――アイデアを出すために、意識的にやっていることはありますか?
犬の散歩中にアイデアが浮かぶことがあります。忘れないようにアイデアの核となるキーワードをつぶやきながら、犬の御不浄を拾ったりしてます。
――現在注目している作家・作品はなんですか?
マンガですが、つばなさんの『第七女子会彷徨』がおもしろいです。
――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください
テーブルトークRPGの『Dungeons & Dragons 4th Edition』です。最近、熱中するほど遊べていないので、PS3を買って『アイドルマスター2』に熱中したいと思います。
――その他にはどんなゲームで遊んで遊んでいたんですか?
ボードゲームで『フンタ』というのがありまして。バナナ共和国という南米の小国を舞台に、海外からの援助金を奪い合って私腹を肥やした人が勝ち、というヒドいゲームでした。あと『ディプロマシー』というのもありまして。第1次大戦前夜のヨーロッパを舞台に、仲間のふりして同盟組んでおいていきなりドーバー海峡を越えたり、バルカン半島を仲よく分割する約束だったのに本土に攻め込まれていたり、とにかく裏切ったり寝首を掻(か)いたりした人が勝ち、というヒドいゲームでした。
これらのゲームから学んだことは、人は状況が変わればコロコロ自分の立場を変えるものなのだなぁ、という諸行無常の境地です。学ぶんじゃなかった。
――読者へのコメントをお願いいたします。
ちょっと毛並みの変わった作品になったかと思います。自分がどういう人間か、そしてこれからどうなるか興味がある方は、本書を手に取って自分の手を見てください(何か自己啓発本みたい)。もしかしたら、何かわかるかもしれません(……わかんないかもしれません)。
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表紙イラスト/ 堀愛里
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