2011年12月18日(日)
前回に続いて、今回もプロデューサーの柴さん、ディレクターの丹沢さん、ゲームデザインを担当した岡本さんという3名の開発スタッフへのインタビュー記事をお届けします。ソフト発売後の今だからこそ明かせる開発秘話にご期待ください!
●柴 貴正 | ●丹沢 悠一 | ●岡本 基 | ||
▲本作のプロデューサー。代表作は『ドラッグオンドラグーン』『ロード オブ ヴァーミリオン』など。 | ▲本作のディレクター。最終的なゲームバランスの調整やアドバイスなど、開発現場での調整作業を行った。 | ▲ゲームデザインを担当した本作の生みの親。任天堂を退社後、エンタースフィアの代表取締役社長を務める。 |
――魔王が戦うボス敵について、そのアクションを作る際の苦労点やゲームデザイン的な注目点を教えてください。
柴 ギガデモンは最初に作成されたボス敵で、“『地獄の軍団』でのボス戦とはこうやって遊ぶものですよ”ということを示すチュートリアル的な役割を持たせました。
丹沢 わかりやすい弱点があって、わかりやすい反応をします。本当に入門的なボス敵ですね。
岡本 何も考えなくても倒せるくらいのバランスですけど、高評価で倒したいなら緊急回避を使ってダメージを減らすのが有効ですね。ギガデモンが踏みに来たら、緊急回避で素早く移動してうまくよける感じです。僕としては、ここで緊急回避の練習をしてもらうという意味を込めてデザインしました。
丹沢 開発初期はその意図がもっと露骨でしたよね。その結果、踏んだ時の衝撃波がめちゃくちゃ遠くまで届いて、緊急回避を使いこなさないとどうにもならないという(笑)。
柴 エリアの端っこまで衝撃波が届くから、本当に逃げ場がなくて(笑)。最初のボスとは思えないくらいの強さでしたね。
▲パンチや踏みつけで攻撃をしてくるギガデモン。攻撃前の動作がわかりやすいので、緊急回避の練習台として最適とのこと。 |
――次にクインマウスについてお願いします。以前にデザイン面のテーマを伺った際は、“デカくて記憶に残るキャラクターにしたい”ということでしたが。
岡本 サイズは1つのテーマでしたね。とにかく大きい敵にしたいと思っていました。
柴 他のボス敵とは、一見してすぐわかるくらいサイズが違うものを作ってほしいとオーダーしました。
岡本 あまりにサイズが大きすぎて、どんなカメラワークにするのが遊びやすいのかを調整するだけでも時間がかかりましたね。あまりに他のボス敵とサイズが違うので、プログラマーから「ゲームとしてまとめる気があるんですか?」なんて怒られたりしました(苦笑)。
丹沢 でも、その甲斐があって、ものすごくインパクトがある敵になっていると思います。最初のボスのギガデモンも大きかったけど、その次のボスはその何倍もあるわけですからね(笑)。
▲とにかくデカいクインマウス。全身を画面内に入れるために、クインマウス戦は他のボス敵と比べて特殊なカメラワークになっている。 |
柴 この敵も、ギガデモンとはまた違う形で“『地獄の軍団』でのボス戦とはこういうもの”という部分を示していると思います。とにかくデカい敵を相手に、攻撃をして部位をぐちゃぐちゃにしていって、最後はちょっと後味が悪い感じでトドメを刺す演出が入るという(笑)。
丹沢 ゲームデザイン的には、プレイヤーにとっての最初の壁になるようにしています。おそらくゲームがそれなりにうまい人は、クインマウス戦まではさくさく進めて、ちょっと物足りないくらいに感じると思うんですけど、大半の人はここで初めてのゲームオーバーを経験するんじゃないでしょうか。
岡本 近づくと大蛇の部分が食いついてきて、遠ざかると電撃を落として攻撃してきて、どうやって戦えばいいのか悩むと思います。兵種の編成が悪いんじゃないかとか、もっと強い装備品を作らないと勝てないんじゃないかとか、そういった部分も含めて大いに悩んでもらって、最初の壁を乗り越えてほしいですね。
丹沢 ちなみに、クインマウスはこれでもかなり簡単になったんですよ。開発初期はとにかく攻撃が激しくて、本当に勝てるのかと疑っちゃうくらいでした(笑)。
――自分もクインマウスで初めてゲームオーバーを味わいました……。次はベルゼブーンですが、この敵はキャラクターデザインを担当した高村さんがぜひ出したいとプッシュされたそうですね。
柴 ええ、ベルゼブーンは高村さんのアイデアです。イラスト上もゲーム中でも、雰囲気がよく出ていますね。
岡本 当初、高村さんから「蠅を出したい!」と聞いた時はビックリしました。他にもっとカッコいいキャラクターデザイン案もあったのですが、「カッコいいものばかりそろっていてもダメなんです」とおっしゃっていました。
丹沢 蜘蛛女のようなデザインも候補にありましたが、やっぱり蠅をモチーフにしたものに決まりました。
岡本 実はベルゼブーンを出すにあたって、高村さんに交換条件を出していたんですよ。それはデザインだけでなく、『地獄の軍団』のボス敵として、それにふさわしい遊び方を含めて考えることでした。
丹沢 デザインだけで採用を決めても、ゲームとして楽しい部分が伴わないと本末転倒ですからね。
岡本 でも、たくさんの小蠅を率いて戦うというアイデアがすぐに生まれました。魔王のゴブリン軍団とベルゼブーンの小蠅軍団が戦う、軍団対決という構図はすごくイメージがしやすかったので、あっさりとOKになりました。ゲーム中にモデリングをする際の苦労などはありましたけど、ベルゼブーンは他のボス敵に比べるとスムーズに決まっていった気がします。
▲“軍団対決”をテーマにして遊び方をデザインしていったというベルゼブーン。無数の小蠅が画面上を飛び回るシーンは圧巻だ。 |
丹沢 その他のボス敵も、それぞれユニークな部分があるんですけど、特に最終ボスは期待してください。
岡本 なかなか斬新な攻撃方法をしてきますよ。作る側としてはとにかく大変でしたが、おもしろい感じに仕上がっているので、ぜひ最終ボスまで見てほしいですね。
柴 ちなみに音楽も、他のボスとは少し違う雰囲気になっています。
――最終ボスを倒してエンディングを見た後にも、やり込み要素として冥界ステージが用意されていますが、そのボリュームはどのくらいあるのでしょうか?
岡本 実は、エンディングを見てからのほうが長いかもしれません(笑)。少なくとも、おまけのようなボリュームではないので、じっくりと冥界ステージを楽しんでもらえればと思います。
柴 ある意味では、冥界ステージに入ってからが『地獄の軍団』の本番かもしれません。かなり難易度が高いので、アクションや陣形をうまく使いこなさないと苦戦しますけど、逆にACTが得意な方には歯ごたえがあるゲームとして楽しんでもらえると思います。
丹沢 冥界ステージの後半部分は、ちょっとやりすぎちゃったかもしれません(笑)。マルチプレイじゃないとクリアが難しいような超難易度のステージも、あえて入れています。とにかく歯ごたえがあるので、ぜひチャレンジしてほしいですね。
▲強力なボス敵が複数体で登場するなど、容赦なく難しく設定されている冥界ステージ。難しい分、強力な装備品を作れる新素材も多数登場するので、本編クリア後もたっぷりとやり込みプレイを楽しめる! |
→4人で遊ぶとぐっちゃぐちゃ!?
マルチプレイの目指したものとは?(3ページ目へ)
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