2011年12月13日(火)
――本当に錦織監督ありきの豪華な現場なんですね。第13話までの出来を、鳥羽さんはどう分析していますか?
ちゃんと“錦織フィルム”になっているな、と。彼の『アイマス』への愛だったり、考えているものが、ちゃんと画面になっていると感じます。他のスタッフが支えているんだけど、ちゃんと錦織監督の代表作になるものに。ファン代表Pが作ったようなアニメなんで、いわば“ゴリマス”というようなものかもしれません(笑)。
『アイマス』は、ファンそれぞれのイメージが千差万別で、お客さんそれぞれの好きな『アイマス』が存在していると思ってます。それなら、錦織監督が作りたい、彼が信じている『アイマス』をそのまま画面にして、バンダイナムコゲームスさんのフィルターを通して、作品として皆さんに見てもらうのがいいんじゃないか、というのが最後の判断でした。もちろん脚本家さんもいますけど、どういうコンセプトで何を描くかというのは、錦織監督が考えています。
――アニメを見ていると、とても丁寧にアイドルの魅力と物語を描いていると感じました。第1話はもっと派手に歌ったり踊ったりするのかな、と勝手に想像していて。
歌って踊って……というのは1つの要素でしかなくて。それだけを売りにすると、『アイマス』の本当のよさが伝わらず、アニメが終わった瞬間にアニメで興味を持ってくださった人たちが去っていってしまうのではと思いました。そこで、何を伝えるべきかと考えたとき、それは13人のアイドルの魅力だと考えたんです。第13話までのエピソードを積み上げたあとにきらびやかなライブを見せて、この子たちを好きになってもらえるかというのが重要。アイドルへの感情移入がない状態でライブを見せても、「あ、すげーな」で終わってしまうんです。それは『アイマス』を安売りすることでしかないと思いました。
――一過性のものになってしまう心配があったんですね。
原作ありのアニメって、放送中に原作の人気が瞬間的に出て、売れる。でもそれは、ある意味ドーピングになってしまうという危険性もあって、そうなった場合、アニメが終わった後に“コンテンツ自体が終わってしまう”という感じが出てしまいます。『アイマス』は6年以上も続いているんだから、絶対にこのアニメでそうさせてしまってはいけない。だから、これからも『アイマス』は少しずつ成長していく――そうなるためのアニメを作るのがいいんじゃないかって。だから、ここで新規の視聴者がどういう見方をするのかも大事だけど、ちょっとずつアイドルを好きになってもらうにはどうすればよいかということを考えました。好きになってくれたアイドルとは、アニメが終わってもゲームで会えるし、CDやコミックも出る。出演者たちとはライブで会えるし、ラジオもやっている。アニメを入口にして長くアイドルと『アイマス』を楽しんでもらいたいんです。
――そういう作りをすることを、周囲にすぐに理解してもらえましたか?
今回は基本的にかかわってくださっているほとんどのスタッフ、声優さんも含めて『アイマス』が好きで集まって作っているものなので、それぞれの都合よりも『アイマス』としてベストな選択をしようよ、と考えることができました。スタッフにとって犠牲になる何かがあっても、『アイマス』にとってよければ別にいいんじゃないって、判断ができるスタートだったのは大きいです。
――アニメでは、事務所内でのアイドル同士のやりとりなども、細かく描かれていますね。
ゲームでは描ききれていない部分なので、積極的に描いています。人数が多いので大変ですが、それをやったほうがアニメのよさが出るだろうと。
→アニメの『アイマス』は青春群像劇のようなもの(3ページ目へ)
(C)窪岡俊之 (C)NBGI
(C)NBGI/PROJECT iM@S
■TVアニメ『アイドルマスター』
【放送局】TBS、MBS、CBC、RKB、BS-TBS
【放送日時】
・TBS……毎週木曜25:25(翌1:25)~
・MBS……毎週木曜26:30(翌2:30)~
・CBC……毎週木曜26:00(翌2:00)~
・RKB……毎週火曜26:25(翌2:25)~
・BS-TBS……毎週土曜25:00(翌1:00)~
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