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2012年2月14日(火)

インタビュー中に野村哲也氏が間プロデューサーを緊急呼び出し!? 『シアトリズム ファイナルファンタジー』ロングインタビュー!(後編)

文:電撃Nintendo

 『ファイナルファンタジー(FF)』シリーズの25周年を記念する3DS用音楽ゲーム『シアトリズム ファイナルファンタジー』の開発スタッフインタビューの後編です。前回の記事で“インタビュー中に間さんの携帯電話に野村哲也さんからの緊急連絡が入るハプニング”なんてあおっておきながら、この後編まで引っぱってしまってごめんなさい……。今度こそラストまでノンストップでお送りしますので、開発スタッフの熱い思いが詰まったロングインタビューをお楽しみください!(雑食派ゲーマー・そみん)

◆『シアトリズム ファイナルファンタジー』開発スタッフ

●間 一朗●鈴井 匡伸
▲スクウェア・エニックスに所属する本作のプロデューサー。映像作品『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』、PSP用『ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー』に携わったほか、ポーションなど他業種とのタイアップを担当した。▲インディーズゼロの代表取締役で、本作のディレクター。GBA用『千年家族』、DS用『ゲームセンターCX 有野の挑戦状』、DS用『エレクトロプランクトン』など多数のゲーム開発に携わる。

◆音楽ゲームなのに、なぜここまで!? 命がけで作り込まれたグラフィック制作秘話

――キャラクターやステージの背景などのデザインはどのような流れで進められたのでしょうか?

 キャラクターについては、『キングダム ハーツ』シリーズのモバイルタイトルでアバターをデザインされた、モンスターオクトパスさんにお願いしました。

鈴井 いただいたデザインをもとに3DS用にグラフィックを設計して彩色をしていく部分からは、我々が担当しました。モーションを含めた『シアトリズム FF』用の調整です。ただ、モンスターの選定などは我々が行い、野村哲也さんにチェックをいただいて進める流れでした。背景については、そういうのを作り込むのが大好きなスタッフがいまして、「ここにアニメを入れたいんです」「処理が落ちる可能性があるから、やめようよ」なんてやりとりを何度もしました。なかでも、どうしても滝に動きをつけて流れるように見せたいと言い始めた時はビックリしましたね。

 一時期、日替わりで背景の滝が流れたり止まったりしてましたね。「処理的にやっぱり無理」「でもやりたいよね」「いけるいける!」みたいな(笑)。最後に泣いたのは、全部プログラマーさんです。鈴井さんと仕事をしていると、よく「厳しい」って愚痴られるんですけど、半分ぐらいは自分でハードルを上げて大変にしちゃっている気がします(笑)。

鈴井 うーん。僕らからすると、スクウェア・エニックスさんのブランドってすごいんで、全力で作らないといけないなとプレッシャーを感じちゃうんですよね。自分がお客さんとしてスクウェア・エニックスさんの作品に感じてきたすごさを裏切るわけにはいかないじゃないですか。それに、我々の会社ならではの独自のよさも出したいので、とにかくベストを尽くしました。唯一、コレカの作り込みだけは僕の趣味の領域かな(笑)。

 すごく力が入ってるよね、あれ。

鈴井 あれだけで6カ月くらいやってました。同じカードでも、入手枚数が増えていくと三段階に進化していくんですよ。最終的には立体視の演出でキラキラ光って、いろいろな角度から見ることができて、めちゃくちゃかっこいいの! 音楽ゲームってワンプレイが短いだけに、長い時間を楽しく遊び続けるための理由がほしいと思ったんですよ。なので、物が集まる楽しさとか成長していく楽しさ、みんなでつながる楽しさとか、短いタームを繰り返し遊ぶ中毒性とかを大事に考えました。

 グラフィックといえば、ある時期に鈴井さんから「モンスターのモーションを共有できなくなって大変なんです」みたいな話を受けたんですよ。そりゃ、めちゃくちゃ動きまくるんだから当たり前だろうと。

鈴井 最初の仕様では、もっとシンプルな形だったんですよ。キャラクターのモーションをパターン化して流用することで作業効率を上げるはずだったんですけど、気がつけば手足がぐねぐね動く感じに。本来、本作は音楽ゲームなので、背景やグラフィックの重要性は低いんですよね。だから、もっとわりきる方向性もあったんですけど、スタッフ内の共通認識として、「ここにこだわらないと『FF』じゃないよね」って。

▲仲間になるキャラクターだけでなく、モンスターのグラフィックもかわいい感じ。『FFIII』の“まおうザンデ”とか、かなりなつかしい!

――グラフィックについて注目してほしい部分はどこですか?

鈴井 ちょっと技術的な話なので、マニアの方にしか伝わらないかもしれませんけど、実は今回、立体視をさせながら60フレーム(1秒間に描画される枚数のこと。フレーム数が多いほど、なめらかに見える)で動いているんですよ! これがどれだけ大変なことかは、3DSでの開発経験がある方じゃないとわからないかもしれませんけど(笑)。普通は立体視の演出を行う場合は30フレームにするのが基本なんですけど、音楽ゲームはフレームを多くすると遊びやすさが変わるので、命がけで60フレームを死守しました。ただ、イベントミュージックステージについてだけは、別途で動画を再生するというシステム的な都合上、ここだけは30フレームになっています。ただし、タッチ操作の内部判定は、どのステージでも60フレーム以上の細かい精度で判定を行っていますので、操作感はどのステージでも同じように感じてもらえるようになってます。

 実際に遊んでみると、その差はハッキリとわかるレベルです。60フレームの部分は、遊んだ時に違和感をまったく感じませんから。

――間さんが注目してほしいグラフィックはなんですか?

 やっぱりモンスターやキャラクターのコミカルな動きですね。キャラクターを動かす際の文法というかセンスというか、そういう部分は自分たちではわからないので、少し不安があったんですよね。だから、宣伝や女性のスタッフから「かわいい」とほめてもらえるとうれしくって。

鈴井 開発中は定例でプレゼンというか報告ミーティングをやっていて、そこで囲んで話し合ったりゲームをプレイしたりするんですよ。

 これは今回の特徴ですが、報告ミーティングにはほぼ最初から宣伝のスタッフにも入ってもらいました。流れを見てもらうことによって、プロモーションもスムーズに進んだのではないかと思います。

鈴井 いろいろな会社さんと組んできましたが、こういう流れは初めてでした。宣伝の方にはゲームの内容に関するアドバイスはもちろん、『FF』シリーズを扱う際の注意点なども教えていただきました。いろいろな目線が最初から入るので、開発がスムーズに進みましたね。

 そういった報告ミーティングの際に、キャラクターのモーションのかわいさは評判になりました。特にオーディンが登場する際に乗っている馬のスレイプニルが下がっていくのを見た時の反響がすごくって。斬ったあとに短い脚でチョコチョコと下がっていくのが、めちゃくちゃかわいいんですよ。

鈴井 オルトロスとかもそうですけど、キャラクターのモーションはスタッフがとにかくこだわってくれて、ものすごく愉快な動きをするんですよ。その部分がウケることがわかったら、「このキャラクターはマジメすぎるから調整しよう」とか、どんどんコミカルな方向へ進んでいきました。きっとお客さんも同じ反応をするはずだから、テストプレイなどで喜んでもらえた部分をふくらませようと。それが連鎖のようになって、毎月ゲーム開発が進んでいきました。

 ぜひオーディンの攻撃後を見てください。斬るところよりも下がるところを、ぜひ!

▲召喚獣も多数登場! ちなみに、間さんがイチオシのオーディンのシーンは、プロモーションムービー中でも見ることができます。

鈴井 あとは、スタッフクレジットの部分も自信作です。めちゃくちゃ力を入れて作ったので、自分でニヤニヤしちゃったくらいです。“何回見ても楽しめる”というテーマで作ったので、ぜひ注目してほしいですね。

 詳しくは明かせませんが、「あれ? あのキャラは何してたっけ?」みたいな感じで、何度も見直したくなると思います。

鈴井 野村哲也さんの作品などで顕著ですけど、スクウェア・エニックスさんの作品には力が入ったスタッフクレジットが多いので。我々の作品だけがチープな演出にしてしまっていいわけがないと思いまして。いろいろと研究をして、最高のものを作ろうとしました。


[CHECK]コレクション要素やすれちがい通信、マルチプレイなどにも注目!

 ここまでは音楽ゲームとしての要素を紹介してきましたが、『シアトリズム FF』の魅力はまだまだたっぷりと用意されています! というわけで、ここでは『FF』シリーズの代名詞とも言えるやり込み要素を中心にお届けしましょう。そもそもパーティに入れられるサブキャラクターを集めるだけでもボリューム満点ですが、コレカと呼ばれるカード集めがこれまた熱い! 普通に集めるだけでも80種類以上もあるのに、同じカードを集めることでカードのグレードが上がっていくというナイスな仕組みに注目です。いつもなら同じカードがダブると残念な気持ちになるのに、このゲームではダブっても損にならないのはうれしいところ。……冷静に考えると、普通に80種類以上を1枚ずつ集めるよりも大変な気がしますね。

 そのほか、音楽やムービーを閲覧できるミュージアムとか、すれちがい通信でほかのプレイヤーとプロフィールを交換できるプロフィカとか、末永く楽しめる要素が満載です。さすがは25周年の記念作品といったところで、いろいろな『FF』シリーズの歴史が詰まった記念碑的な作品になっています。あと、個人的に気になるのは、最大4人でのマルチプレイにも対応していること。僕は音楽ゲームが好きなので、自分1人でもクリアはできると思ってますけど、なつかしの音楽を聴くと友人と思い出話をしたくなるじゃないですか。イベントミュージックステージで流れるプレイ動画とかを見ながら、古い友人と酒でも飲みながら遊びたいなと考えています。

◆コレカ

▲コレクションカードであるコレカは、ゲーム中で敵を倒したりフィールドを冒険したりすると入手できます。同じカードを入手するとグレードが上がって絵柄が変わっていくほか、キャラクターのかわいいアクションを見られるようになります。

◆ミュージアム

▲リズポをためることで、音楽を聴ける“ミュージックプレイヤー”やムービーを見られる“シアター”など、さまざまな要素がオープン! ミュージックプレイヤーは、お気に入りの曲だけを集めたリストを作成したり、3DSを閉じた状態でも音楽を再生できたりするのだとか。自分のプレイ結果の軌跡を確認できる“レコード”や“実績”も閲覧できます。

◆プロフィカ

▲いわゆるプロフィールカードで、すれちがい通信でほかのプレイヤーと交換可能。リズポをためるとカードの絵柄や通り名などが増えていき、より自分好みにデコレーションできるようになっていきます。また、闇の楽譜を受け渡しすることもできます。

◆マルチプレイ

▲最大4人での協力プレイを行う場合はHPが共有されるので、うまい人と遊べばクリアがしやすくなります。クリア後の評価も一番うまい人の結果を共有できるので、レアなアイテムを入手しやすくなるのもメリットです! ちなみに人数が足りない時は、CPUが参加してくれます。

→選曲の理由とダウンロードコンテンツについても直撃!(2ページ目へ)

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