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2012年2月13日(月)

カワイイけれどちょっぴり怖い女の子が盛りだくさん! 『あなたの街の都市伝鬼!』で電撃小説大賞・金賞を受賞した聴猫芝居先生にインタビュー!

文:電撃オンライン

 小説『あなたの街の都市伝鬼!』で、第18回電撃小説大賞金賞を受賞した、聴猫芝居(きねこ しばい)先生のインタビューを掲載する。

『あなたの街の都市伝鬼!』
▲うらび先生が描く『あなたの街の都市伝鬼!』の表紙イラスト。

 本作は、民俗学者を目指して都市伝説を調べている少年・八坂出雲(やさか いずも)と、彼のもとを訪れるとってもカワイイ……けれどちょっぴり怖い“都市伝鬼”たちとの交流を描いたほんわか怪奇譚。

 20歳になった日に、その言葉を覚えている人間を襲うという都市伝説“ムラサキカガミ”を研究していた出雲は、なぜか16歳の誕生日に襲われてしまう。恐ろしい目に遭いつつも、都市伝説――“都市伝鬼”を変わらず愛する出雲は、彼らを1冊の本にまとめることに。

 それを聞きつけた伝鬼たちは、“自分をより怖く書いてもらおう”と出雲の前に現れる。愛らしくも血みどろの和装童女から凶暴な武器を構えたお姉さん、超高速で出雲を追いかける美少女に、果ては生首まで……彼女たちの起こす怪奇現象に襲われて、恐がりな出雲はいったいどうなるのか?

 聴猫先生には、そんな本作を執筆した理由や小説を書く時に心がけているポイントなど、さまざまなお話を伺ったので、興味がある人はぜひご覧いただきたい。

『あなたの街の都市伝鬼!』
▲こちらは聴猫先生がよく執筆に使っているというポメラ。他にもiPhoneなどを執筆に活用しているという。

■カワイイけれどちゃんと“怖がらせてくる”女の子たちを■

――本作では“都市伝説”をテーマにしていますが、どうしてこのテーマで執筆したのか教えていただけますか?

 昔からホラーが好きだったんですよ。ただ、都市伝説の正体がカワイイ女の子だったというだけでなく、ちゃんと怖い存在であってほしかったんです。“カワイイ女の子が本気で怖がらせてきたらおもしろいかな”という思いがありました。

―― ホラーがお好きと言いうことですが、その中でどういった作品が好きなんですか?

 ホラーであればなんでもいけるクチですね。正統派からサスペンス系、ちょっと笑ってしまうようなシュールな作品から日本のホラーまで、どれも好きです。

――かなり幅広く見ているんですね。

 特に好きな作品というと……スティーブン・キング原作の『ミスト』が好きですね。最後の終わり方が特にいいんですよ。あとは『クローバーフィールド』なんかも好きです。

――そんなホラー好きなところが本作に生かされている、と。そんな本作の見どころはどこですか。

 最初に言ったとおり、カワイイ女の子が本気で怖がらせてくるところです。有名な都市伝説たちが女の子として登場するので、どういうキャラクターになっているのかにも注目してもらいたいですね。

――やはり都市伝説には、男の子はいないんでしょうか?

 この作品を書く時に、“読者によろこばれる作品を書こう”という思いがあったんですよ。もちろんカワイイ男の子がいても好きになる人はいるでしょうが、やはり女の子がたくさん登場したほうがおもしろく感じてくれる人が多いと考えて、こういう形にしました。

――キャラクター作りの際にもそうしたことを意識していたんですか?

 そうですね。キャラクターの口調などの細かい部分までは最初の段階では意識していませんでしたが、おぼろげに考えていたと思います。キャラクターのイメージ自体は、初期からカッチリとしていました。

――主人公の八坂出雲とヒロインの“ムラサキカガミ”ことサキはどういったイメージで作ったんでしょうか?

 主人公は、自分から動いてくれるタイプにしたいと思ったんですよ。私自身がそういう能動的な主人公が好きだったので。

――確かに、学びたいことがあるとは言え、あこがれの大学教授のゼミに参加する高校生って、考えてみるとかなりアクティブですよね。

 最近はよく草食系男子という言葉を耳にしますが、そう呼ばれているような人の中にも、自分の好きなことに情熱を持って取り組みたいと考えている人は多いと思うんです。そんな人に好きになってもらえるとうれしいですね。ヒロインのサキは出雲と逆のタイプで、能動的な主人公を全部受け止めてくれる。懐がやたらと広いタイプの女の子です。

――特にお気に入りのキャラクターは誰ですか?

 ベッドの下の斧女は好きですね!

――作中では“ベド子”なんてちょっとしまらない呼び方になっていますが(笑)。

 背が高くてカッコイイお姉さん系の女の子なんですが、その実三枚目タイプなんですよ。ベド子には情けない顔をしてほしいですね(笑)。読んでもらった人に感想を聞いたところ、好きなキャラクターが人によって違っていたのはうれしいですね。ある人はジェット女だったり、ある人はやっぱりサキがいいと言ってくれたり。

――ジェット女も確かにカワイイですよね。

 ありがとうございます。ただ、勝手に走っていってしまうタイプのキャラクターですので、彼女のシーンを執筆する際には抑えるのに苦労しますね。書いていて楽しいキャラクターではあるんですが。

――続いて、お気に入りのシーンはどこか教えていただけますか?

 サキがベッドに潜り込んでいるシーンが好きです。

――出雲が目を覚ましたら、サキが一緒に寝ていて……というシーンですね。

 そうです。普通だったらその時の出雲の行動に対して声を上げてしまいそうなところですが、そうならないサキがすごいというか。先ほども懐が深いと言いましたけど、サキのそんな部分がよくわかるエピソードだと思います。

――作品を書く上で悩んだところはありますか? 都市伝説の資料集めなどは大変そうな印象があるんですが……?

 むしろ逆で、“都市伝説”って、言ってみればかなり最近のものですから、資料自体がそんなにないんですよ。国会図書館が車で10分くらいの場所にあるので、そこによく足を運んでいました。最近は少し足が遠のいているので、作業の追い込みがてら図書館に行きたいとは思っているんですが(笑)。

――ということは、今は続編の作業中と言うことですか?

 はい。まだあまりペースがつかめていないので、あせっていいのか、それともまだその時期じゃないのかわからない状態なんですよ。ちょっと話がそれましたが、作品を書く上で悩んだポイントは“オチ”の部分ですね。どういう展開に持っていってもそれなりの形になってしまったので……。

――納得のいくようなオチになるまで時間がかかったと。

 ええ。かなり悩みました。第1章は自分でもよく書けていると思ったんですが、第2章のオチにはかなり時間をかけました。

――具体的なところで、執筆にはどれくらいかかったんですか?

 1カ月と少しくらいです。仕事を休ませてもらって、一気に書き上げ、締め切りの2日前に投稿しました。

――それはかなり早いですね! ちなみに、先ほどチラッと続編を書いているというお話が出ましたが……。

 ええ。今書いています。今度は学校にもっとスポットを当ててあげたいな、と考えています。ジェット女にウェイトを置いた感じですね。

――新しい都市伝鬼も出てくるのでしょうか?

 そうですね……どれだけ出していいのかな、と悩んでいるところです。新しい伝鬼たちが出てこないとストーリーが進まないですし。でも、すでに出ているキャラクターたちにもきちんと見せ場を作ってあげたいという気持ちもありますし……。アイデア自体はたくさんあるので、どこまで出していいのか悩んでいます。

 →聴猫先生が大きな影響を受けた作品とは……?(2ページ目へ)

(C)KINEKO SHIBAI / ASCII MEDIA WORKS

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データ

▼『あなたの街の都市伝鬼!』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年2月10日
■定価:620円(税込)
 
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